ジャーナリスト 石川秀樹 -29ページ目

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。



ファミレスで事業の打ち合わせをしている時に、携帯電話が鳴った。
岡山の山陽新聞の記者からだった。
「きょうの判決についてのご意見はどうですか?」ということだった。


僕は「正直いって、驚いた」と答えた。
広島高裁岡山支部は「1票の格差訴訟」(鳥取と岡山で3.27倍の差)で、先日行われた参院選の岡山選挙区の結果について「違憲であり選挙無効」の判決を出したのだ。


『目の前の選挙を無効とは……、よく判断したな』という思いと、
1票の価値をただ人の員数に置き換えるという、地方に住んでいる者としては合点がいかない“平等感”が、『ここまで浸透したのか』という驚きである。

ジャーナリスト 石川秀樹


1票の格差はずいぶん前から弁護士グループが提訴してきた。
はじめのうちは門前払い、
そのうち「1対いくつ」という倍率が問題とされるようになり、
最近は「1対1」にするのが当たり前で、そこに近づけるのが国会の義務、
都道府県の境界が障害要因なら区割りを変えててでも、という空気になって来た。


『裁判官を含み、よく国民を刷り込んだものだ』と感心する。
例えば09年の区割りのまま行われた昨年12月の衆院選は、今年3月の高裁判決で16件中14件までが「違憲」、うち2件は「選挙無効」という様変わりぶりである。


そして今回。
直前に(今月20日)最高裁大法廷は、同衆院選について高裁が積み上げてきた判決を大幅に後退させた。
にもかかわらず、広島高裁岡山支部はひるまなかったわけだ。
メディアは大方、ほめそやすと思う。


“勇気ある判決”であることは認める。
その上で、こうした流れ、「1票の格差はあってはならない」と国民にいきわたっている空気について、違和感を抱いていることを申し述べたい。


1票の重み、価値とは、ただ単に「員数の平等」のみで測るべきだろうか。
地域性の観点をまったく度外視していいものだろうか。
格差が生じた原因は何か。
戦後続く人口増の中で、地方から大都市への顕著な大移動があったことが主因であろう。


「1票の格差訴訟」はその是正を、員数の平等に当てはめただけのものである。
東京一極集中、地方空洞化・過疎化の現象のことは一顧だにしない。
政治・行政の不作為と、経済原理と、社会心理によって生まれた「人口移動」について何の疑問を呈することもなく、「票の価値に差が出てきた。人口割りで分配し直せ」という。
それが成れば「格差は是正された」と思い込む。
多様な問題を含んだイシューを、実に単純に割り切ってくれるではないか。


この発想を突き詰めれば、人口割りで全国を北から南まで242に割って1議席ずつ割り当てればよい。
全国を1つにして一斉投票で242位までを当選、でもいい。
もしくは議席すべてを「比例選出」にしたらいい。
それで日本が良くなるか、各地域が活性化するか、社会実験をやってほしいくらいのものだ。


気が利く人なら、「都道府県制をやめて道州制に」と言い出すだろう。
でも、そんなに気楽なことか?
自治体が合併すれば、中心都市は膨らみ、過疎地はいっそう過疎に。
すでに立証済みではないか。


「停滞する、発展に乗り遅れている地域にこそ政治の力が必要だ」と、言ってなぜ悪いのだろう。
「国全体のことを考える国会議員は、地方を厚めにしてやってよ」と言いたくなる。
それも知恵の1つではないか。


地域を1つの法人、あるいは組織と考えれば東京も地方の1つであり、「日本列島」という舞台で“成功(繁栄)”を競い合っていると言える。
東京はひところの「ジャイアンツ」みたいなものだ。
常勝で、人・モノ・カネ・文化芸術学術、政経のすべてが東京へ東京へと集まっている。
その東京に比べれば、大阪のタイガースさえ斜陽に見える。
これではゲームの醍醐味が失われる。


というわけで、プロ野球業界は新人選手の「職業選択の自由」という憲法に保障された基本的人権を踏みにじってまで、業界全体の繁栄のためにドラフト制度を導入した。
ウェーバー方式で、弱いチーム順に有望新人を選べるようにした。
それでパ・リーグは息を吹き返した。
これは「工夫」である。


