こころの玉手箱『兄の句集』

吾へ来る春の日傘を見てをりぬ

最初の入院の時の句。7階の病室から、妻の日傘が見えたのだろう。句にはまだ明るさがある

樹林の中にある平坦な兜岳山頂920m

玉虫の屍や何も失わず

思わず笑顔がこぼれます

永遠の静止のごとく滝懸かる

南面は開けており、曽爾高原(正面)はじめ、左から倶留尊山1038m、日本ボソ996m、住塚山1009m、古光山953m、三峰山1235m、高見山1248mが眺望出来た

某日や風が廻せる扇風機

つかの間の小康状態にあった夏。しかし句にはもうただならぬ光が宿り始めている

山頂集合写真(カメラマン交代・I氏にお願いしました)

冬といふあらゆる冬を一身に

最後の地となる三角へ転院。静かな気迫がこもる

額縁に収まっている感じです

寒き世に泪そなへて生まれ来し

初孫の誕生

国の天然記念物「曽爾高原」

海側に席とれどただ冬の海

自宅への最後の外泊から病院へ戻るときの句。この時の兄の心中を思う

関西のマッターホルン「高見山」

疼痛や火よりも霜を思ひつつ

腹ごしらえをして元気回復

丹頂の紅一身を貫けり

山頂は憩いの広場でした

冬木の枝しだいに細し終に無し

体が衰えるにつれ、俳句が力強く澄んでゆく

台高山脈

一句一句を手掛かりに兄自身が高みへ登っていくようだ

プラナの気をいっぱい頂きました

「それにしても俳句があって助かった。感謝」

ハガキの一枚にはそう書かれていた

I氏にシャッターを押して頂きました<m(__)m>

たくさんの百合を添えて死を頂戴す・・・俳人・正木ゆう子(妹さん)

青文字は、日経新聞「夕刊文化」より