私は動画をよく観る。
 といっても作業用BGMであることがほとんどだが、江頭さんなど好きな芸能人の動画は、たまに観る。

 というか、芸能人はそれしか観ない。
 人気ユーチューバーなど、あまり知らない。

 とくに興味もないわけだが、とある記事が目についたのでちょっと読んだ。
 ユーチューバーから芸能人まで、スキャンダルを暴露しているユーチューバーがいるらしい。

 どうやら個人的な怨恨というか、どろどろしたものがあるようだ。
 芸能人がスキャンダルをバラされてCMがお蔵入りなど、被害は拡大している。

 私は観ていないし観るつもりもないが、どうやらガーシーというひとらしい。
 私怨と金銭が目的のゲスな所業という見方もあるが、ゲス大好きという一部の人々からの注目は高いという。

 さて、ここで圧倒的な話題の転換をはかろう。
 私はガーシーより、いま読んでいる「ガーサー」について、ちょっと語りたい。


 ゾロアスター教の聖典『アヴェスター』における、ザラスシュトラ自身の言葉。
 たぶん、現存するもっとも古い宗教的テキストであろう賛歌、それが「ガーサー」だ。

 インド・イラン共通時代に生み出された聖典として、世界的に知られている。
 イランでは『シャー・ナーメ』、インドでは『リグ・ヴェーダ』、中東では旧約聖書、とくに『レビ記』などに影響を与えているようだ。

 素人宗教研究家として、各宗教の聖典にはひととおり目を通している。
 聖書は暗記するほど(巻名くらいは)だし、コーランや仏経典、インドの叙事詩も一応こなした。

 『アヴェスター』は完本が残っておらず、かなり断片的な資料しかないようだ。
 その残っている原典の完訳(電子書籍版)が7744円だったので、思わず衝動買いしてしまった(まあクーポン使ったが)。

 部分訳はどこかで読んでいるはずだが、すっかり忘れてもいる。
 このさい人類最古の宗教の完訳を嗜もう、と決めた。


 ゾロアスター教については、善悪二元論や最終戦争的なイメージが、けっこう強いと思う。
 絶対正義アフラマズダと絶対悪アーリマンの激闘、という中2心をくすぐる設定は、男子諸君がだれしも通る道であろう。

 紀元前の人々と現代の中2が同レベル、などというつもりはない。
 ただ事実として、この展開はあまりにも胸アツだ。

 愚かな民に語りかける力をもった設定は、宗教者にとっても喉から手が出る。
 というわけで、その後けっこうな影響力をもたらす宗教が、この発想を採用してしまったことが諸悪の根源であり、すくなくとも人類史をある意味で決定づけてしまったメルクマールではあっただろう。

 一神教の母、ゾロアスター。
 ウィキ先生でアヴェスターやザラスシュトラなど調べてもらえればわかるとおり、最古の旧約テキストより古い。

 旧約聖書は、第二神殿時代(前516~後70)前半あたりから、数百年かけて書き継がれた。
 途中には、かなり強いゾロアスターの影響が見受けられる。

 黙示録的なイメージのほとんどは、ゾロアスター起源ではないかとさえ思う。
 アレキサンダー大王などの蛮行で、多くのテキストが散逸(4分の1程度が残存)してしまったのは、あまりにも惜しい。


 もちろん旧約が取り入れたのは、ゾロアスターのアイデアばかりではない。
 シュメールからアッカドにいたる最古の文明圏において、うたいあげられた『ギルガメッシュ叙事詩』は、ノアの箱舟というエピソードにたっぷり取り入れられている。

 古代ユダヤ人が口をきわめてののしるエジプト人やバビロン人だが、彼ら自身その文化におそろしく影響を受けてもいる。
 エジプトの産んだアクエンアテンという唯一神の先例や、バビロニアの生み出した数々の文化遺産が『詩篇』や『雅歌』などに多く取り込まれている事実からも、あきらかだ。

 古代のユダヤ人は、要するに西や東やご近所などから、おいしいところをたっぷりと寄せ集めて、旧約聖書という偉大な文学を築き上げた。
 まったくすばらしい民族ではないか。

 外国から取り入れて、いっそうの磨きをかける。
 日ユ同祖論に、思わずうなずきたくなるほどだ。


 閑話休題、「ガーサー」の話だった。
 といっても、まだそれほど多くを語れる状況ではない。

 653ページの最初のほうなのだが、訳注が多すぎて非常に疲れる。
 紙の本だと指を挟んで行ったり来たりするところだが、電子書籍はツークリックで行き来できる。

 私の場合は、ビューワーを2つ開いて対応している。
 タブレット版で訳注ページを開き、適宜参照しつつPCで本文を読み進める、という体裁はなかなか使いやすい。 

 惜しむらくは、本文をコピペできないことか。
 紙の本だとそもそもできないので、ぜいたくな悩みかもしれないが。

 この手の分厚い(と思われる)大著は、持つだけでも疲れるので、その点でも電子書籍は有利だ。
 まあうちの場合は、空中に本を固定するブックスタンドを常備している(現在はタブレット固定中)のでいいのだが。

 さて、そろそろ読書にもどるとしよう。
 7千円の本だから、70時間かけてじっくり読めば、ゲーム並にコスパがいいような気もする……。