ようこそ、ひでちぇろブログへ。
今回は、アマチュアオーケストラにおける、
「指揮者の影響」についてです。
指揮者の影響はすごく大きい!という話です。
巷では、オーケストラの指揮者って、
そもそも音も出してないし、
ホントに必要なの?
という声を聞くことがあります。
しかし、
そんなことはなくて、
非常に重要で、
なくてはならない存在です。
というお話です。
世の中のアマオケにおいては、
初回練習にほとんど人が集まらず、
弦楽器の大半はほとんど弾けていないかエキストラという、
伸びしろが大きくて頑張っているオケも有ります。
こういうところだと、
指揮者はトレーナー化せざるを得ません。
しかし、トレーナーというのは、
トレイン(列車)の様に決まった線路の上を
走れる様になる為に存在するので、
これは指揮者とはまた違う仕事の領域です。
(もう少し上のレベルの話です)
ではなぜ、指揮者が大切か、
その理由について説明します。
まず、音楽の演奏には数学的な正確さが大切です。
音程とかリズムが大きく狂うと、
音楽として成り立ちません。
しかし、正確さだけでもまだ芸術としての音楽とは言えません。
JRのホームで発車前に鳴るやつみたいなもので、
芸術ではなく単なるメロディーです。
こういうのは、メトロノームやチューナーに合わせるとか、
コンピューターに入力して再生すれば良く、
指揮者はまったく不要です。
音楽には、
小説と同じく時間経過に伴うストーリーがあります。
さらに全体的に見ると、
多くのストーリーを集めたことで伝わる、
言葉にできないメッセージがあります。
例えば、ベートーベンの交響曲「運命」を、
30分くらいかけて聴いて、
その後に感じる「何か」がメッセージです。
このメッセージですが、
オーケストラにおいては、
演奏者の一人一人が違ったメッセージを持っています。
特にアマチュアでは理解の浅い者同士なので、
さらにみんながかけ離れたメッセージを持っていると思われます。
この状態で指揮者無しで演奏すると、
犬ぞりで言えば、
それぞれの犬が360度自由な方向に進もうとする感じになります。
どこにもたどり着かず、
メッセージどころではありません。
各メンバーの自己主張が相殺されて、
意味不明で非常につまらない演奏となること間違いなしです。
演奏者同士で話し合うやり方も不可能ではないでしょうが、
プロの弦楽四重奏団でも意見調整がすごく大変と聞くので、
あまり効率的とは言えません。
ここで指揮者の登場です。
一生懸命譜面を勉強して理解した一人の人間が、
一貫性を持ってストーリーをどう展開して、
メッセージを構築していくかあらかじめ設計して、
それをオケを使って表現する。
音楽で最も大切な一見目に見えない抽象的部分メッセージを
どうやって伝えるのか、
指揮者が一貫性を持って多くの演奏者を引っ張っていく訳です。
脳の部位で言えば、
人を人たらしめている大脳皮質のような存在、
会社でいえばまさに社長のようなものです。
犬ぞりなら、
犬に指令を出すそりに乗った人です。
この、指揮者の存在によって、
初めて皆のベクトルが合って、
オケの音が「音楽」になるという訳です。
ここで、演奏者目線ということで、
指揮者とオケに関する自分の経験について書きます。
若い20代の頃の私は、
メッセージ的な抽象的なものが
音楽になっているという認識がありませんでした。
感情をぶつけるのが表現だと勘違いしていました。
しかし、30歳前くらいから、
チェロのトップをやることが増え、
それではうまく行かなくなりました。
指揮者の振る棒に対して、
拍を点のタイミングだけで合わせようとしても、
ぜんぜん合わない訳です。
そうして分かってきたのが、
自分でメッセージを持って、
ストーリーを描けていないと、
説得力のある演奏ができないということです。
自分の中にストーリーがあると、
指揮者のメッセージが良く分かるようになります。
指揮者の棒が一番下に来たところを打点と言いますが、
みんな少し打点より遅れて音を出します。
これは、
指揮者から発信される、
ストーリーの様なより上位の情報を皆で受け取って、
そのあと皆で一斉に音にする過程で自然な事だと分かってきます。
目に見えないレベルの高い情報のやり取りが分かってくるのです。
そういうやり取りのなかで、
指揮者の重要性、大変さ、凄さが分かる様になってきて、
今に到っています。
で、
こういうフィールドでの情報のやり取りは、
臨床心理学とかカウンセリングの分野では、
無意識領域のコミュニケーションに当たると思われます。
人は言葉やしぐさ等に現れる意識上と、
表には表れない無意識下の領域の両方でコミュニケーションしており、
その両面に働きかけて人を治癒と成長に導く訳です。
これと同じく音楽において、
指揮者とオーケストラは、
音が鳴って耳で聞こえる領域(意識)と、
人同士の心がどこかで繋がっている深い領域(個人的無意識、集合的無意識)
でコミュニケーションしているわけです。
ということで、
アマチュアでもプロでも、
オーケストラでの指揮者の影響はものすごく大きい訳です。
意識、無意識両面でのコミュニケーションで、
メッセージを作り上げる為の導き手として。
以上です。
それでは。
