子ども手当ての動向に世間の注目が集まっている。
私も以前子ども手当てについて取り上げたことがある。
要約すれば、子ども手当てと引き替えに、
2011年から16歳未満の子どもの扶養控除と、
16歳以上18歳以下の子どもの特定扶養親族が廃止になるため、
子ども手当てが給付停止になれば単なる増税しか残らなくなるという内容だ。
しかもこの可能性は、実際に現実味を帯びている。
昨年の参議院選挙で与党の民主党が負け「ねじれ国会」になったことから、
野党の反対で子ども手当ての法案が今年通らないかもしれない。
しかし民主党は何が何でも子ども手当てを死守しなければ、
騙されという世論が大きくなり即退陣となってしまうだろう。
ところで「何故こんな無茶な法案を民主党は提案したのか」というのが、
そもそもの根本的な問題である。
これについて記者が菅首相に質問したのだが、
このときの首相の発言に私は非常に違和感を覚えたので取り上げよう。
それは
「一部は過大に見積もっていたところもある。
野党の立場で財政の本当の中身を見いだすことは難しかった」
という発言。
私個人的には、先日の日本国債格下げのときの
「そういうことに疎いので」
発言よりも遥かに衝撃的だった。
これを聞いて何を思ったか。
政府の内情はよく知らなかったのだが、私が思っていたのは、
マニフェストや予算を作るときのベースとなる、
政府の歳入や歳出などの財源の細かいデータは、
野党にも公表されているもんだと思っていた。
でなければマニフェストに政策を盛り込むときでも、
論理的な予算根拠が無く説得力のある説明ができない。
今回の発言は
「政権公約の数々は、概算でなんとなくいけるだろうと思って作りました」
と証明していることに他ならない。
その証拠に民主党でもあり自民党であった与謝野経済相も、
今回の民主党マニュフェストに対して
「無知だったと言わざるを得ないぐらいの数字。
政権を取れば金庫の中も分かるので、政策はどんどん現実的になっていく」
とコメントしている。
なるほど、与党と野党では財源の
コンセンサスが全く取れていないとは、
全然知らなかった。
ということは、選挙において野党の作ってくるマニュフェストには、
数字的根拠が全くない。
ということは実現不明な理想論を掲げていることになる。
財源という制限が無いのであれば、
それはもう耳あたりの良い政策ばかり言いたい放題だろう。
これはいかがなものか。
「国」というのは国民から徴収した税金を適正に運用するシステムであり、
無茶な成長戦略を掲げて資金を集めて投資する「株式会社」とは全く違う。
よって政府に求められるのは「安全かつ正確な成果」であり、
一般企業のような「ハイリスクハイリターンの成果」ではない。
であれば、財源や歳入歳出データは広く公開して共有すべきであり、
与党・野党ともに中身ある政権公約をしなければならないはずだ。
マニュフェストが絵に描いた餅になる理由が、よく分かった発言だった。