日記文学を楽しむ

1年の計は元旦にあり。日記を始めるには絶好の時だ。昔の人も具注暦といって、吉凶の注が付いた暦の余白に日記を書いていた

登山者の安全を見守る延命地蔵

それを一定のテーマで書かれるようになったのが「日記文学」。平安中期の「蜻蛉日記」のテーマはずばり夫婦関係の苦悩

国観峠

「嘘っぱちの物語ですらもてはやされるのだから、まして人並みではないこの身の上を日記に書けば、さぞ珍しがられるだろう」と、のっけから人に見せることを前提としている

背後は祖母山

作者は藤原道綱母。一夫多妻制の当時、「妻の一人」と言うべきであろう。「この上もない高貴なセレブの妻ってどんな暮らしをしてるの?と聞く人がいたら、その答えの一例にでもしてね」ろいうわけで、日記というより、セレブの暴露本の趣だ

14:43分、茶屋場へ向かう

夫との不協和音は結婚後まもなく訪れる。作者が道綱を出産したころから、夫は別の女のもとに通うようになるのだ

背丈より高い笹が繁る

「なげきつつひとり寝る夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る」

この時、彼女が詠んだ歌が百人一首で名高いこの歌だ

ブナの根元に苔が生い茂る

2年後、女が男児を生むと、女と夫の仲に陰りが生じる

名残紅葉

その時の心理を道綱の母は「“人憎かりし心”(女憎さ)に私は思った。女の命は生かしておいて、自分と同じようにつらい思いをさせてやりたい」と綴る

6合目

願い通り、女は夫に飽きられた上、生まれた男児も死んでしまう

しばし立ち休憩

すると道綱母は“わが思ふにはいますこしうちまさりて嘆くらむと思ふに、いまぞ胸はあきたる”と記す

3県境界

「私よりあの女の方が嘆きは深いだろう、そう思うとやっと胸がすっとした」というのだ

一帯は鳥獣保護エリアです

青文字は、日経夕刊文化「日記文学を楽しむ」大塚ひかりより…①(続きは明日掲載)