監督:サンドリーヌ・ボネール(「仕立て屋の恋」主演女優、初監督作品)
出演:サビーヌ・ボネール

<あらすじ>
11人兄弟の七女に生まれたサンドリーヌ・ボネールには一歳違いの妹、サビーヌがいた。陽気で美しく、芸術的才能が豊かなサビーヌは幼い頃から特別なケア を必要としてきた。─彼女は自閉症である。同級生から「バカ・サビーヌ」とからかわれる日々。やがて姉妹兄弟がそれぞれの人生を歩み出す中、一人、母親と 暮らす彼女。兄の死をきっかけに彼女の孤立感は増し、不安は家族と自分に対する衝動的な暴力として現れた。そして自閉症としての適切な診断を受けることな く28歳で精神病院へ。入院は5年に及ぶが、退院時の姿は変わり果てていた。

<キャチコピー>
観た人全ての心をしめつけた
姉が自閉症の妹に贈る「映画」という「抱擁」

<マメ知識>
○第60回カンヌ国際映画祭 ─ 監督週間で国際批評家連盟賞を受賞


<感想など>
この作品は、フランスの大女優サンドリーヌ・ボネール
初監督作品。
題材が、映画のジャンルが特殊です。
自閉症の実の妹を題材にした、ドキュメンタリー作品です。

映画は精神病院に入院する前と後の映像を交互に見せ、違いの差を見る手法で展開していきます。
精神病院に入院する前の
サビーヌ非常に美しく、屈託のない笑顔をカメラに向かって振りまき、快活に飛びまわり、ピアノを弾く。
生の躍動感に満ち溢れています。

しかし、入院後の
サビーヌは・・・・・・
自分の身体を洗うことも出来ず、
廃人のようになってしまっていました。

健常な人間が精神病院で廃人にされる映画と言えば、ジャック・ニコルソン「カッコーの巣の上で」が有名ですが、「彼女の名はサビーヌ」これは実話です。
しかも、精神病院へ入院させたのは、色々と理由を述べ、
サビーヌを撮っているボネールその人なのです。

障害を持つ人間に対して、正しい理解が無いと、
本人にどれだけの不利益が生じるのか?
不利益という言葉では表現できない位の
想像を絶するような人権侵害が行われてしまうのか?

その怖さを感じました。

サビーヌは、退院後自閉症専門の入所施設徐々に回復を見せていますが、
在りし日の彼女の姿からは程遠いです。

「取り返しの利かないことをした」という事実の重さが圧し掛かってきます。

執拗に
ボネール来訪の確認をするサビーヌ。
そこには、成長と共に

サビーヌの周囲から物理的にも心理的にも距離が開いていった姉妹への想い。
強烈な不安、孤独が込められて
        いるように感じました。


そしてラストシーンで
元気だったころの自分のDVDを観て、

サビーヌ
声を上げて泣き出します。

「辛かったらやめるわよ」
の問いかけに
「そうじゃないの嬉しいの」
と答え・・・・・・・
寂しげに微笑む。

辛さを背負った
サビーヌ。
過去、未来を全て自分の中に閉じ込めた悲しさが心を締め付けてきます。

自閉症をはじめとする障害に興味のある貴方。
ドキュメンタリーが好きな貴方。
お勧めです。
なるべく多くの人に観て欲しい作品です。

<おまけ>
障害者に全く興味が無い人や、地味なドキュメンタリーが苦手な人には辛いかも知れません。