斉藤道三の孫である斉藤龍興が若くして亡くなった父義龍の家督を継いだ14歳から領地である美濃をを失い、各地を放浪した後に越前の朝倉氏の元で信長と戦い敗れるまでの波乱に満ちた生涯の話
この時代の武将では、これといった逸話もなく暗愚な武将の龍興(落馬したり飲酒が過ぎて二日酔で剣の稽古中に吐いたり・・と)が主人公では話がもたないからか?
元は龍興の配下でもあった竹中半兵衛が秀吉の元で軍師として高みをめざし苦労を重ねる話も本筋と並行してすすむ
戦の度に敵として相まみえる龍興と半兵衛との関わり合いを複線として描く事で、刀禰坂の戦い(朝倉氏滅亡)後のラストにつながる(ネタバレするので詳しくは書かない)
天野純希の筆にかかると暗愚な武将龍興も愛嬌のある心根の優しい武将として描かれる
重臣の長井道利と龍興の関係もよく、道利の小言の場面はこの小説の笑いどころかも
時折、面白い場面を差し込むことで退屈せず、また登場人物にも愛着がわくのでどんどん話に引き込まれる
戦の場面の描き方も、全体を描くのではなくピンポイントでその場面を描いているのでクローズアップされてより迫力がある
金ヶ崎退き口の殿(しんがり)を務める秀吉と半兵衛の戦いや朝倉氏が滅亡した戦(一乗谷城の戦い)の時の龍興の敗走など、関ヶ原戦いのよう、よ
あっ、そうそう。後に関ヶ原の戦いなどでも活躍する「可児才蔵」なども登場しますよ
天野純希の新刊はチェックしていたのだけど、この本は見落としていて知らなかった
たまたま、時間つぶしに図書館に行って(家から読みかけの本を持って来るのを忘れて)何かあるかな?と
棚を見ながらウロウロしていたら、ちょうど真横でこの本が返却図書で棚に戻されたので借りたのだけど大当たりだったな
読み終えての感じたのは、この作品のテーマは「愛」だったのかな?と
龍興が半兵衛の謀反の中で逃げる際に死んでしまった側女「りつ」への愛、秀吉と配下の者との強力な愛情のような信頼関係、領民を苦しめる戦はしないといった朝倉義景の国主としての領民への愛など
この作家もハズレがないね
「有楽斎の戦」も「信長嫌い」も読んでるんだけど、感想文書いたっけ?
全然記憶にない(;^_^A
