一時期は、これからの花形産業といわれ、人気業種だったソフトウェア産業界ですが、ここ最近は4K産業*と呼ばれたりして、人気を落としつつあります。弊社エンプレックスもそのソフトウェア産業界に身を置いているのですが、課題との戦いの毎日が続いています。他業種の方々には直接は関係ないかもしれませんが、どのような課題が発生しうるのかという参考ケースになるかと思います。
現在、ソフトウェア産業が直面する大きな課題は以下の4つと考えています。
1)会計方針の変更(工事完了基準から工事進行基準へ)
2)国際化による競争激化と新しいビジネスモデルへの対応
3)お客様からの要求の高度化と短納期の要請
4)技術者のキャリアパス設計
*編集注:「きつい」「厳しい」「帰れない」「休暇がとれない」のほか、「規則が厳しい」「化粧がのらない」「結婚できない」など諸説があるようです。
工事進行基準が迫る大改革
まず必須といえるのが、工事進行基準への対応です。これは業界の方であれば皆様ご存知の通り、売上・原価の計上基準の変更になります。これまでソフトウェア産業では、お客様にシステムを納品し、検収をいただいた時点で100%の売上と売上原価を計上していました。これが、2009年からは、お客様から発注をいただき、その後システムを構築し、最終的にお客様に納品し検収を頂戴するまでの期間、毎月または四半期ごとに、そのシステム構築プロジェクトの進行度合い(進捗率)に対応した売上と売上原価を計上するという新基準への対応を、事実上義務付けられることになりました。
難題なのが、「何を基準に進捗率を算出するか」ということと、「プロジェクト毎にすでに発生している原価の管理」つまりプロジェクト損益管理ができる体制を社内に構築することです。進捗率を計るには、プロジェクトにかかることが見込まれる総時間あるいは総コストを分母に、これまでに消費した時間あるいはコストを分子にして算出する方法などがありますが、いずれにせよ今まで「どんぶり勘定」で済ませていた場合には、管理部門と現場部門の双方にかなりの意識改革と業務改革、情報共有とコミュニケーションの強化が強いられることになります。
したがって、当然管理・コミュニケーションコストが大幅に増加することになりますので、情報収集・集計・共有に出来る限りITを活用することで、少しでもコスト効率を上げる措置をとっておかないと、いざ新しい会計基準に移行してみたら、現場が混乱し正しい数字が出ない、それを修正するためにさらに多大な工数が発生するといった悪循環に陥る可能性が低くありません。社内の混乱を避ける意味でも、進行基準自体の理解、進行基準へ移行する際に社内で変えて行かなければならないことの洗い出し、対応へのマスタープラン作りなど、早目の準備を始めることをお勧めいたします。
グローバリゼーションの波
次に大きな課題といえるのが、国際化による競争激化と新しいビジネスモデルへの対応です。数年前から、ソフトウェア産業にもオフショア開発の波が押し寄せてきています。システム開発作業を、日本よりも単価が安いインド・中国、最近ではベトナムなどにアウトソースする流れです。米国や欧州では既に、ほぼ全てのシステム開発やコールセンター業務などが、インドで行われているといっても過言ではありません。米国人のシステム開発技術者、コールセンターのオペレーターやスーパーバイザーなどは、インドへの転勤かあるいは退職という選択を強いられているケースも多いようです。
日本の場合言語の問題があり、米国や欧州ほどのオフショア化は進んでいませんが、これは日本にとってアドバンテージとなるのか、それともリソース活用が制限され競争力が落ちるという結果になるのか、まだわかりません。ただし、外国人技術者は多数日本に流入してきていますので、それに合わせて日本人技術者の単価は、全体的には下がってきていると感じます。
脚光を浴びる新たなビジネスモデル
もう一つがSaaS(Software as a Service)など、ソフトウェアにまつわる新しいビジネスモデルの台頭です。インターネットの普及により、システムのサーバーが何処にあろうとも、システムの利用者が何処にいようとも、インターネットに繋がる環境さえあれば、Webブラウザひとつでシステムを利用することができるようになりました。これにより社内で使うソフトウェアを固定資産として自前で構築して維持するのではなく、インターネット上で提供されている機能を、必要な人間が必要な期間、サービスとして使わせてもらうというモデルが脚光を浴びています。
日本のソフトウェア産業界の既存ベンダーは、このSaaSモデルに自社も取り組むべきなのか、あるいはSaaSのデメリットをカバーするポイントをより強化し、自社の付加価値にして競争していくのかなど、新しい流れを洞察・分析し、どのような方向に向かうにしても、より進化を遂げていかなければ、この先時代の流れに取り残されてしまうことになりかねません。
