「秀と母」 第四章
第96話 静岡のみんなが来てくれる
静岡は大井川町(現・焼津市)から親戚のみんなが来てくれる。静岡のおばちゃん、お兄ちゃんお姉ちゃん兄妹、島田のおばちゃん、お姉ちゃん姉妹、叔母(母の妹)が、母に会いに来てくれる。
母が育った静岡の温かさ、親戚や周りに住む人たちの優しさに触れて癒されてきた。その静岡のみんなが来てくれる。
東京に住む、従姉のあっちゃん(叔母の娘)と、静岡のお姉ちゃん(僕にとって従姉)の息子も駆けつけてくれた。
静岡のみんなは、僕の従兄に当たる「静岡のお兄ちゃん」が運転する車で東京へ向かっていた。静岡のお兄ちゃんは母の亡くなった兄の息子(母の甥)で、現在は母の実家の家主。母を愛するひとり。僕ら三兄弟にとって頼れる優しきお兄ちゃんだ。
危篤の知らせは長兄がしてくれた。でも、まさか今日が最後の日になるとは、静岡のみんなが思ってもみなかったこと。僕ら家族でさえ、今日、その現実を知ったのだから。
――お母さんのことを大好きな静岡のみんなが来てくれる。お母さんもきっと喜ぶ!
静岡のみんなが来てくれるのは心から嬉しくありがたい。
――早く来て、お母さんに会ってほしい。
しかし、道路が混んでいるのか、なかなか到着しない。
刻一刻と、「その時」は近づいていた。