「忠臣蔵の決算書」山本博文 読了 | pyonpyon ブログ

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「忠臣蔵の決算書」 山本博文 新潮新書

 

有名な赤穂浪士の吉良邸討ち入りを題材にした小説は沢山あるが

城の引き渡しから、討ち入りまでの経費に特化して書かれた文書

時代小説のような心のうちの描写や人間関係の描写はないが、

播州赤穂藩に起こった藩主切腹から藩の取り潰し、城の引き渡し、家臣への退職金分配、財産の処分(藩の持ち物である船や鉄砲、甲冑、調度品等も)、旅費、引っ越し費用など金銀請払帳を元にお金の出入り(主に出金だが)書かれているので、歴史小説と変わらない楽しさもあり時代小説を読んでいるのと変わらない面白さだった

 

よく耳にしていた「お取り潰し」とは実際どんな事が起こっていたのか?家臣たちは皆どこへどのように散って行ったのか?←戦国時代でもないので仕官する事も難しいができないこともなかった

 
 

藩が取り潰しになると、領地と城、江戸屋敷は幕府へ返上

それ以外の物は藩、各大名家やその家中の独自財産となるため、どう処分されるものなのかあまり知られていないが赤穂藩の場合は関連する資料が複数残っているためこの本を読めばお取り潰しになった大名はどの様に財産を処分しその金額はいったいどのくらいになったのか?誰が買ったのか?など書かれてるので(現代での額も)分かりやすい
 
武具や馬具など以外にも城の御納戸にあるお道具や御台所の道具類も城外の蔵屋敷に運び出され売却
具足馬具槍など二百六十七両で大阪の商人が落札、この商人は他に百五十挺の鉄砲と七挺の大筒も入札なしで売却されていた
 

お取り潰しになった時の最後の給料と退職金の総額を現代の価値に換算すると

総計約二十三億五千万円を藩士約三百名に分配支給、平均で一人分は約七百八十万円ほど
これでも屋敷を引き払って京や大阪へ引っ越していくことを考えるとそう長く暮らしていけるものでもないだろう
 

討ち入りの軍資金は、七百両ほど、内訳は瑤泉院が三次浅野家から嫁入りした時に持参した化粧料と藩財政の余り金

藩の財政余り金(藩札の換金や商人への支払いなどを済ませた残りのお金)
 
作者は、藩の財政を処分し、このお金を残しそれを適切に管理し使い、考え方の異なる同志を二年に亘って統制し本懐を遂げた大石内蔵助の力量は改めて高く評価されるべきものと書いている
 
ちなみに

討ち入り道具代、総計で百三十万円ほど、鎗が金二分(六万円)長刀だと金一両(十二万円)、着込(鎖帷子)と鉢金が合わせて金一両二分(十八万円)、

矢籠、矢がらみ、いと代で銀十一匁二分(二万に千四百円)など細かく記載されている

 

この作品は、今秋公開される映画「決算!忠臣蔵」の原作

映画はどんな感じになるのかな~