今回訴訟は「岡山対鳥取」だった。
「東京問題とは関係ない]といわれそうだが、間違いなく人口移動問題の1局面である。
「員数の平等」は今後もいわれ続け、やがて最高裁も旗を降ろすだろう。
しかし、それで何も解決してはいないことを強調しておきたい。


さらに言えば、員数合わせが平等であろうが不平等であろうが、大都市のみが太り地方が(相対的に)枯れていく図式は、何も変わらない。
この問題に関心を持って、真摯に「なんとかしたい」と考える政治家、行政マンが一定の数を占めるようにならなければ、日本のいびつは治らないのだ。


司法の英断に茶々を入れるようで申し訳なかったが、地方人としては「1票の格差是正のその先まで考えてほしい」と、切にお願いしたい。




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【筆者から】
このブログの元になっているのはFacebookへの書き込みです。
主にFacebookページ「ジャーナリスト 石川秀樹」に投稿しています。
ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただけたら、こんなにうれしいことはありません。


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あれよあれよという間に「秘密保護法案」が衆院を通過してしまった。
数の力というのはまことに恐ろしい。
法律の不備や危険性をメディアがこれほどあげつらっても、平気の平左で採決強行だ。


昨年12月の衆院選で自民党をあれほど勝たしてしまったんだもの、国民は何も言えない。
長く続く経済停滞、いわゆる厭戦気分。
震災対策、壊れてしまった原発の処理も一向進まない。
みんな民主党が悪いんだとされて、振子はなだれを打って自民の方に。


その後にアベノミクスの成功で支持率はうなぎ登り。
安倍首相という人、2度目の登場で勘が良くなった。
憲法改正がままならぬとみたら、すかさず「秘密保護法案」だ。
選挙の時には秘密の「ひ」の字も言わなかったくせに、この重大法案を1国会でやっつけてしまおうというのだ。
にわか大工の安普請じゃあるまいし。

ジャーナリスト 石川秀樹


いずれ憲法改正への下ならしだろう。
中国の覇権主義をこれほど見せつけられては、「国家の安全」も考えたくなる。
まあ、そこにすかさずつけこむところがこの政権、したたかだ。
国民も「憲法改正だ」と言われれば身構えるが、「国家機密の保護だ」と言われればなんのことやらよくわからない。
わからないことには興味ないのが当然で、一部、危険を承知のメディアが警鐘を鳴らすのみとなった。


この法律、危険である。
官僚・政治家に都合の悪い決定はほぼすべて隠されるだろう。
自衛隊法、国家公務員法があれば国家機密を守るには十分だった。
今度のは「投網を掛けて全部」なんでもかんでも好きなように秘密にできるという法律だ。


何が都合が悪いか。
例えばアメリカのケネディー大統領暗殺事件。
オズワルドの単独犯行とされたが、多くの人の努力で、軍とCIA、それにマフィアが絡んだ陰謀だという構図がわかってきた。
しかし決定的な証拠はない。
事件にまつわる事実の全貌は法律により70年間は明らかにされない。
あと20年も待たなければならないのだ。


こんな大事件でなくても、知りたい情報はいくらでもある。
権力のチェックが報道の役割だが、今後はありとあらゆる事項で「だんまり」に会うだろう。
無理やりこじ開けようとすれば、逮捕されるかもしれない。
何が法に触れるか分からないのだから、違法の判断は情報を持つ側(権力側)のほしいままだ。


ソーシャルメディアの時代になればすべてが透明化する、とザッカーバーグは楽観的な予測を立てた。
それは正しいはずだった。
情報格差がなくなれば社会は変わらざるを得ない。
しかし現実は、こんな法案がまかり通ろうとしている。


政権発足から1年近くたとうとする今、支持率がなお60%を超えている。
異常ではないか。
経済が少し上を向けば何でもかんでも政権に白紙委任していいのか。
争点にもあげなかった“ポッと出の法案”をやすやすと通させていいのか。
国民は政治ということ(政治が誤った時の災厄)を、もう少し真剣に考えた方がいい。


