MVNOが死滅する時代がやってくる、と業界ではもっぱらの噂だ。
MVNOとは、大手の回線を借りて営業する、いわゆる格安スマホのことだ。
彼らを滅ぼす悪役は、楽天とかいう巨人である。
1GBまで0円という、明らかにおかしい手を打ってきた。
もちろんその前には、DoCoMo、au、ソフトバンクという3社が、足並みそろえて同額の値下げに踏み切った、という「楽天つぶし」がある。
やられたらやり返す、倍返しだ、という「0円爆弾」を放った楽天には、さすがの私も感心した。
そろそろダイヤモンド会員10年目という、楽天経済圏の奴隷である人間の言葉にすぎない、という点を割り引いて聞いていただきたい。
ともかく腐った通信業界に、楽天モバイルという尖兵が鉄槌を下している。
正直、楽天に対しては口を極めて罵りたい部分も少なくないのだが、今回の件に関しては快哉を発したい。
年寄りと情弱をだますことのみに汲々としてきた通信業界には、どう考えても懲罰が必要だからだ。
漫然と使いつづけてくれるブタから吸い取った栄養で肥え太りつつ、その一部を乞食たちに配布していた、ケータイ業界。
私も乞食側で参戦はしていたが、2回線か、多くても3回線を回す程度の「ライト乞食」だった話は、以前も書いた。
ライトであっても、通信料は実質かからない、むしろちょっとプラス、という生活ができた。
そのしわ寄せは「養分」であるブタどもだ。
菅さんがお怒りになるのも、よくわかる。
この腐った業界をたたき直してくれる「指導」の一環として、おそらく楽天モバイルがある。
にしても、0円はまずくないだろうか、とさすがの私も思った。
場合によってはダンピング、独禁法で規制対象になりうる。
0円では、そもそも競争が成り立たない。
それ以上、値下げすることはできないからだ。
できるとすれば「キャッシュバックの値上げ」くらいだが、これはまさに、それまで通信業界のやってきた邪悪な所業に重なる。
再び消耗戦の様相を呈してきたが、今回は「養分」の居場所が異なる。
エサをばらまくためには、そのための供給源を準備しなければならない。
かつての業界は、情弱のブタどもから集めた養分をばらまいた。
一方、楽天モバイルは、どうやら本体である楽天市場などの利益から、先行投資という名目で絞り出しているらしい。
ある意味、私も養分《ブタ》になっているわけだが、それでもかつて3大キャリアがやってきたことよりはマシかもしれないな、と思っている。
菅さんが、アンチ通信業界になる気持ちは、よく理解できる。
当時の業界がやっていた行為は、ライト乞食の目から見ても、あかんやろ……いやくれる言うならもらうけどな……という、要するにダメダメなやり方だった。
業界は、変わらなければならない。
楽天が変えられるかどうかはわからないが。
さて、そんなことを考えながら通信業界の記事を読んでいたところ、電話がかかってきた。
フリーダイヤルから、どうやらセールスマンらしい。
そもそも電話にはあまり出ないのだが、たまに気が向いたときには出る。
今回は、どうやら気が向くべきではなかった。
商人、なかんずくセールスマン。
私が世の中でもっとも嫌悪する種類の人々に対して、ちょっとばかり毒を吐きたい。
私は基本的に、自分が尊重されるために、まずは相手を尊重したいと思っている。
たとえば、相手が「いやだ」と言ったら、その提案は速やかに取り下げることにしている。
言い換えれば、私が「いやだ」と言ったら、あたりまえだがそれはいやなので、二度と同じ提案をしないでもらいたい。
が、相手が拒否してからがセールスマンの仕事、不必要なものを買わせるために全能力を注げ、という前提で生きている人々がいる。
職業否定にもつながるが、率直に言って、私はそのような仕事を否定する。
存在自体が相いれない相手、それが私にとってセールスマンだ。
結論から言うと、その電話は光回線のセールスマンだった。
まあ電話をかけるのは自由なのだが、問題は、セールスを感じさせない話題から、口火を切ったことだ。
インターネットの設備の更新にかかわる「工事のご連絡」です、と。
そう言われれば、一時的にネットが使えなくなるのかな、いつ頃かな、と聞く気になる。
即切りをモットーとしている私ですら、最初しばらく聞いてしまった。
なんと邪悪な話術であろう……。
この地域では何月何日に工事が入りますので、この時間は使えません、という水道工事のような話ならともかく、そうではない。
どちらの会社をお使いでしょうか、毎月おいくら支払っておりますでしょうか、と質問がつづくに及んで、敵の正体に気づいた。
怒りが膨らむと同時に、ある種の興味もおぼえていた。
会話は録音されている。工事に携わる人間のフリをしてだいじょうぶか?
聞きながら考えて、察する。
お使いになっている通信設備が更新されますよ、あなたが契約してくれればね!
クソが……。
おかげさまで、しばらく不愉快な時間を過ごさせてもらった。
工事の連絡なんですよね?
ええ、お客様の状況によっては工事が必要になります。
どうせそんなことだろうな、という会話を脳内でシミュレーションしながら、この罠に落ちた自分を残念に思った。
そして、他人を残念な気持ちにさせるような罠を張ったセールスマンという職業に対する憎しみを、輪をかけて新たにした。
ちなみに「申し訳ありません、ご不要なご連絡でした」と、この憎むべきセールスマンに言わせたのは、「楽天の光回線を0円で使ってます」という私の言葉だった。
どんなセールスマンも、さすがに0円が相手では戦えない。
意外と役に立つな、楽天。
もちろん商人の一味である楽天がやってきた、邪悪な詐術を忘れてやるつもりは一切ないが、利用できるうちは活用させていただこう。