邦画の走り屋系映画を観ていた。
 冒頭、作中の走行シーンはプロのドライバーが云々、決して真似しないでください的な注意が出た。

 もちろんコンプライアンスは大事だ。
 いかに違法な走行をするシーンであろうと、合法的に撮らねばならない。

 さて、しばらく眺めていると、目測で時速30キロくらい、たしかに交通ルールを順守し、安全運転を心掛けた撮影らしいと納得のシーンがやってきた。
 牧歌的な一般道、追い越し車線を走る軽トラに抜かれている。

 問題は、そのとき助手席の男が、運転席に向けて言った言葉だ。
「おい、そんなに飛ばすなよ」

 冗談を言ったのかなと思ったが、会話では、なんか用があるから急いでるんですよ先輩、みたいな流れになっている。
 どうやら突っ込むシーンではないようで、淡々と進む物語に唖然とした。

 いくらなんでも、軽トラに抜かれざま言うセリフじゃないだろ……。
 もっと空いてる道で撮ればいいのに……。
 わざと突っ込ませたくてやってるのか……?

 そこまで考え、突っ込んでいる自己を嫌悪する流れになった。
 つまるところ、ホームビデオのような低予算映画にそういうリアリティはいらないという監督の判断は、いかんともしがたい。

 いまでは北米市場で高価なプレミアムカーとして知られるバブルの日本車たちは、眺めているだけで楽しい。
 R32やFDや80スープラなどがぞろぞろ出てきて、その世代の人間をホイホイするための映画だ、と割り切って眺めることもできる。

 もちろん昔の映画なので、製作当時にそういう意図はなかったろうが、現在はそういう人々に向けて配信されている(と思う)。
 そんなに飛ばすなよ……。


 邦画に限らず、洋画にもクソ映画は多い。
 いやむしろ洋画のB級こそ、圧倒的な物量を誇るといっていいだろう。

 そこで私は、とくに古い映画を観るときは、他人の意見を参考にすることにしている。
 たとえば、信頼できるレビュアーの評価で、41点という作品があった。

 ドルフ・ラングレンの大ファンである彼のレビューが41点ということは、たぶんラングレン・ポイントが40点、ということだろう。
 残念な感じの作品でも、そうと理解したうえで観るなら耐えられる。

 私は基本的に他人の言うことを信じるので、パッケージの惹句だけで観るときの評価は、最低になりがちだ。
 売り文句ほど名作だったためしは、ほぼない。

 そもそも最初にハードルを上げてしまうのは、あまりいい選択ではないと思う。
 辛口レビューが前提だと、それがなくなるだけでプラスだ。

 だまして釣る、というのは良くない。
 うそつきには、常に報いが用意されなければならないと信じている。

 人をだませば、それだけ信頼を喪失する。
 これをくりかえした結果が、私の「商人」に対する激しい憎悪だ。

 その点、信頼できるレビュアーというのは、海のものとも山のものともわからない映画を観る前には、とても助かる。
 予想以上のおもしろさ、というご褒美に出会える可能性も高まる。

 クソみたいな映画、時間の無駄、などと言われるとホイホイ観てしまう。
 げらげら笑って観られる(こともある)。

 私は本来、「B級」映画も好きだ。
 ただ、あたかも「A級のフリ」をして釣ってくるB級については、心底から嫌悪することにしている。

 だまして売るとか、そういうこと平気でできる人。
 必ず報いを受ければいいのに……。