(写真は毎日jpから転載。国会内で2013年11月26日午後8時10分、梅村直承氏が撮影)




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@niftyニュースで、おもしろい記事が出ていた。

フェイスブック、世界中で「若者離れ」「おじさん世代」のSNSになってしまうのか

というのである。


記事の概要は、
最近にわかに10代のFacebookアクティブユーザーが落ち込んできた。昨年第4四半期から1年でアメリカ18%減、日本は12%減。両国だけでなく世界的な傾向らしく、フランスなどは44%減だ。
この傾向は、「LINE」のようなメッセンジャーアプリの台頭と軌を一にしている。


非常に分かりやすい記事だ。
日本では、ツイッター、Facebookで若者の“仲間内の受け狙い・おふざけ投稿が他に流れてひどくバッシングされた、なんて事件が頻発した。
そんなことも若者のFacebook離れにきっと影響しているんだろう。

ジャーナリスト 石川秀樹

若いユーザーの急増とこじつける気持ちはないが、最近Facebookを見ていると、「以前と違うな」と感じる時がよくある。
友達申請にメッセージなし、は相変わらずだが、顔出しせず、またはペットの写真でわが身を代替なんてアカウントがえらく増えている。
Facebookの根本原則を無視の野放図さ、
というより、知らずに使っているんだろうな。
一方では、「Facebookは怖い」のクスリが効きすぎて、顔出しを極端に避ける傾向も。
全体から見れば、やはり「実名制」であるFacebookの場が荒れているように思う。


仲間内で交流したければLINEで十分だし、ソーシャル性を考えなくていいだけ無防備でも大丈夫。そちらの方がおすすめだ。
Facebookは“気楽に使う”ツールとしては荷が重い。
プライバシー設定を「公開」にしていれば、投稿は誰からも見られる状態にある、なんてことを多くの“ニューカマーたち”は知らない。
しかもFacebookの初期設定は、プロフィールも、投稿時の設定も「公開」である。
ダダ漏れが保証されている!!


何とも恐ろしい設定だ。
もちろんFacebookは交流ツールとして生まれた。
しかし「スゴイと言われたくてたまらないザッカーバーグ」が創ったツールだから、びっくりするような仕掛けが随所に用意されている。
友達になったこと、いいね!したことが友達に広がっていく。
これは「リアル以上」の驚くべき機能だ。
しかもユーザーはFacebook半自動的にやることを、ほぼ止めることができない。
また、そんな風に動いていることさえわからないのだ(他人のニュースフィードで起きていることを僕らは見ることができない)。


だから気兼ねなく交流したいなら、仲間内だけで完結するアプリを使う方が賢明だ。
Facebookからの“流失”は当然だろう。
ユーザー減は大問題だとして、Facebookはいずれ何かの手を売ってくるだろうが、引き留めようとすればするほど余計な機能を考え出して混乱させるのが落ちだ。
使い道が違うのだから、自然のままにするのがよい。


むしろ今回気になるのは、メディアの記事はどうしても“レッテル貼り”になるということだ。


このニュースの本質は「世代間格差」ではない。
「使う目的間格差(違い)」があるのであって、それでFacebookが退潮するのだ、というのとは違う。
(いかにも記事はそう取ってほしいように書かれているように見えるが)


Facebookは使っている人の個性が自然に立ち上がっていくツールである。
その価値を僕は高く評価するし、
同感する人が40代以上に多いとすれば、大いに納得できる。
「おじさん世代のSNS」というレッテルには反対だが、よさが分かる人が多いのはその世代、というなら納得だ。



<ここからは「著者ページ」と「著書」の紹介です>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こんな視点、はじめてだ!
「なぜ?」を徹底追究
ジャーナリストの視点で電本3部作

※著者ページ
http://denhonkan.jp/meikan/detail.html?ab_id=7



※著書
『秀樹さんが教える まだまだ奥が深い Facebookの教科書』





 Vol1.
 Facebookの基本のキ」。
 「入門書」ですがかなり濃い内容です。
 いいね!の原理、エッジランクやクチコミ発生機能について  核心を伝えます。
 
