人生山あり時々谷あり・・・田部井淳子

<真剣勝負の世界に魅せられて>

こうして火がついた私の登山熱は、社会人になってもますます燃えてきました

11月17日15:33分、藤内壁

当寺はまだ珍しかった「男性に限る」と書いていない社会人山岳会に入会。生まれて初めて岩登りを経験することになりました

衣服調整

両手両足を使いながら岩を攀じ登っていくと、岩の温もりや冷たさが、じかに指先から伝わってきます

藤内壁への支流

今、私は大好きな山にこうして登っているんだという実感があり、その感触は大変ここと良いものでした

15:38分、藤内壁出合

お互いの体をロープで結びつけて登るクライミングは、まさしく「一蓮托生」です

藤内壁から下りてくるクライマー

自分がミスしたら最後、相手も谷底に引きずり込んでしまう

勇気が要りますね

絶対にミスは許されない真剣勝負の世界で、足の底からキュキューッと伝わってくる緊張感に、たまらない魅力を感じました

国見岳方向

岩登りを知ったことで、私はますます山に夢中になり、週末のたびに山に出かけるようになったのです

二つの岩、見つめ合っている、睨み合っている?

「挑戦するという言葉は好きじゃない」と書きましたが、このころの私は、より難しい岩に挑戦することにやりがいを感じていました

北谷が見えた

自分の記録を伸ばすのに夢中で、「山に行かない人は人間じゃない」と思っていたほどです

降り口に鎖が設置されていました

四六時中、山のことばかり考えていたので、世間で何が起こっているのかもわからない状態でした

北谷を右岸へ渡渉

1970年にネパールがヒマラヤ登山を解禁、のニュースを聞いたとき、私の中で、未知の世界への好奇心が、メラメラと音を立てて燃え上がりました

兎の耳

そして、「まだ見たことのない景色を見たい」という思いは一気に「世界」へと広がっていったのです

赤文字は、田部井淳子著「人生は山あり時々谷あり」より抜粋