ミルク (MILK)
監督:ガス・ヴァン・サント(エレファント)
出演:ショーン・ペン(ミスティック・リバー)
エミール・ハー シュ(イントゥ・ザ・ワイルド)
ジョシュ・ブローリン(ノーカントリー)
ジェームズ・フランコ(スパイダーマン1~3)
ディエゴ・ルナ(ターミナル)
<あらすじ>
1972年、ニューヨーク。金融業界で働いていたハーヴィー・ミルク(ショーン・ペン)は、20歳も年下の青年スコット・スミス(ジェームズ・フランコ)と出会い、恋に落ちる。2人は変化を求めてサンフランシスコに移住し、同性愛者たちが集まる中心地“カストロ地区”で小さなカメラ店を開き、新生活をスタートさせる。
陽気なミルクの人柄が多くの人を引き寄せ、いつしか店は同性愛者たちの社交場となっていく。
それにつれてミルクは、同性愛者をはじめとした社会的弱者が抱える問題を改善するために積極的に活動するようになり、次第に政治に目覚めていく。
そして、市の行政に直接関わるべく、ついには市政執行委員選挙にも立候補する。自由な空気漂うサンフランシスコとはいえ、同性愛者であるミルクの決断は周囲に大きな波紋を広げていく。
ミルクは、クリーブ・ジョーンズ(エミール・ハーシュ)をはじめとする多くの若者から支持を得て、見事、市政執行委員に当選、全米で初めて同性愛者であることを公言して公職に就くことになった。しかし、就任して1年も経たないうちに、ミルクをある悲劇が襲う――。
(allcinema、cinemacafe.net より)
<キャッチコピー>
「ミルク」は、
希望のはじまりだった。
1970年代のアメリカ。マイノリティのために戦った政治家
ハーヴィー・ミルク…人生最後の8年間
<受賞歴>
○アカデミー賞:主演男優賞・脚本賞
○全米批評家協会賞:主演男優賞
○NY批評家協会賞:作品賞・男優賞・助演男優賞
○ロサンゼルス映画批評家協会賞:主演男優賞
○インディペンデント・スピリット賞:助演男優賞・新人脚本賞
○全米映画俳優組合賞:主演男優賞
○放送映画批評家協会賞:主演男優賞・アンサンブル演技賞
○全米脚本家組合賞:オリジナル脚本賞
○ボストン映画批評家協会賞:監督賞・主演男優賞・脚本賞
○ナショナル・ボード・オブ・レビュー:助演男優賞
○パーム・スプリング国際映画祭:主演男優賞
○フェニックス映画批評家協会賞:主演男優賞・アンサンブル演技賞
○サンフランシスコ映画批評家協会賞:作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞
○サウスイースタン映画批評家協会賞:作品賞・主演男優賞・脚本賞
<マメ知識>
○ハーヴェイ・ミルクは、タイム誌が選ぶ20世紀の100人の英雄の一人に選ばれています。
○アメリカの条例制定:アメリカでは条例が国民投票によって決まります。国民投票する前
は「提案(プロポジション)」と呼ばれ、その提案に賛成か反対かの投
票で、条例として制定されます。
○提案(プロポジション)6号:1978年にカリフォルニア州に提案された「プロポジション6」は
同性愛者やそれを受容、支持する人たちを教職などから解雇
する権利を認める内容でした。ミルクは”No on 6”(提案6
号に反対)というムーヴメントを起こし、一躍全米に知られるよ
うになりました。
<感想など>
全世界で41程の映画賞を獲得した本作品。
私は恥ずかしながら、この作品と出会うまでは、ハーヴィー・ミルクを知りませんでした。
当然、彼が何者で何を成し遂げたのかも・・・
1970年代のアメリカ社会では、同性愛者は社会的に差別され、病気であるとみなされていました。彼等の人権、権利は踏みにじられ、同性愛者である事を理由に仕事を解雇されたり、彼らが集まっているバーに警察が摘発に入り連行されるなんて事もしばしば・・・
映画の冒頭でさそれらの事実を実際のドキュメンタリー映像で流し・・・ミルクの死を伝えます。
ミルクは遺言をマイクに・・・
残されるであろう人達へのメッセージを吹き込み始めます。
そこからは時間軸を巻き戻し、回顧録的な作りになっていて運命の日までのミルクの生き様を描いていきます。
「自分は40歳になろうとしているのに、何も成し遂げていない」 その思いから、ミルクとスミスは新天地サンフランシスコへ。
社会のマイノリティー(少数派)であるゲイの自分たちが暮らしくていく・・・
ためには、自分たちのコミュニティーを作る必要があると気付き、その中心となって活動します。
やがて、ゲイのコミュニティーの中で暮らす事で今まで隠れて生活していた窮屈さを知り、
「自分たちが自分たちらしく生きるためにはどうすれば良いのか?」
を考え、やがて政治活動に没頭して行きます。
「我々は此処にいる!」と社会に知らせ、
認知させるために!
そして政治家として活動をする事で、
社会的な偏見、
大勢を占める思想(考え方)
と戦い、同性愛者だけではなく、一般的にマイノリティー(少数派)と言われる人達の代弁者となり本当の意味での人権、民主主義を勝ち取ろうという大きなムーヴメントを引き起こします。
劇中、ミルクが演説の中で、
衆国独立宣言の「すべての人間は平等につくられている。創造主によって、生存、自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている。」
と、自由の女神の台座に刻まれている詩
「私が受け入れるのは、疲れた人、貧困にあえぐ人、自由を切望しながら身を寄せ合う民衆、他国の海岸で惨めに拒否されるたくさんの人々~」
を引用して、
「これがアメリカの魂だ!」
と、力説します。
そうです!差別される所以など、何処にもないのです!
此処に、何故彼の起こしたムーヴメントが一過性のモノではなく、後々の世界的な潮流となり得たのかの本質があるのだと思います。
マイノリティー(少数派=社会的弱者)、
マジョリティー(多数派)に関わらず
「人権は守られて
然るべきである」
その希望、正義を一貫して訴え、行動し、志半ばで凶弾に倒れたハーヴィー・ミルク。
この映画を観た人全てに、彼は訴え掛けます。
「クローゼットに隠れていないで、外に出よう(カミング・アウトしよう)」と!
そう、
「変革を起こすには、
行動が必要である」と!
俳優陣も豪華です。
ショーン・ペンは、言わずと知れた名優中の名優です。ゲイの政治家ハーヴィー・ミルクを魅力的に演じています。
イケメンをナンパする場面、彼等の日常などは勿論、演説の場面などは、熱が入っていて必見です。
また、共演陣のラインナップも強力!
エミール・ハーシュ、ジェームズ・フランコ、ディエゴ・ルナのイケメン実力派。
40歳過ぎてからブレイクしたジョシュ・ブローリン。
特にジョシュ・ブローリンは複雑な難しい役を見事
にこなしていて、多く映画賞で助演男優賞を獲った
のも頷けます。
さて、この映画、
単なるゲイの映画ではありませんので、その手の映画が
苦手な貴方。
少し安心を・・・・
*但し、ゲイが主人公なので所謂、
その様なシーンもあります。
カミング・アウトしようと思っている貴方。
社会的抑圧からの解放のために戦う人の姿に感動を憶える貴方。
1970年代の同性愛者の公民権運動に興味のある貴方。
そして41の賞を獲得した映画に興味のある貴方。
お勧めです。
<おまけ>
監督のガス・ヴァン・サントは、ゲイだという話です。
若手の俳優にイケメンが多いのは、その為か?
4月18日公開です。