 









 Vol.2
 Facebookのビジネス活用術。
 個人やお店、小さな会社は大企業や有名人を見習ってはい けません。
 バラマキマーケティングより友達を大切に。
 











 Vol.3
 Facebookのスーパースターたちを紹介しています。
 「誰か」って? 
 まあ、立ち読みでご確認ください。
 インフルエンサーの投稿術を詳しく伝えます。






あす朝6時に20人ほどを前にお話しをしなければならない。
それで2、3日前からパワーポイントで25枚のスライドをつくった。
ところが、伝える手段がない!
昨夜、床に入ってから思い出した。
手持ちのノートパソコンは2台とも“半ちく”な状態なのだ。


東芝製は電源のACアダプターが行方不明。
acer製は動きが極端に遅くて使い物にならない。
朝、起きてから懸命にアダプターを探すも見つからない。
そこでacerパソコンをフォーマットしてOSを入れ直そうと考えた。
しかしリカバリーには時間が掛かりそう。

ジャーナリスト 石川秀樹

<仕方ない。この際、プロにお任せしよう>
ネットで、修理してくれそうなところを探す。
静岡市内で1軒見つけた。
電話で事情を話すと
「それだけ動きが遅いとすると、ハードディスクの故障かもしれませんね」
出費がかさむがやむを得ない。
ところが、在庫を調べた結果、対応するHDの在庫がないという。
きょう中の修理は不可能になった。


他を当たった。
どこもHD交換とOSインストールとなると「1日では無理……」。
困ってしまったときに、1軒目の男性の言葉を思い出した。
「東芝製のパソコンなら、市販のアダプターでも大丈夫だと思いますけどね」
実は、Amazonで使えそうなタイプを見つけて注文を出していた。
急いでそれをキャンセル、OAショップに車を飛ばした。
あるにはあったが、仕様はピタリなのに「対応機種」一覧に僕のパソコンは載っていない。


2軒目、同じものを店員さんが手に取る。
「一覧にはないけど、プラグさえ合っていれば使えると思いますよ」
新品を開封して持参したパソコンにプラグを差し込む。
スイッチをONにすると、きちんと動いた。
やっと一件落着。
費用は5980円!
よほど“高級な”電源アダプターらしい。
Amazonで見つけたのは半額以下だったが、まあ仕方がない。
きょう手に入れるしかなかったのだから。


こういうのを「泥縄(ドロナワ)」というんだね。
間際になって追い込まれないと、肝心なところに思いが至らない。
それにしても(と、ここからはグチである)
ACアダプターというやつ、メーカーや製品、機種ごとにどいつもこいつも規格が違うんだろう。机の中には各種電源やコードの類が「売る」ほどもたまっている!


午前中はこんな騒ぎで終わってしまった。
あっ、申し遅れました。
明朝のテーマは、
「電本であなたをブランディング」でした。
「電本館」あるじとしては、中小零細の事業者が“実力”を知ってもらうには、本を書くのが一番だと思っているんです。
それで力(リキ)を入れているんですがね。




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けさ、朝日新聞を開いて「ウッ」となった。
小泉元首相の日本記者クラブでの講演を1面トップに据えている。


原発「即ゼロ」首相に迫る
小泉元首相会見
「決断すればできる」


原発のゴミ、核廃棄物の最終処分の方法も場所さえ見つからない状況を小泉氏は「トイレのないマンション」と批判してきた。
元々は自民党の首相であったし「安全」も信じていたのだろう、バリバリの原発推進論者だったが、福島の事故以来「反対論」に転じた。
11月12日の日本記者クラブの講演では、現職記者や新聞・テレビ局の幹部たちを前に熱弁を振るったようだ。

ジャーナリスト 石川秀樹


中で
「首相が決断すればできる」
「国民から与えられた権力を望ましい、あるべき姿に向かって使う」
「国民の多数が総理の決意に協力しようという機運が生まれる、こういう機会はめったにない。安倍首相は運がいい」
という言葉が印象的だった。


