監督:マブルク・エル・メクリ(その男ヴァン・ダム)

出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム(ユニバ-サル・ソルジャー)
    フランソワ・ダミアン(TAXi4)
    ジヌディーヌ・スアレム(ロシアン・ドールズ)、カリム・ベルカドラ(クリムゾン・リバー)
    ジャン=フランソワ・ウォルフ(その男ヴァン・ダム)、
    アンヌ・パウリスヴィック(その男ヴァン・ダム)

<あらすじ>
90年代に絶大なる人気を持っていたアクション・スター、ヴァン・ダム。しかし最近では年齢のせいかアクションを演じるのも疲れ気味でワンカットのシーンでは本音を漏らす。金銭トラブルや娘の 親権争い、出演依頼もビデオストレート作品が続き、運にも見放され正にどん底。
ロサンジェルスの喧噪を離れ、故郷のブリュッセルへと逃げ帰ってきたヴァン・ダム。ここでは彼もまだまだスーパースター。
そんな彼が何とかギャラの前払いをとりつけ、弁護士に払う金を引き出しに故郷ベルギーでたまたま入った郵便局は、何と強盗が占拠中。警察との交渉役に利用された彼は、今度は犯人と間違えられてしまう。
果たしてヴァン・ダムはこの「どん底」から脱する事はできるのか。


<キャチコピー>
ヴァン・ダムがヴァン・ダムを演じる

<マメ知識>
○2008年第32回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネスオープニング作品
○「ユニバーサル・ソルジャー」「タイムコップ」「サドン・デス」で90年代のハリウッドを席巻した
  アク
ション・スター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが、落ち目の自分自身を演じるセルフ・パロディ
。
○監督は、昔からヴァンダムの大ファンだったとの事です。

<感想など>

私、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが大好きです。
そうですなんです。
「あんな、終わったアクション・スター」と言われようが、
好きなものはしょうがない。
「サイボーク」で彼を見てから、
「ユニバーサル・ソルジャー」「タイムコップ」「サドン・デス」とハマっていき、B級、いやC級の作品もDVDでチェックしてました。
そんな彼が
自虐ネタ?で殴り込みをかけるとあっては観るしかないでしょう!!

って事で観に行ってきました。

作品の見所は、これしかないです。
ヴァン・ダム自身が本人を演じるている。
この一点に尽きます。

今のヴァン・ダムの現状を表すようなシーンが満載。
オープニングからやってくれます。
戦場と思われる場所に乗り込んだヴァン・ダムが、人質救出の激しいアクションシーンを1カットで撮りますが・・・。
終わった時NGと分かると「俺はも47歳だ。1カットで撮るのは無理だ」と息を切らせながら、泣きを入れ、

また、親権を争う裁判シーンでは弁護士から、出演作が社会的に問題があるのモノばかりと責められ、
娘からは
「パパは好きだけど、TVに出るたびに友達に笑われるから
一緒に暮らしたくない」

と言われるなど散々な有様。

さらに、郵便局強盗に入った彼の大ファンだという犯人との会話では
「セガールに次回作を盗られた(ポニーテールを切ったので)」
「ジョン・ウーをハリウッドに呼んだのは
ヴァン・ダムだが踏み台に
 され、2作目のフェイス・オフでは使われなかった」


などなど、落ち目(過去)のアクション・スターの現状(現実)をリアルにあぶり出しています。
フィクションなんだけど、フィクションに思えないリアル感が何ともいえません。
ファンとしては笑うに笑えない・・・・・。
自虐的で、皮肉たっぷりです。

本当の見せ場は作品の後半にあります。
カメラに向かって自分の心情を独白するシーン。
ヴァン・ダムが涙ぐみながら、カメラに向かってドラッグ、離婚、アクション俳優としての宿命などを語りかけます。
現実の彼
自身が抱えている(いた)問題とシンクロし
本当の事を言っているのは?
と
思えてきます。
「自分は特別では無い。夢を叶えられたのは、
 夢を叶えようと強く思ったから」
「自分より、才能にあふれた人がチャンスに
 恵まれず埋もれていくのは耐えられない」
「ハリウッドは、『押忍』の一言で相手を信頼
 する空手の世界とは違い、相手をだまし
 『勝っ た者勝ち』がまかり通る
」
人としての想いを訴えかけ、その想いが伝わってくるような、とても良いシーンです。

ラストシーンで、刑務所で思いがけない面会を果たした時の
ヴァン・ダムの演技も特筆モノです。

ただの悪ノリの自虐ネタのオンパレードかなのかと思いましたが、監督がヴァン・ダムの大ファンということもあり、それだけに終わらず彼の新たな魅力を見事に引き出しています。
映画の作りそのモノもシッカリとしています。
事件を警察と犯人の双方の視点から時間軸をずらして描くことで、事件の表層と深層を比較して見ることができます。
奥の深い作品に仕上がっています。

とにかく
ヴァン・ダムファンの貴方、必見です!
いや、観なければいけません。


俳優が新境地を開拓した瞬間に立ち会いたい貴方。
お勧めです。

*今後の
ジャン=クロード・ヴァン・ダムは、?どちらに進むのでしょうか。