今から15年ほど前、僕が学生-就職浪人時代だったころの小説界は、空前のホラーブームだった。火付け役となったのが真っ黒な装丁でお馴染みの角川ホラー文庫。さらに起爆剤となったのが鈴木光司の「リング」だった。
 
 このころから飯田譲治「NIGHT HEAD」や西荻弓絵「ケイゾク」など、ドラマとタイアップしたようなホラーサスペンスがカルト的な人気を博してきていた、気がする(なにぶん記憶が曖昧なR35なもんで)
 
 当時の僕は島田荘司や綾辻行人、京極夏彦ら本格ミステリを読み漁る一方で、村上春樹にはまりまくり、村山由佳や山田詠美といった女流恋愛作家に食指を伸ばしていたから、センス溢れるブーム的な小説に目がいかなかった。だから飯田譲治・梓河人の「アナザヘウ゛ン」を読んだのは“今更ながら”という気がしてしまった。
 
 殺人を犯し、その脳を取り出してクリームシチューやカルボナーラに調理し、食べるという事件が題材で、あまり食事したりしながらは読めない。だが刑事たちの戦いぶりには人間味に溢れ、スリルに満ち溢れていて一気読みしてしまった。
 
今更ながら、と買った古本は上質のエンターテイメント。読むタイミングが大事な本があれば、タイミングなぞ関係ないモノもあるということなんだな。
 
 昨夜は映画をみた。1980年代ぐらいだろうか、「タップ」というタイトル通りタップダンスの映画だった。当然みどころはダンスシーン。俳優はその道の第一人者らしく、とてつもない技量とリズムで虜にしてくれた。

 ネタバレになってしまうが、ヨボヨボの爺さんたちがシューズを履いた瞬間に、抜群の切れ味と高速ビートでダンスを踊るシーンはたまらない。70を超えたような老人たちが超人的な動きを見せるんだけど、とにかく楽しそうだった。
 
 縁はないが、昔からタップダンスはなぜか気になるモノだった。「Shall We Dance?」を観ても社交ダンスをしようと思わないし、ブレイクダンスやヒップホップなんかは最初から無理と諦めてしまうが、タップは魅力的すぎる。タップのリズムで映画を作った北野武「座頭市」も大好きだ。いつかどこかで習ってみたいものだが…