そこに目標があるから
7大陸最高峰制覇も通過点・・・登山家・南谷真鈴さん(19歳)
「人とのつながり」を求めて始めた登山
険しい山々を踏破して得たのは「どんな壁も乗り越えられる」という自信だった
初めて山に登ったのは13歳の時。香港の学校では、幼稚園からパソコンを使って授業していた。だから「人とのリアルなつながりが欲しかった」
同じ思いを持つ友人と香港の山に登り始め、ネパールなど数千メートル級の山々にチャレンジ。計画段階から自然とチームワークやリーダーシップが身につき、自分の成長を感じた
山々から見下ろす景色の美しさに魅了されていくうち、一つの目標ができた
世界で最も高いエベレスト8848mの頂上に立ちたい。父親に話すと熱意は認めてくれたものの、「援助はしない」
スポンサーを探したところファーストりティリングの協力が得られた
各地で様々なメンバーとチームを組む中で、「人とのつながり」が深まる1年半かけて成し遂げた7大陸の挑戦は常に順調ではなく、「どん底」も経験した。アコンカグア(南米最高峰)から帰国後、国内の山を下山中に約250m滑落。計画より登頂に時間がかかり、日没前に急いで下山していた中での事故だった。奇跡的に無傷だったが、山への恐怖心が芽生え、自身の判断ミスも心に残って自己嫌悪に陥った
(山耀会100回記念忘年会・ホテル阪奈)
死を感じたこともある。今年5月に6大陸目として制覇した念願のエベレストの後、最後の挑戦だったデナリ(北米最高峰)。山頂まで100mを残す最終キャンプでテントも吹き飛ぶ大嵐に遭い、「ここで死ぬんだと思った」
嵐が去り、後ろ髪を引かれる思いで下山
7月、計画を入念に練り直して登頂した
一度命の危機を感じた後、再び山に登ると決断することはたやすくなっかった
「でも、勇気をもって一歩踏み出したからこそ、今の私がある」
一つの目標にたどり着く道は、一つではない
壁に当たった時、それまでとは別の方法を考えれば必ずたどり着け、自信につながると信じる。7大陸を制覇した後、先進国の恵まれた環境で暮らす自分に何ができるかをじっくりと考えた。世界には困難な環境に身を置く子供がいる。自らの経験を伝え、「壁は必ず乗り越えられる」と信じて生きていけるよう、来年からセーリングで世界各地を巡るつもりだ。登山はあくまで「ホップ・ステップ・ジャンプの第1段階」だという。ステップがセーリングなら、大学卒業後に描く「ジャンプ」は2つある
1つは人と人の間の思いやりを広げるため、世界の貧困や紛争問題を伝える側に立つこと
そして、世界の食糧危機の解決に向けて、屋内で可能な農作物栽培事業のパイオニアになることだ
常に挑戦を続ける熱いハートの底で大切にする、人と人のつながりや思いやり。場所を海に変えた「ステップ」の旅は来春にも始まる予定だという(早稲田大学政治経済学部に在学中)
11月28日付、日本経済新聞「新興人図鑑「登山家・南谷真鈴」さん(19歳)より
