般若心経を生きる・・・村田兆治⑦

まさにないない尽くしで、これでどうして生きていけるのだろうという疑問を持つ人がいてもおかしくはない

青空が覗いているが山の天候は一瞬にして変わります

しかし、逆に考えてみると、あれもある、これもあるという具合に、何でもあったとすれば、それで人間は幸せなのだろうか

五角仙と大日岳

必ずしもそうとは言い切れない。野球の投手でいえば、ストレートはもちろん、フォーク、カーブ、シュート、スライダーも投げられるということになる

峯中の要所「深仙ノ宿」が見えてきた

つまり、球種が多い投手ということだが、球種が多いから打たれないとは限らない。どんなに球種が多くても、すべてが中途半端な球であったとすれば、簡単に打たれてしまう

綺麗な森が続きますが、まずは足元注意

特に一流打者に対してはそうである。だいたい球種の多い投手は何を投げるか迷ってしまう。迷って投げた球はまず間違いなく打たれる

耀君と大日岳

私の場合は、もっぱらストレートとフォークボールであった。だから決め球としての迷いはなかった

12:15分、四天岩の見える木陰で腰を下ろしました

もちろん相手の打者の方も、そんなことはよく分かっている。野村さんや張本さんは、私が絶対の自信を持っていた時速155.6kmのストレートを狙ってきたし、門田さんは私のフォークボールに狙いを定めていた

小仲坊さんの包装紙

狙われているとわかっている球を、私の方も投げる。一流同士の闘いとはそういうものだ

行者弁当、中身は梅干し、塩昆布、ふりかけ、山で食べるとこれが美味い

そうした闘いに勝つためには、集中力、緊張感、気合しかない。いわゆる一球入魂であるのだが、それを突き詰めていえば、無心ということになる

灌頂堂前の護摩焚き場で揮毫の準備をする藤田渓春氏

無心でウイニングショットを投げ、それを打者が無心で打つ。これがプロの醍醐味である。無心と言葉でいうのは簡単なことだが、実際にはなかなか難しい

雨がポツリと当たったので、急ぎ灌頂堂の軒先で移動

投手は「この球を投げたら打たれるんじゃないか」「負け投手になってしまうのではないか」、打者は打者で「三振したらどうしよう」「ゲッツーだけは避けなければ」と考えている。こうした雑念があると勝負には負ける

金色は大峯三山(山上ケ岳・八経ケ岳・釈迦ケ岳)をイメージしています

12:21分、気合を入れ筆入れ

青文字は、1993年11月号「プレジデント」より

to be continued