さきほどマーケットの番組を見ていて、ちょっと吹いてしまった。
 いつものようにアナウンサーが、アナリストをゲストに迎えて意見を聞いている。

 これから株価は上がりますか下がりますか、といった「予想」全般について、どうかとは思っている。
 そんなことがわかるのは神さまだけで、予想なんかに意味はないと良識あるスタッフたちも理解はしているだろう。

 それでもさまざまな「予想」について語るのは、番組として必要とされている情報提供だからだ、という割り切りのためだろう。
 意味がないと理解しつつも見てしまう、娯楽番組みたいなものかと思っている。

 思ってはいるが、ちょっとそれはないだろう、という論理展開が気になってしまった。
 たとえるなら、サザエさんを期待してテレビをつけたところ、エキセントリックな同人アニメを見せられたような気分だ。


 予想しているアナリストは、前回の出演で株価の上昇を予想していた。
 当時の状況は「三尊天井」を形成していて、ダブルトップ後に天井をつけた株価は下がる、という経験則になっている。

 それでも「そんなもんほっとけ、これから株は上がるんだ」と言っていたアナリスト。
 たしかにその後、株価は上がった。

 どうだ言ったとおりだろ、と胸を張っている場合ではない。
 上がった直後から、大きく下げたのだ。

 その点を指摘されたアナリスト、チャートを指し示して言った。
 ここが谷間のピーク、こことここで2つの谷、ダブルボトムを形成しているわけですよ、つまりここから株価は上がるんです!

 ……私はしばらく、ぽかんと口を開けた。
 おい、三尊天井というアノマリーはほっといていいけど、二番底ってアノマリーを根拠に語るのはいいのかよ!

 自分に都合のいい話はフルスロットで耳ダンボ、都合がわるくなると耳ギョーザ、という態度はよくある。
 まあ当人も確信犯で言っているのだろうが、経済番組で、たまに気持ちわるくなる瞬間だ。


 ジャニーズの一件でも、このマスコミのダメさかげんは広く知れ渡った。
 しかし私は、マスコミはもちろん問題なのだが、いちばん重要な部分は広告業界ではないかと思っている。

 この世で「商人」と「政治家」をたいへん嫌悪している私だが、その商人を憎悪する最大の理由が、まさにこの「広告」である。
 「バカを狙うダマシ」を追求する、広告業界──気持ちわるい。

 彼らはバカのなかでも、一定のボリュームゾーンを狙いすます。
 その「エサ」が、ジャニーズだった。

 ジャニーズという名前があれば、たいていのことができた時代。
 だまされるバカのために、手に入れなければならない武器、ジャニーズ。

 すべからく、ジャニーズのお歴々から気に入られなければならない。
 だから彼らの犯罪は、結果として見過ごされることになったのだ。


 ……いや、もちろん彼らは「だまし」てはいない。
 「夢を与えている」だけなのだろう。

 消費者に夢を与える。
 ある意味、これは商売の基本である。


 とある経済番組で、某トレーニング会社が紹介されていた。
 おいくらなんですか? という問いに、スタッフは自信満々、税抜き価格を答えた。

 2980円! と、3000円を切る価格を訴求してきたが、税込みだと3278円だ。
 つねづね思っているが、価格表示で税込みと税抜き、どちらを大きく表示するかでその会社の姿勢がわかる。

 税抜き価格は「自分の儲けを優先しています」という態度の表明である。
 なぜなら彼らが結果的に受け取るのは、わかりやすく表示された税抜き価格だからだ。

 税込み価格は「お客様を優先します」という態度が、それなりに見受けられると思う。
 なぜならわれわれが現実に支払うのは、わかりやすく表示された税込み価格だからだ。


 先日ちょっと寄ってきた某量販店なども、大きくわかりやすく税抜き価格を書いていて、税込み価格は添え物だった。
 二度と行かないようにしよう、と心に決めた。

 この店の場合、店舗の立地によってはタックスフリーの売買が多いこともあるかもしれない。
 が、全体の売り上げとしてはどう考えても国内のほうが多いはずだ。

 私は980円とか99円とか、その手の価格設定が大嫌いだ。
 心理学的には、大台割れ効果といったものを狙っているらしいが、かなり「バカにされている」気がしてしまう。

 被害妄想だろうか。
 だとしたら、もっと世界は生きやすくなる。

 私のようなタイプは、生きるのには向いていないかもしれない。
 明日からは寒いらしいので、この好きな季節をすこしは楽しみたいと思う。