常念小屋は日本アルプスの中で最も古い小屋の一つであった
その後常念の主ともいうべき山田利一さんによって改築された。山田さんは戦後梓川べりに横尾山荘を建て、その裏手から蝶が岳へ登る道を新しく開いた
私はその道を辿って久闊の常念岳へ行く約束を山田さんとしていたが、それを果たさぬうちにぬしは亡くなった。常念岳のために一生尽くした人であった
山にはそれぞれ御ひいきがある。常念には若い果敢なクライマーを誘い寄せる岸壁や困難な沢はないが、その美しい形をもって、芸術家気質の人々を惹きつける
深田久弥著「日本百名山」より

