「無」とは思えないこの世で

残された日々、百まで生きてやろうか

太陽と緑の道

病院で、ある日、突然昼寝から覚めた時

「早く、早く書いておいて。“この世も、あの世も無だ”と書くのよ。今、それを聞かされたの」と叫んで秘書を驚かせた

残された4人で足固め

確かにその声は今も胸に残っているが、退院して以来、私は病気以前と同じく、とても「無」とは思えない雑然としたこの世のニュースに、毎日、耳目を奪われている

息を切らし、汗した急坂にも堪え、自然の美を満喫した自分の人生に、祝福の乾杯を

友人はどしどし死んでゆくのに、なぜか私は死ねない

戦国時代、羽柴秀吉の軍勢が三木城を攻めたとき、別所長治軍に加担した丹生山明要寺を焼き払った

それだけ業が深いのだろう

そのとき逃げ惑う稚児たちも皆殺しにした

村人たちは哀れな稚児たちの亡骸を山上に葬ってやり、石を積んで塚にしたといわれている

石積みの中に一本の椿があり、花を落としていた

こうなれば、いっそ、開き直って、7万人近くもいるという100歳まで、生き続けて、書き続けてやろうか

山頂から南側の眺望

中央に志染川が流れ、六甲山西部から播州の山々が見渡せた

稚子墓山伝説遺跡

文化保存会により植えられた椿

里山の手向けの椿咲くらんか稚児の山並み春霞みたつ

道が2本に分かれています。北へ進むと志久ノ峠へ至る

肘曲りへと進みました

Y氏をフォローするH・Y氏

青文字は、朝日新聞「文化文芸」欄・寂聴残された日々より