最近、日経平均が爆上がりしている。
 テレ東の経済番組で、いつもの街頭ビジョンが映し出されていた。

 ほとんどの銘柄、画面グリーン一色のなか、下落している赤い銘柄がポツンとある。
 まさに企業カラー、その名は楽天……。

 ちょうどセール中で買い物していたところだったので、ちょっと笑ってしまった。
 というわけで、ひさしぶりにお買い物の話でもしよう。


 私は基本的にミニマリストだが、必要なものは買うことにしている(あたりまえ)。
 せせこましい話、ポイントについてもなるべく多く取りたい(たぶんあたりまえ)。

 細かいところにこだわるアスペ傾向もあり、ポイント制度についてはすこし調べてしまった。
 チリも積もれば、今夜が山田。

 だいたいどのサイトでも、1%とか2%という単位でポイントがつく。
 還元率の高いところで買うのは当然だが、そもそもこの「%」、どういう意味だろう?

 たとえば150円の買い物をしたとしよう。
 1%還元の場合、1.5p、2%還元なら3pだ。

 コンマ以下の数字の取り扱いは、サイトによって異なる。
 顧客としては切り上げてほしいが、切り捨てか四捨五入が多い。


 ヨドバシは、切り上げてくれている。
 いつも思うが、最初から税込み価格を表示してくれて、しかも全品送料無料、ほんとヨドバシは神。

 一方、amazonだが、こちらは四捨五入だ。
 上記の場合なら1%=2P、2%=3pとなる。

 さて楽天。
 もちろん切り捨てだが、その場合は1%=1P、2%=3Pになるはずだ。

 しかし上記の買い物の場合、1%=1p、2%=2pで、だいぶセコい。
 どんな計算をしているのかと言うと、まず150円の1%のポイント1pを出し、そこに倍率をかけていくスタイルなのだ。

 各サイトで150円の商品を検索し、個々の付与ポイントを調べてみたので、たぶんまちがいない。
 とりあえず23年6月時点では、そういう計算だった。


 むかし、うまい棒は10円だった。
 消費税の計算は切り捨てがルールなので、軽減税率の8%をかけて10.8円は、10円ということになる。

 これを10本まとめて買うと108円になるので、1本ずつ買ったほうが得だと話題にもなったが、だれもそんなセコいことは(あまり)しなかった。
 しかし楽天はいま、ポイントに対してこれをやっている。

 消費税は一般的なやり方で徴収し、ポイントについてはセコく付与する。
 仕入れるときは大きい桝を使い、売るときは小さい枡で量る、という江戸時代のゲス商人をほうふつさせる。

 しかも楽天は税抜き価格に対してポイントがつくので、上述の場合は変わらないが、価格によってはさらに減る。
 モバイルのときも思ったが、最初にばらまいてどんどん絞っていくという、そのスタイル……もはや伝統芸能といっていい。


 日経平均全面高のなか、独行安の原因でもある、その楽天モバイル。
 彼らの宣伝手法には、いぜんとして非常な疑義がある。

 「支払いにポイント利用でデータ20GBまで1年タダ!」
 そんな表示していいんですか、楽モバさん。

 たしかに私のアカウントには4万ポイントくらいあることになってるから、1年はそれで払える、という意味だろうと拝察はする。
 楽天キャッシュをポイントとして換算しているわけだが、言うまでもなくこれは私がお金を払って「買った」キャッシュだ。

 楽天キャッシュをタダでくれたなら理解もするが、お金を出して買った商品券でお支払いいただければタダですよ!
 などと言う店員がいたら、ちょっと意味がわからなくて距離を置くと思う。


 なぜ、私のお金で支払って購入したものが「タダ」なのか?
 日本語が通じているか?

 そもそもポイントだって、べつに楽天から「タダで」もらっているわけではない。
 相応の買い物やサービス利用の対価であって、税法上はグレーだが、厳密にやろうとすれば現金に準じる取り扱いにもなる。

 以前から変な感じはあった。
 かつて楽天キャッシュと楽天ポイントが交換できたとき、それで付与されたポイントまで「獲得ポイント」として「進呈」されている体になっているのは、どうなのか?

 「お客様のために」「ご奉仕」している体の「商人」がよく使う、「おためごかし」ロジックの極みだ。
 自分さえ儲かればいいだけの連中のくせに……。


 そんなことを思いながら買い物をすると、精神衛生上よろしくない。
 というわけで、買い物自体をあまりしなくなった。

 ミニマリストの行動原理としては少数派だと思うが、生き方としては気に入っている。
 無駄なものを置かず、決まりきった生活を、淡々とつづける。

 アスペの作家キルケゴールは、父親の遺産を計画的に消費し、ぴったり使い切って死んだという。
 私もいずれ、なにも残さずきれいに逝きたい。