『舎利子』

仏の教えを受けた一番星羅漢さま

あなたの為に説かれたのが般若心経

『色不異空空不異色』

時間は燃える、真っ赤に燃える

一瞬にして燃え尽きる

しかし燃えるものも、燃えないものも、どちらも真実なのだ

羽根を傷めた、うすばかげろう

オルゴールの響きを載せて

草の葉っぱで吐息をついた

そして息絶えた

あのか細い音色を誰が覚えているだろうか

不思議な美意識

夜空に描かれた絢爛な花模様

散り果てて元の闇夜

あの花弁の行方を、誰が知っているだろうか

哀愁の花火を

 

1996年10月号プレジデント・詩で詠む『般若心経』菊村紀彦著より(ひらがなを漢字に変換しています)