シャーロック・ホームズ (Sherlock Holmes)
「しむしむ」の身勝手な映画評などなど
監督:ガイ・リッチーロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ)
出演:ロバート・ダウニーJr.(アイアンマン)、ジュード・ロウ(マイ・ブルーベリー・ナイツ)
    レイチェル・マクアダムス(きみに読む物語)、マーク・ストロング(リボルバー)
    ケリー・ライリー(ヘンダーソン婦人の贈り物)、エドワード・マーサン(ハンコック)


<あらすじ>
あらゆる悪がはびこる、19世紀末のロンドン。不気味な儀式を思わせる手口で、若い女性が次々と殺害される怪事件が勃発する。名探偵シャーロック・ホームズ
ロバート・ダウニーJr.)は、たちまち犯人を突き止め、邪悪な黒魔術を操るブラックウッド卿マーク・ストロング)を捕まえる。だが彼は、処刑されても自分は復活する、とホームズに宣言。
やがて予言通 り、死刑に処されたブラックウッドが、墓場から甦ったという報せがホームズに!
そして前代未聞の大事件に人々がパニックに陥る中、
ブラックウッドは、ある秘密組織の頂点に立ち、全世界を支配するという野望の実現へ暴走し始める。ホームズはその邪悪な陰謀を食い止めるべく、相棒 ジョン・ワトソンジュード・ロウ)との名コンビぶりを発揮しながら、ブラックウッドを追跡するのだが…。

<キャッチコピー>
世界中の「謎」がこの男を待っていた。

<マメ知識>
○北米でのクリスマス当日の興行収入歴代新記録(2490万ドル)を樹立しました。
○続編の撮影が開始されています。また、この続編のために
ガイ・リッチー監督ロバート・ダウニーJr.はそれぞれの次回作を降板したと報道されています。
○第67回ゴールデングローブ賞:主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - ロバート・ダウニー・Jr。

<感想など>
ホームズ大好きです!
原作は概ね読破し、
英国グラナダTV製作のドラマシリーズも全て視聴。
今作がどの様な作品に仕上がっているのか非常に楽しみにしていました。
一体、今までのホームズ像とどの位違うのでしょうか?

従来のホームズ像と言えば原作の「緋色の研究」に書かれているように ―
体格は痩身で身長は少なくとも6フィート(180センチメートル)以上、鷲鼻で角張った顎が目立ち・・・
性格は極めて冷静沈着。行動力に富み、いざ現場に行けば地面を這ってでも事件の一端を逃すまいと血気盛んになる活動家。
ヴァイオリンの演奏にも長けていて、ボクシングはプロ級。しかも柔術の使い手でもあり、趣味は化学実験。
ベビースモーカーで、薬物依存(コカイン・モルヒネ)の傾向もあり・・・

イメージするのは  ―
シドニー・パジェットの挿絵でありTVドラマで最高のホームズ役者と評されたジェレミー・ブレットのソレでした。

スマートな英国紳士然とした探偵。
それを踏まえると ―
ガイ・リッチー監督ロバート・ダウニーJr.が生み出したホームズ像は、奇想天外。
従来のホームズ像とは、全く異質なホームズがソコには居ます。

①痩身って何処が?
青白く、不健康なイメージを覆す、健康的な肉体美!!!
上半身裸での格闘シーンでは、ムキムキのマッチョボディーを披露して、
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世の中の筋肉フェチの女性達を悩殺します。

格闘シーンの魅せ方はガイ・リッチー監督らしい演出!
ホームズが相手を一瞬で観察し、どの様な攻撃を繰り出せば有効かをイメージした映像をスーパースローで表現しした後 
リアルな格闘として通常のスピードで見せる!!!
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スタイリッシュでカッコイイ!!!

②ファッションをはじめとする立ち居振る舞いに関しては・・・
バリッとした英国紳士風と言うより ―
着崩したチョイ悪親父風(古い?)なお洒落な感じを醸し出している感じです。

英国紳士なら、サングラスなんて掛けませんよネ。(当時なら前衛主義の芸術家タイプ?)
型に嵌らない変人ブリをファッションで表わしたのでしょうか?
それは、言動にも表れていてフランクで自由人的な雰囲気を全身から発しています。


③バイオリンの演奏の腕前は・・・
披露する機会はアリマセンでした。チョット掻き鳴らす程度でした~↓
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科学の実験に関しては -
犬を使った毒物(?)の実験や、ホームズ自身の首吊り実験などの小ネタとして使われています(笑えます)


ホームズが抱える、問題の薬物依存は傾向は ―
軽く、触れられているかな?程度(実際に使用しているシーンがある訳ではアリマセン)。
事件らしい事件がなく塞ぎ込むと、原作では度々薬物に手を出しワトソンに窘められますが・・・(止めさせようと、かなり苦労しています)。
この作品では笑いの小ネタとして

カーテンを閉め、2週間部屋に閉じこもって居る感じ(?)と
蝿の動きとバイオリンの音階の実験(?)で触れる程度(違っていたらゴメンナサイ)。

*)ロバート・ダウニーJr.自身が8歳の頃からマリファナを常用して、薬物問題に悩んでいた事実があるだけにNGだったのかなぁ~。
青少年に健全育成の観点からも、名探偵(ヒーロー)が薬物依存ではマズイってコトでしょう!

