こんにちは。

 

今回は、

「引き寄せの法則」の起源や思想的背景について掘り下げてみます。

 

この思想がどんな経緯で生まれ、

どのような変遷を経て現代に至るのか、

流れを見ていきます。

 

引き寄せの法則の直接の源流

「引き寄せの法則」は、

19世紀のアメリカの東海岸で誕生しました。

 

その背景には、

キリスト教プロテスタントのカルバン派による禁欲主義や宿命論に対する反発がありました。

 

カルバン派は、カトリックの腐敗した教会支配に対抗する形で生まれたもので、

聖書の教義に忠実であることを重視しているだけでなく、

現世利益は否定しており、

不寛容な態度を取ることも少なくありませんでした。

教義に反した人々に厳しい罰を加えることもありました。

 

一方、

19世紀後半のアメリカは資本主義が発展し、

国が豊かになって、

皆がそれを享受しはじめた時代でした。

カルバン派の厳しい思想と、

この新しい経済状況はうまく調和しなかったものと思われます。

 

そして、

このタイミングでカルバン派に異議を唱えるべく登場したのが、

「ニューソート」と呼ばれる新しい思想運動です。

ちなみに「ニューソート」を和訳すると「新しい考え」となります。

 

ニューソートの誕生

ニューソートと呼ばれる思想運動は、

神学者のスウェーデンボルグや、

東洋思想も取り入れた思想家のエマーソンの思想を支えに始まりました。

(写真はエマーソンです。)

 

 

この運動は、

すべてのものに神が宿るという、東洋の思想を取り入れた汎神論と、

現世利益を肯定する思想を基づいており、

ポジティブな思考や感情、創造的な視覚化を組み合わせることで、

エネルギーの法則と「共鳴」し、

良い経験や機会を引き寄せることができると考えました。

 

これが「引き寄せの法則」の基本的な考え方に繋がっていきます。

 

引き寄せの法則の発展

「引き寄せの法則」は、

20世紀初頭から多くの著作を通じて広まっていきました。

 

1900年頃には、

ジェームス・アレンの「原因と結果の法則」が成功法則のバイブルとして出版されました。

 

続いて、

ウィリアム・ウォーカー・アトキンソンの「引き寄せの法則 すべての願いが現実になる」が出版されました。

このタイトルからニューソート起源の自己啓発の考え方が、

「引き寄せの法則」として広く知られるようになりました。

 

1937年には、

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーへのインタビューで有名な元新聞記者のナポレオン・ヒルが、

「思考は現実化する」を出版しました。

石油王のロックフェラーと並び称される

世界的な成功者が生き証人となったことも手伝い、

引き寄せの法則の影響力をさらに広げました。

 

その後、

ジョセフ・マーフィーの「眠りながら成功する」が出版され、

これも多くの人に受け入れられました。

 

日本において「引き寄せの法則」が有名になったのは、2000年代以降のことだと思います。

私自身はそれ以前にも引き寄せの法則には着目していましたが、

エスター・ヒックスとジェリー・ヒックスのチャネリングによる著作である『引き寄せの法則』や、

映画にもなっている、

ロンダ・バーンの『ザ・シークレット』以降に、

「引き寄せの法則」がブレイクしたと思います。

私自身もこれらの本をすぐに読んだ記憶がありますし、

これ以降本屋さんの自己啓発や精神世界コーナーで、

このテーマの著作が増えて行ったと記憶しています。

 

俯瞰的に見た引き寄せの法則の位置づけ

「引き寄せの法則」に至るまでの流れを、

もう少し長い目で俯瞰的に遡って見てみます。

 

まず、それまでになかった一神教が、

他国の侵略で逆境にあったユダヤ人から生まれます。

ユダヤ教です。

 

その後、律法で人を縛るユダヤ教に反発して生まれたのが、キリスト教。

 

キリスト教カトリックの教会支配から脱却し、聖書に帰れとやったのがプロテスタント。

 

プロテスタントに反発したのがニューソートであり、

 

ニューソートの思想を人生の改善に使えるように表現したのが「引き寄せの法則」です。

 

これまで、宗教に支配されてきた一般の人たちが、

自分達の欲求を肯定して、

それに従う生き方が正しいと主張し始めたという意味で、

大きな前進だったと思います。

 

このように、

綿々と続く一神教の歴史から派生した思想の流れの中で、

「引き寄せの法則」は生まれたことが分かります。

 

また、

キリスト教支配に対抗して同じく生まれた「科学」や、

キリスト教を超えて世の中を支配する様になった、

「資本主義」等と並べて考えると、

「引き寄せの法則」思想の立ち位置やスケール感が見えてきます。

 

一神教の人々が、

時代ごとの相当にハードな矛盾と相克を解決する中で生まれてきた思想なのだと考えます。

 

日本に輸入された引き寄せの法則

日本では、

古来から神道がありますが、

飛鳥時代の頃に仏教、

明治維新以降に科学や資本主義が輸入されました。

 

そして、

バブル期以降の新興宗教ブームとともに、

ニューソート起源のカウンターカルチャーが輸入されるという、

色々な思想、価値観、宗教のベースの上に、

「引き寄せの法則」が輸入されてきました。

 

神道、仏教、科学、資本主義、カウンターカルチャーに引き寄せと、

なんでもありで、

まさに八百万の神の世界ですね。

 

相補い合う思想

東洋や西洋の宗教、科学、資本主義、

そして引き寄せの法則を含むカウンターカルチャーは、

一見相反するように見えますが、

実は一つの大きな何かの派生であり相補っているのかもしれません。

 

これらすべてを含んで説明できるロジック至ることが出来るかどうか、

現代において人類が試されているのかもと感じます。

 

「引き寄せの法則」は、

私たちの生活に重要な影響を与えるものの一つですが、

すべてではないと思います。

 

引き寄せの法則は他の思想や信念を補うものであり、

私たちの人生を豊かにするための一つの武器やツールなのかもしれないと、

感じています。

私自身も

私自身も、「引き寄せの法則」を単に鵜呑みにするのではなく、

自分なりに考え、納得できるところまで深めるべく試行錯誤しています。

 

少々議論があちこちに飛びがちでしたが、

次回以降も「引き寄せの法則」について、

引き続き掘り下げていきたいと思います。

 

それでは、また。