ひでごんの独り言&小説みたいなもの -14ページ目

ひでごんの独り言&小説みたいなもの

何か気ままに
書いていこうと思います。

 満開の桜が、その花をヒラヒラと散らしていた。
小春日和の中を、まるでピンク色の雪が静かに降っているかのようであった。
 その中に、竜二と百合子が桜の木を見上げるように立っていた。
 竜二は、ワイシャツに黒のスラックス姿。その肩には、大ぶりの鞄がさがっている。
 あれから、一年の時が流れていた。
冨美子がいなくなってしまった世界。しかし世界は無情にも、何事もなかったかのように時間は過ぎ去っていた。
彼らの時間も。
 「とうとう、行くんだね。」
 百合子が、ポツリとつぶやいた。返事は、無かった。
いや、それが返事だったのかもしれない。
 静かに流れる時間。
 「あの日、ここで彼奴に言うはずだった。前の日言おうとしたら、ここでと言われて。」
 しばしの沈黙の後、竜二が話し出した。それは、百合子の知らない話だった。
竜二はこの一年、冨美子の話をいっさいしてこなかった。
百合子は、黙ってその言葉に耳をかたむけた。
 「一緒に、店をやろうと言うはずだった。だから、俺が帰ってくるまで、まってて欲しいと言うはずだった。」
 百合子が、うつむいた。どこか、悲しげな表情である。
まるで、竜二の言葉を聞きたく無いかのようでもあった。
 「愛していると、言うはずだった。」
百合子の頬を、涙が滑り落ちていった。
百合子には、わかっていた。入り込む余地など、最初から無いと。しかも、今隙間に入り込もうとすれば、親友を裏切るような、罪悪感もあった。
 それに、竜二のも親友を裏切ってほしくなかった。
複雑な感情が、百合子を襲っていた。
 それでも、自分の気持ちを伝えたかった。
 出来るはずも無かった。
 竜二が、そんな百合子を、少し悲しげに見つめている。百合子の思いに、気づいているのであった。
しかし、それに答えてやることのできない竜二。
 出来るはずも無かった。
自分の中には、今でも冨美子がいる。
 時間は、解決してくれるのであろうか。
 「行くよ。」
 不意に、竜二が傍らに置いてあった、鞄を肩にした。
 「帰ってくるよね。」
 百合子は、うつむいたまま聞いた。彼の顔を、見ることが出来ないでいる。
 「あぁ、いつか必ず。」
 竜二の声は、凛として力強かった。
それは、誰に向けられた言葉だったのであろうか。百合子か、それとも桜にか。
 竜二は、歩き出した。もう、後ろを振り返ろうともしない。
百合子は、見送ることも出来ずに、立ちすくしているだけであった。
 黄昏ゆく夕暮れの中で、ただただ涙する、百合子がいた。
 「ずっと、待ってるから。この、町で。」
 必死の、言葉であった。

 照明も落とされ、いくつかの間接照明だけの空間に一人、カウンター席に腰を下ろす男がいた。
そこは、所狭しと壁一面に酒の瓶がおかれた、バーであった。
 男は、外に視線をおくっている。どこか、清々しくみえる。
 先ほどまで降っていた雨は、止んでいた。人通りは、すでに無くなっている。
 男はどこか楽しげに、空になったグラスに琥珀色の液体を注いだ。
それを口に運ぼうとしたとき、店のドアが開いた。
 「よろしいかしら。」
 入ってきたのは、品の良さそうな女性であった。男と、同じぐらいのとしだろうか。
男は、クスリと笑って見せた。そして、自分の隣の席を指さした。
 「もう、閉店したんですけどね。」
 「あら、それはよかった。ゆっくり飲めるわね。」
 男は、苦笑いをしながら自分と同じ物を、女に差し出した。
 カチャンと、心地よいグラス同士がぶつかる音が、店内に響く。
同時に女が、一気にグラスの中身をからにしてしまった。
 男は何も言わずに、ウイスキーをそのグラしに注ぎ込んだ。
 「あの子、大丈夫かしら。」
 「えぇ。自分の脚で、しっかりと歩いて行きましたよ。」
 「そう。」
 「じゃぁ、もう大丈夫ね。」
 女は、満面の笑顔を作った。
幸せそうな、笑顔であった。男も、目を細めて笑った。
 「ごめんなさいね。10年もおもりをさせちゃって。」
 「良いですよ。俺はあの子に、何もしてやれなかったんだから。」
 女が、少し驚いたような表情をした。それはすぐに、苦笑いに変わった。
 「やっぱり、気づいてたんだ。」
 「はい。でも、聞けなかった。」
 男は、悲しげな眼をした。
 「あの時、中途半端な気持ちで百合子を抱いてしまった。」
 男の手に、女・百合子の手が置かれた。そして、首が静かに横に振られた。
 「私が望んだこと。竜二がボロボロになって帰って来たとき、私が女として、卑怯な事をした。」
 男・竜二が、百合子を見つめた。
 「しかし俺は、現実から眼をそむけて今まで来てしまった。百合子に、押しつけて。」
 「いいのよ。私は、誰とも結婚する気も無かったし。でも、子供が欲しかっただけ。それに貴方は、いままでアサミを優しく見守ってくれたじゃない。それだけで十分よ。」
 静かな時間が、二人の間に流れた。
 しばらくして、竜二がグラスをグイッとやった。
 そして、「許してくれるよな。」と、ささやいた。
百合子が、「何?。」と、聞き返すと竜二が、すくっと立ち上がった。
 「まだあの桜、散ってないかな。」
 竜二は、外に目をやった。
その言葉を聞いた百合子は、「きっと、大丈夫よ。」と、言いながら同じく立ち上がった。
 「今から行きましょうか。あの、桜のもとに。」
 「えぇ。行きましょう。あの、桜の下に。」
 二人は、幸せそうな笑顔であった。少年と、少女のような笑顔で店を後にするのであった。
若者達の間で、密かにささやかれている、伝説の桜の下に行くために。
 桜は、待っていてくれるだろう。この二人のためなら、その花弁を散らせずに。