さて、この元首相発言のマスコミ各紙の扱いである。
朝日新聞の扱いは突出している。
各社横並びが常の日本の新聞界における“椿事”といってもいいくらいだ。


記事としてのバリュー(価値)はいかほどのものだったのだろうか。
人気者だった小泉さんの発言。
しかし今は政界を引退している身。
子分もいなけりぁ、政治的な野心もない(たぶん)。
ただし発言の舞台は「日本記者クラブ」。
身内のイベントだから、各紙の扱いは1翻(イーハン)増しになるだろう。
それらを見越して、共同通信なら「トップ級」としたのではないだろうか。


共同通信には多くの地方紙やブロック紙(中日・西日本・北海道・中国・河北などの各紙)、テレビ局が加盟している。
重要な記事はジャンルごとに「メモ立て」される。
メモになる記事はピーコ(各新聞社直結の館内放送。発声が「ピーコ」と聞こえる)で流されるから、マスコミ各社では事件発生やニュース素材の有様を居ながらにして知ることができる。
「トップ級」というのは記事の格付けだ。
1面トップでもいいかもしれない、といったニュアンス。
その上が「トップ候補」。
共同通信が強力におすすめする記事(朝夕刊ごとに1~3本程度)。
さらにゼッタイ的なニュースは「チャイム」といって、通常の「ピーコ」に代わってはでなキンコンカンコンが鳴る。


そういう中で「小泉元首相発言」は、ガンバッテもトップ級止まりの記事ではなかったかと推量した。
それを朝日新聞は1面トップに据え、2面と第2社会面でも関連記事を載せた。
破格である。
「非原発」を標榜している産経新聞でも、3面左肩の特集である(写真左)。
脱原発にかじを切ったように見える静岡新聞は、2面にカット付き4段見出しでトップ記事扱にするのが精いっぱい。
中日新聞は中部電力の地元にあって常に原発に警鐘を鳴らしている硬派の新聞だが、けさの扱いは(ネットから推測する限り)1面には出せなかったと推測する。


だからけさの朝日新聞の扱いは「勇気ある突出」だ。
“意図的な報道”だったと思う。
通常「意図的」とは悪い意味で使われることが多いが、今回は誉め言葉だ。


東北大震災・福島原発事故から1年8ヶ月が経過。
日本人はすっかり「原発と共存する毎日」を許容してしまったように見える。
いつの間にか、元の木阿弥……。
電力会社は臆面もなく原発再稼働に向けて走り出した。


こんな時に一言居士の小泉氏が「原発ゼロ」を言い始めた。
今すぐにゼロにはできない事情を挙げれは、千も万も「できない理由」は言い立てられるだろう。
それを直感力の鋭い小泉さんは「できる」といったのだ。


「首相の権力」のことをいっているのである。
菅直人元首相のことを愚かな宰相とこき下ろす人が多いが、その菅さんが放った一言で最も危険な浜岡原発が全基止まったのだ。
わたしたち静岡県民は菅さんに感謝してもしきれないくらいだ。
時の首相が「ゼロ」を言えば、流れは瞬時に変わっていくだろう。


けさ、全国紙がこぞって、また地方紙の多くが「記者クラブでの小泉発言」を1面トップに据えたら、世論はだいぶ動いたに違いない。
自民党が退潮、気息奄々(きそくえんえん)の状況に置かれていたら、安倍首相も原発即時ゼロをいったかもしれない。
小泉氏が「郵政民営化解散」で大ばくちを打ったように。
残念ながら国民は、前と変わったとはいえない自民党を衆院でも参院でも大勝させてしまった。


新聞の勇気をくじくのは国民。
「こんな国民だから、新聞もこの程度なのだ」
と、ノドまで出かかっているが、前言撤回する。
希望はまだある。
世論調査をすれば、国民世論の6割までは「原発はないほうがいい」と思っているのだから。
日本人の良識は捨てたものではない。
「新聞社の勇気ある突出を無にするべきではない」
と、声を挙げる人は多数いると僕は固く信じている。




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