たおやかな春の風景

はなをこえて しろいくもが

くもをこえて ふかいそらが

はなをこえ くもをこえ

そらをこえ わたしはいつまでも

のぼってゆける はるのひととき

わたしはかみさまと しずかなはなしをした

・・・谷川俊太郎詩

3月12日、山野辺の道北側を歩いた

路傍に咲く一輪のタンポポ

春の語源には、天気の「晴る」、草木の芽が「張る」などの諸説がある。しかし、ここはあえて英語の「SPRING」が醸し出す春が好きだ

藤原町・八島町・高樋町・窪之庄町・虚空蔵町のルート図

SPRINGの原義は「突然湧き出る」、そこから「地面から水が湧き出ること」や跳びはねること」へとつながる。「芽が出ること」へと広がり、草木が芽を吹く季節「春」を意味するようになったのだという

春うらら

春というと、うららかで、おぼろげで、ゆるやかなイメージを抱きがちである

梅から桜へバトンが移ります

しかし春は、私たちが思うほどゆるやかな季節ではない

ご満悦のS美ちゃん

エネルギーが跳びはねるように湧き出る、極めて活気に満ちた旺然たる季節である

青みを帯びてきた竹林

日照時間が長くなり始めると、まだ凍てついている大地の下では、冬の懐の中で充分にエネルギーを溜め込んだ生き物たちが、ゆっくりと助走に入る

お地蔵群

そして、春めく光や風を感じ取ると、一気に加速し、大地から飛び出す

12:18分、円照寺参道に出る

神とは人間の姿から離れ、むしろ目に見えないエネルギーのようなイメージである

拝観はできません

円照寺:臨済宗妙心寺派の尼寺(非公開)

寛永18年(1641)、後水尾天皇皇女(文智女王)が開基となって以来、歴代の住持を皇女が務めてきたことから、山村御殿と呼ばれる。華道山村御流家元(Oさんが所属されている)

「かみさま」の登場するこの歌には、「目に見えないエネルギー」がほとばしっている

三島由紀夫最後の長編小説「豊饒の海」の第一部「春の雪」と第4部「天人五衰」に「月修寺」として登場する

ひとたびこの「はる」を歌いだすと、私はふわりと風に乗り、上へ上へと登って行く

小生が初めて訪ねたのは、原作を読んだ昭和47年。主人公・松枝清顕が、出家した聡子を訪ね歩く参道の描写が実に素晴らしい

春の風が吹き渡り、春の光に満ち溢れるこの音楽の中に、私は弾けるようなSUPRINGを感じずにはいられない

その当時、寺男の方にご案内頂き、話を伺いました

円照寺宮墓地(宮内庁が陵墓として管理)へ向かいます。

心の中のSPRINGも忘れてはならない。もし心の中にSPRINGがなかったら、私たちは些細な失敗や悲しみからすら、立ち上がることが出来ない

三島由紀夫が何回も訪ねて来られて、取材をされた話の内容をお聞きすることが出来ました

絶望のどん底で、ぺしゃんこに押しつぶされても、私たちはいつの間にか立ち上がっている

山門の左手を入ったところに西国33ケ寺の仏塔が建てられている

神様は人間の心の中にSPRINGを仕組むことも忘れなかった

なぜ、この碑が建てられているのかは不明

今は亡き先輩の姉上が嫁がれていたU家は代々、円照寺の御典医をされていた

 

SPRINGとは、春とは、そういうものなのだ

初参加のT氏、感ずるものがあったのか、しばし立ち尽くされていました

円照寺はこれまでにも何回か、ブログで紹介しています

青文字は、奈良新聞「たおやかな風景」・中橋怜子さんより抜粋