これら会計処理、激化する競争環境に加えて、ソフトウェア業界は、高度化・スピードアップするお客様からの要求、そして技術者のキャリアパスをどのように設計していくかという深刻な課題に直面しています。来月のコラムでは、それらの避けて通れない課題について触れたいと思います。
現在、ソフトウェア産業が直面する大きな課題は以下の4つと考えています。
1)会計方針の変更(工事完了基準から工事進行基準へ)
2)国際化による競争激化と新しいビジネスモデルへの対応
3)お客様からの要求の高度化と短納期の要請
4)技術者のキャリアパス設計
*編集注:「きつい」「厳しい」「帰れない」「休暇がとれない」のほか、「規則が厳しい」「化粧がのらない」「結婚できない」など諸説があるようです。
工事進行基準が迫る大改革
まず必須といえるのが、工事進行基準への対応です。これは業界の方であれば皆様ご存知の通り、売上・原価の計上基準の変更になります。これまでソフトウェア産業では、お客様にシステムを納品し、検収をいただいた時点で100%の売上と売上原価を計上していました。これが、2009年からは、お客様から発注をいただき、その後システムを構築し、最終的にお客様に納品し検収を頂戴するまでの期間、毎月または四半期ごとに、そのシステム構築プロジェクトの進行度合い(進捗率)に対応した売上と売上原価を計上するという新基準への対応を、事実上義務付けられることになりました。
難題なのが、「何を基準に進捗率を算出するか」ということと、「プロジェクト毎にすでに発生している原価の管理」つまりプロジェクト損益管理ができる体制を社内に構築することです。進捗率を計るには、プロジェクトにかかることが見込まれる総時間あるいは総コストを分母に、これまでに消費した時間あるいはコストを分子にして算出する方法などがありますが、いずれにせよ今まで「どんぶり勘定」で済ませていた場合には、管理部門と現場部門の双方にかなりの意識改革と業務改革、情報共有とコミュニケーションの強化が強いられることになります。
したがって、当然管理・コミュニケーションコストが大幅に増加することになりますので、情報収集・集計・共有に出来る限りITを活用することで、少しでもコスト効率を上げる措置をとっておかないと、いざ新しい会計基準に移行してみたら、現場が混乱し正しい数字が出ない、それを修正するためにさらに多大な工数が発生するといった悪循環に陥る可能性が低くありません。社内の混乱を避ける意味でも、進行基準自体の理解、進行基準へ移行する際に社内で変えて行かなければならないことの洗い出し、対応へのマスタープラン作りなど、早目の準備を始めることをお勧めいたします。
グローバリゼーションの波
次に大きな課題といえるのが、国際化による競争激化と新しいビジネスモデルへの対応です。数年前から、ソフトウェア産業にもオフショア開発の波が押し寄せてきています。システム開発作業を、日本よりも単価が安いインド・中国、最近ではベトナムなどにアウトソースする流れです。米国や欧州では既に、ほぼ全てのシステム開発やコールセンター業務などが、インドで行われているといっても過言ではありません。米国人のシステム開発技術者、コールセンターのオペレーターやスーパーバイザーなどは、インドへの転勤かあるいは退職という選択を強いられているケースも多いようです。
日本の場合言語の問題があり、米国や欧州ほどのオフショア化は進んでいませんが、これは日本にとってアドバンテージとなるのか、それともリソース活用が制限され競争力が落ちるという結果になるのか、まだわかりません。ただし、外国人技術者は多数日本に流入してきていますので、それに合わせて日本人技術者の単価は、全体的には下がってきていると感じます。
脚光を浴びる新たなビジネスモデル
もう一つがSaaS(Software as a Service)など、ソフトウェアにまつわる新しいビジネスモデルの台頭です。インターネットの普及により、システムのサーバーが何処にあろうとも、システムの利用者が何処にいようとも、インターネットに繋がる環境さえあれば、Webブラウザひとつでシステムを利用することができるようになりました。これにより社内で使うソフトウェアを固定資産として自前で構築して維持するのではなく、インターネット上で提供されている機能を、必要な人間が必要な期間、サービスとして使わせてもらうというモデルが脚光を浴びています。
日本のソフトウェア産業界の既存ベンダーは、このSaaSモデルに自社も取り組むべきなのか、あるいはSaaSのデメリットをカバーするポイントをより強化し、自社の付加価値にして競争していくのかなど、新しい流れを洞察・分析し、どのような方向に向かうにしても、より進化を遂げていかなければ、この先時代の流れに取り残されてしまうことになりかねません。
これら会計処理、激化する競争環境に加えて、ソフトウェア業界は、高度化・スピードアップするお客様からの要求、そして技術者のキャリアパスをどのように設計していくかという深刻な課題に直面しています。来月のコラムでは、それらの避けて通れない課題について触れたいと思います。