国立科学博物館『木組 分解してみました』へ、行ってみました | 『りょう太のぼうけん』〜イクメンではない子育て〜

国立科学博物館『木組 分解してみました』へ、行ってみました

空いた時間に、ちょろっと『木組』展だけを国立科学博物館へ見に行ってきました。

 

東京でも新コロの感染者数が激減しているからか、平日でも多くの人が、科学博物館に来ていました。特に目立ったのが、小学校や中学校の学校単位での見学です。

 

あぁ、子どもたちに科博を見せられる機会ができてよかったなぁと思います。こういうのって、なかなかキッカケがないと、自分から率先して来たがる子どもなんて少ないでしょうからね。子どもたちにとって、そういうキッカケになって欲しいなぁと思います。

 

一方で……今までせっかく空いていたのに……これからは科博も東博も混むんだろうなぁと、寂しさも感じてしまいます。

 

それはさておき
『木組』展

 

『木組』展の入り口には、左に法隆寺五重塔、右手に薬師寺東塔の模型が、展示会場を守るように配置されていました。いずれも「東京の世田谷で活躍した建具師の名人・本田真松」さんという方が作ったそうです。

 

いやぁ…本当に、実物の建物もですが、こうした模型も、芸術品と言ってよいような完成度です。むしろ実寸の建物は、寸法に遊びがあっても全体でバランスが取れるんでしょうけど、こうした1/25の縮尺で作る模型は「1ミリの寸法誤差も許されません。」というのも、うなずけます。

 

 

「凍れる音楽」と讃えられる名建築。構造的には三重塔ですが、角層屋根の下にさらに小ぶりな屋根を追加しているため六層に見えます。法隆寺は簡単な雲斗(くもと)・雲肘木(くもひじき)ですので、比較してみましょう。

(薬師寺東塔模型の解説パネルより)

 

 

 会場に入ると、はじめに目に入るのが「円覚寺舎利殿(しゃりでん)組物(くみもの)模型」です。組物とは、辞書には「軒の重荷をささえる部分」とあります。そうした実用性と合わせて、美しさを競う大事なパーツでもあるようです。

円覚寺
舎利殿

 

円覚寺の組物模型を見る限りでは、ほんとうにパズルですね。こんなのを組み上げるのはもちろん、考えるというのもものすごいです。

 

青葉園
「三重塔の軒」

 

 

大宮にあるという青葉園「三重塔の軒」の模型です。「はて? 青葉園ってなんだろう?」と思って調べてみたら、1952年に開園した墓地公園とのこと。

 

この三重塔は「鎌倉時代の明通寺三重塔を手本に」したとあります。「深く突き出た屋根が醸し出す華やいだ造形が特徴」とのこと。素人のぼくには、この模型を見るだけでは「華やいだ造形」を感じられないのですが……。解説パネルの最後にある「屋根裏に桔木(はねぎ)と呼ぶ材を入れて、テコの原理で先端を持ち上げる工夫を凝らしています」というのを読んでから模型を見ると……「なるほど…」と思いました。

 

  

錦帯橋

 

 

 

山口県の岩国市にある「錦帯橋」。とても有名な橋ですが、岩国市にあるということすら知りませんでした。岩国藩の吉川家といえば、長州藩(萩藩)の毛利家の親戚筋にあたる支藩ですね。今回の模型を見たのを機に調べてみると、幕末の長州征討の際は、第一次では幕府と長州の間を取り持ったとされますが、次の第二次征討時には長州藩とともに戦ったようです。

 

その江戸時代の1673年に、建てられたのが錦帯橋。よく写真では岩国城を円形に配して撮られています。

 

最初に建設されたのは1673年。その後は定期的な建て替えによって維持されてきました。現在の橋は2003〜2005年に掛け替えられた物です。

 

漠然とではありますが、てっきり江戸時代当時の物が残っているのだと思っていましたが、意外と新しく建て替えられていたんですね。

 

とはいえ、橋脚にあたる石垣部分などは、何度か流されたものの往時のものを使っているとのこと。数度の流失のたびに耐久性などを改良していき、現在の形に収まったようです。また、江戸時代に何度か建て替えたのは、大工さんの技術を維持させるため……という意味合いもあったようです。

 

もちろん、建て替える際に、こうして模型を作っておくのも、技術の保持には必要なことなのでしょう。とても精細な模型と合わせて、一部分は実物大で再現されています。

  

その他

「その他」とまとめてしまうのも心苦しいのですが……正直、木組についての知識を持ち合わせていないのと、そのパズルみたいな精巧な組み方に、感嘆するしかありませんでした。すごいよ、大工さんって。

 

 

 

ということで、今回の『木組 分解してみました』展は、東京会場を最後に、すべてが終わってしまったようです。

 

おそらく…おそらくですが、竹中大工道具館では、同じような展示がいつでも見られるのかなぁ…。遠いけど…機会を作って、行ってみたいです。