小説みたいなもの(短編)--物語・伝説--その5 もしくは、・・・ | ひでごんの独り言&小説みたいなもの

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何か気ままに
書いていこうと思います。

 満開の桜が、その花をヒラヒラと散らしていた。
小春日和の中を、まるでピンク色の雪が静かに降っているかのようであった。
 その中に、竜二と百合子が桜の木を見上げるように立っていた。
 竜二は、ワイシャツに黒のスラックス姿。その肩には、大ぶりの鞄がさがっている。
 あれから、一年の時が流れていた。
冨美子がいなくなってしまった世界。しかし世界は無情にも、何事もなかったかのように時間は過ぎ去っていた。
彼らの時間も。
 「とうとう、行くんだね。」
 百合子が、ポツリとつぶやいた。返事は、無かった。
いや、それが返事だったのかもしれない。
 静かに流れる時間。
 「あの日、ここで彼奴に言うはずだった。前の日言おうとしたら、ここでと言われて。」
 しばしの沈黙の後、竜二が話し出した。それは、百合子の知らない話だった。
竜二はこの一年、冨美子の話をいっさいしてこなかった。
百合子は、黙ってその言葉に耳をかたむけた。
 「一緒に、店をやろうと言うはずだった。だから、俺が帰ってくるまで、まってて欲しいと言うはずだった。」
 百合子が、うつむいた。どこか、悲しげな表情である。
まるで、竜二の言葉を聞きたく無いかのようでもあった。
 「愛していると、言うはずだった。」
百合子の頬を、涙が滑り落ちていった。
百合子には、わかっていた。入り込む余地など、最初から無いと。しかも、今隙間に入り込もうとすれば、親友を裏切るような、罪悪感もあった。
 それに、竜二のも親友を裏切ってほしくなかった。
複雑な感情が、百合子を襲っていた。
 それでも、自分の気持ちを伝えたかった。
 出来るはずも無かった。
 竜二が、そんな百合子を、少し悲しげに見つめている。百合子の思いに、気づいているのであった。
しかし、それに答えてやることのできない竜二。
 出来るはずも無かった。
自分の中には、今でも冨美子がいる。
 時間は、解決してくれるのであろうか。
 「行くよ。」
 不意に、竜二が傍らに置いてあった、鞄を肩にした。
 「帰ってくるよね。」
 百合子は、うつむいたまま聞いた。彼の顔を、見ることが出来ないでいる。
 「あぁ、いつか必ず。」
 竜二の声は、凛として力強かった。
それは、誰に向けられた言葉だったのであろうか。百合子か、それとも桜にか。
 竜二は、歩き出した。もう、後ろを振り返ろうともしない。
百合子は、見送ることも出来ずに、立ちすくしているだけであった。
 黄昏ゆく夕暮れの中で、ただただ涙する、百合子がいた。
 「ずっと、待ってるから。この、町で。」
 必死の、言葉であった。

 照明も落とされ、いくつかの間接照明だけの空間に一人、カウンター席に腰を下ろす男がいた。
そこは、所狭しと壁一面に酒の瓶がおかれた、バーであった。
 男は、外に視線をおくっている。どこか、清々しくみえる。
 先ほどまで降っていた雨は、止んでいた。人通りは、すでに無くなっている。
 男はどこか楽しげに、空になったグラスに琥珀色の液体を注いだ。
それを口に運ぼうとしたとき、店のドアが開いた。
 「よろしいかしら。」
 入ってきたのは、品の良さそうな女性であった。男と、同じぐらいのとしだろうか。
男は、クスリと笑って見せた。そして、自分の隣の席を指さした。
 「もう、閉店したんですけどね。」
 「あら、それはよかった。ゆっくり飲めるわね。」
 男は、苦笑いをしながら自分と同じ物を、女に差し出した。
 カチャンと、心地よいグラス同士がぶつかる音が、店内に響く。
同時に女が、一気にグラスの中身をからにしてしまった。
 男は何も言わずに、ウイスキーをそのグラしに注ぎ込んだ。
 「あの子、大丈夫かしら。」
 「えぇ。自分の脚で、しっかりと歩いて行きましたよ。」
 「そう。」
 「じゃぁ、もう大丈夫ね。」
 女は、満面の笑顔を作った。
幸せそうな、笑顔であった。男も、目を細めて笑った。
 「ごめんなさいね。10年もおもりをさせちゃって。」
 「良いですよ。俺はあの子に、何もしてやれなかったんだから。」
 女が、少し驚いたような表情をした。それはすぐに、苦笑いに変わった。
 「やっぱり、気づいてたんだ。」
 「はい。でも、聞けなかった。」
 男は、悲しげな眼をした。
 「あの時、中途半端な気持ちで百合子を抱いてしまった。」
 男の手に、女・百合子の手が置かれた。そして、首が静かに横に振られた。
 「私が望んだこと。竜二がボロボロになって帰って来たとき、私が女として、卑怯な事をした。」
 男・竜二が、百合子を見つめた。
 「しかし俺は、現実から眼をそむけて今まで来てしまった。百合子に、押しつけて。」
 「いいのよ。私は、誰とも結婚する気も無かったし。でも、子供が欲しかっただけ。それに貴方は、いままでアサミを優しく見守ってくれたじゃない。それだけで十分よ。」
 静かな時間が、二人の間に流れた。
 しばらくして、竜二がグラスをグイッとやった。
 そして、「許してくれるよな。」と、ささやいた。
百合子が、「何?。」と、聞き返すと竜二が、すくっと立ち上がった。
 「まだあの桜、散ってないかな。」
 竜二は、外に目をやった。
その言葉を聞いた百合子は、「きっと、大丈夫よ。」と、言いながら同じく立ち上がった。
 「今から行きましょうか。あの、桜のもとに。」
 「えぇ。行きましょう。あの、桜の下に。」
 二人は、幸せそうな笑顔であった。少年と、少女のような笑顔で店を後にするのであった。
若者達の間で、密かにささやかれている、伝説の桜の下に行くために。
 桜は、待っていてくれるだろう。この二人のためなら、その花弁を散らせずに。




いかがでしたでしょうか。

物語・伝説

もう少し、練ったストーリーにしたかったのですが、・・・。

あーーーーー力不足だーしょぼん

もっと、本を読まねば。

とりあえず、このお話はここまでです。

こんなつまらない小説に付き合ってくださった方、有り難うございます。

懲りずに、また書きますので、よかったら読んでやってくださいm(_ _ )m

でわでわパー