⑤ホームズの女性に対する態度に関しては ―
原作では、基本的に女性を信頼していない女嫌いであるが、対応はあくまでも紳士的(女性の知性に関して小バカにしている態度が伺えます)。
唯一、「あの人」と呼び写真を持っている女性がアイリーン
でも、「最後の挨拶」「悪魔の足」の中で、自身「女性を一度も愛したことがない」とワトソンに言っています。

まあ、これに関しては恋心を抱いていたという説が圧倒的なので、今作でのホームズアイリーン
レイチェル・マクアダムス)の関係はファンにとっては嬉しいかも知れませんね。
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このホームズは恋愛に興味が薄く奥手とは決して言えない感じぃ~。過去に恋愛関係にあった様ですが未練たらたらです(笑)。

アイリーン
原作では元オペラ歌手。
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登場作品「ボヘミアの醜聞」では冒頭で「故アイリーン・アドラー」と記されています。
と、いう事は・・・
ロマンスはあり得ない!?(まあ、作者のドイルもホームズを甦らせているので、コレ位はOKでしょう)。

この作品ではヨーロッパを股にかけた女怪盗 
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活動的且つ小悪魔的な魅力のある女性として描かれていますホームズをも凌ぐ知性の持ち主って感じではアリマセンけどネ)。

⑥ホームズとワトソン関係は ―
原作では探偵と助手。
ホームス曰く「僕の伝記作家」と評し、一見素っ気無い態度を取ることが多かったようですが、実は唯一無二の友として、助手として深く信頼していた様子が伺えます。
ホームズの凄さを理解するために、一般的な知的水準の語り手として、また、信頼のある実直な常識人として描かれています。

ワトソンホームズの友情に関する部分は、この作品では大いに強調されています。

信頼のある実直な常識人と言うよりは、強い意思を持ち行動力に富んだ同志と言った感じで描かれていたように感じました。
ホームズワトソンの掛け合いはコメディーセンスも満載で笑いを誘いますし、ホームズの同志として力を合わせ冒険していく様は見ていて力が入ります
ワトソンが・・・七つ道具で鍵を開けようとしているホームズを尻目にドアを蹴り開けたり、婚約者のメアリーの件でホームズを殴ったり等々)

⑦推理法は ―
原作では徹底した現場観察(神経質なまでに)によって得た手掛かりを・・・
過去の犯罪事例に関する膨大な知識。
物的証拠に関する化学的知見。
犯罪界の事情通から得た情報
などと照らし合わせて分析し、事件現場で何が起きたかを推測する緻密な方法を駆使します。

今作では、事件に関して言えば、直感とインスピレーション(天才的閃き)によって無造作とも言える雰囲気で手掛かりを得ていき、上記の様に神経質な感じは微塵も感じられません。
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ただ、ホームズの卓越した観察眼は ―
ワトソンの婚約者メアリーとの会食(彼女の人物像を言い当てる)や、ホームズが修道会の教会に連れて行かれるくだり(連れてこられた道のりと相手の素性などを言い当てる)で軽く披露されます。
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最重要であると思われる謎解きの解説は・・・
キチンと最後にありました。
ホームズがそれまでとってきた行動を含む作品中に散りばめられてたシーン(伏線)、逆戻しで再構築されていく様は観ていて気持ちが良かったです。




冒頭にも書きましたが、従来のイメージを引きずり本格推理サスペンスを期待する人達を大いに驚かせ、ホームズ像を一新させる様な斬新さ。
はらはらドキドキの冒険活劇。
アクション・アドベンチャー的味付けが全面に押し出されています。
ホームズ、ワトソン、アイリーンの活躍は、
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「パイレーツ・オブ・カリビアン」ジャック、ウィリアム、エリザベスを彷彿させます。


推理の謎解きの部分は ―
知的且つ綿密な計画的犯罪を暴くといったものではなく、大味ですがダイナミック。
黒魔術を科学的なアプローチで解明してく様子は、マジックのトリックを暴くアノ凸凹コンビ「TRICK」的(?)

本格的に事件が発覚し、解決に向かうまでに退屈してしまう部分もあるかも知れませんが、その後の躍動感とストーリー展開で一気に観客を惹き込んでくれます。
新時代のホームズは、探偵ではなく「ヒーロー」として私たちの前に登場したのです!(コレをホームズと認めるかは別次元の話でしょう(笑)

誰でも楽しめる娯楽大作に仕上がっています。
従来のホームズ像にコダワリがありそれ以外は認めない!という人意外の貴方。
お勧めです。

<最後に>
さらなる続編への序章といった趣が強く ―
今回の犯罪の黒幕、モリアティー教授の存在、
アイリーンがモリアティーに握られている弱み、
など、続編が楽しみですね。

さて、全何部作になるのかなぁ~