いかがでしたでしょうか。

物語・伝説

もう少し、練ったストーリーにしたかったのですが、・・・。

あーーーーー力不足だーしょぼん

もっと、本を読まねば。

とりあえず、このお話はここまでです。

こんなつまらない小説に付き合ってくださった方、有り難うございます。

懲りずに、また書きますので、よかったら読んでやってくださいm(_ _ )m

でわでわパー
 






 百合子の話から、数日がたった。
 竜二は、満開の桜を見上げている。
傍らには、冨美子がちょこんと立っていた。
 「綺麗だね。」
 竜二は、とくに返事もしないまま歩き出した。その後を追う、冨美子。
そして、いつもと違う家路であった。冨美子は、黙ってついて歩いている。やや、うつむきかげんで。
竜二も、同様であった。
 どことなく、ぎこちない二人であった。
 二人とも、先日の百合子の話のせいで、へんに意識しているのであった。
 「ねぇ。どこ行くの?。」
 冨美子が、たまりかねて声をかけた。
 「公園。」
 ぼそりと、返事が返ってきた。
 二人のいつもの家路から少し外れた所に、小さな公園がある。竜二は、そこを目指しているようであった。
ほどなく、二人は公園のベンチに座っていた。
 「まぁ、こないだのバーの話、どう思う?。」
 「え?。なに、急に。」
 冨美子は、竜二の顔を覗き込んだ。
 「大変だとは思うんだけど、俺、やってみたいんだ。夢みたいなもんかな。」
 ここで竜二が、冨美子の方を見た。
ジッと見つめ合う二人。
 「でもやるとなると、しばらく東京に修行に行かないとならない。」
 「うん。」
 胸が締め付けられる、冨美子。
そうである。やるとなれば、お酒の事とかを、どこかで学ばなければならない。
それは、1年ぐらいかそれとも、数年か。それを思うと、胸が苦しかった。
 そんなことは、イヤであった。離れたくない。
これからもっと、楽しい思い出を作りたいと、思う冨美子であった。
 でも、夢と言われてしまった。
 好きな人の、夢。それは、かなえてやりたかった。
 自然と、涙があふれ出した。
 「おい、何で泣くんだよ。」
 冨美子が泣き出した理由が解らず、あたふたする竜二。
そして、ポケットにあったハンカチを取りだし、冨美子に渡した。それを受け取った冨美子は、何度も涙を拭った。
でも、涙は止まらない。
 「だって、東京行っちゃうんでしょ。そうなったら、何年も逢えないじゃない。」
 やっと、涙の理由を理解した竜二であった。そして、なんともいえない表情になった。
 「なぁ、それで、えーと・・・。」
 竜二が、口ごもりだした。
冨美子が、涙を拭きながらその様子を見つめた。
 「えーとさ。・・・・・・。待っていて、ほしいんだ。帰ってくるの。」
 真剣な眼差しで、冨美子を見つめる竜二。それを、真正面から受け止めている、冨美子であった。
 「そして、二人で・・・。」
 それは、竜二の精一杯の愛の告白だったのかもしれない。
ハッとして、冨美子が立ち上がった。
 「ダメ!。」
 「ダメって。・・・」
 「違う。それ以上、今は言わないで。」
 涙は、なんとか止まっていた。
そして、照れくさそうに振り返った。その頬は、紅く染まっていた。
 「その続きは、明日聞きたい。ある場所で。」
 照れくさそうに、うつむいた。
 竜二が一つ、ため息をついた。
そして、「それって、学校の桜の下か?。」と、聞こうと思ってやめた。
冨美子が、百合子から吹き込まれているのは明白である。しかし、竜二は言葉をのんだ。
冨美子がそうしたいと言ってるのだから、そうしてやればいい。
 そしてそこで、永遠の愛を告げよう。
そして百合子の思惑通り、伝説になってやろうと竜二は、考えていた。
 ”それも、良いか。”
 「じゃぁ、今日は、帰ろう。」
 竜二はそう言うと、すくっと立ち上がり冨美子の傍らに立った。
二人とも、これ以上ないような笑顔であった。
 そして、次の日竜二は朝からあくびの連続であった。今日の事を考えると、ほとんど寝られないで朝をむかえていた。
 眠気となんとか戦いながら、2時間目をクリアーしたとき、無表情の百合子が、教室に入ってきた。
そして、竜二の席の前に立ち止まった。その顔は、蒼白と化している。
 そしてその口から、信じられない言葉が発せられた。
 冨美子が、死んだと。