小説みたいなもの(短編)--祈り願われるだけの者--その7 | ひでごんの独り言&小説みたいなもの

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何か気ままに
書いていこうと思います。

 「メグ。こいつ、変だよ。」
 エリンが、先ほどとはうってかわり、緊張したような表情をつくった。
 「こいつ、人間じゃない。でも、私達とも違う。」
 「じゃぁ、何者?。」
 メグの目が、氷のような冷たい光を発した。
 「わかんない。・・・、嗅いだことの無い臭いがする。」
 エリンの表情に、焦りと不安の色がわいてきていた。
 3人は、ただにらみ合っていた。お互い、出方をうかがっているのだろう。
夜響も、これ以上ちかずこうとしない。
恵美は、重苦しさを感じていた。もう、どのくらい経ったのだろうか。数分か・・・。
それとも、数時間か。恵美には、解らないでいた。
 ”私の、前に来い。”
 突然、声が聞こえた。聞こえたというより、頭の中に響いた。
あの、幻聴の声だった。
 恵美は、かたわらの大木を見た。そこから、聞こえたような気がしていた。
だれかが、いるわけもなかった。
 ”お前に、力をやろう。その代わり、二度と帰れないぞ。”
 恵美は、確信した。木が、しゃべっていると。
普通なら、信じられない事である。木が、喋るなど。しかし恵美は、すんなり受け入れた。
姉の日記を、思い出したからであった。
日記には、こうあった。
 『あの木には、心がある。いつも、私に話しをしてくれる。人間の、歴史と愚かさの事を。』
 ”お前の姉は、わしを受け入れたぞ。”
 「やめろ!。」
 夜響が、木の言葉をさえぎった。
同時に、その場のパワーバランスが崩れた。いままでにらみ合いが続いていたが、夜響が一瞬目をはなした。
その瞬間、エリンが夜響めがけて一足飛びに間合いをつめてきた。
 その右手の指先が、夜響の顔面めがけて、突き立ててきた。
夜響は、それを後ろに跳んでかわす。同時に、メグがエリンの後ろから夜響めがけて、跳んできた。
そして、夜響めがけて横殴りの蹴りをくりだしてきた。
 夜響は、それを腕で受け止めたが、鈍い音とともにとばされてしまった。
地面に、頭から転ぶのを防ぎながら夜響は2撃目にそなえた。
 ところが、二人は夜響から遠ざかっていった。そしてそのまま、丘から去っていった。
夜響は、追おうともしない。無駄だと、解っているようである。
 恵美は、突然の出来事に、呆然としていた。正しくは、何が起こったのか、まるで見えなかったのである。
3人の動きは、それ程のスピードであったのである。
 恵美が、夜響の方を見て驚いた。彼の顔からは、血が滴り落ちていた。
エリンの最初の一撃が、当たっていたのである。恵美には、当然そんなことは解らないが。
 「血が出てる。」
 恵美が、ハンカチを取り出しながら、夜響へと駆け寄っていった。
そして傷口に、そっとあてた。みるみるうちに、ハンカチは紅く染まっていく。
傷口は、意外と深いようであった。
 しかし夜響は、けがを気にせずに、ただかたわらの大木を睨み付けていた。
それは、あの二人を睨んでいたときよりも、鋭く冷たい目であった。