◎認知症なら資産凍結、なんて理不尽を、お客さまに転嫁するな! | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

★100歳・認知症時代だ、「動かせるお金」にしておけ!

認知症の恐れがあるなら、大きなお金は定期預金や生命保険、株・投資信託などにしておかないで、「動かせるお金にしておけ」

とまあ、それだけを言うつもりだったのだが・・・・・

 

書いているうちについ、感情が激してしまい、
強い、強い口調で以下のことを書いた。
(以下、本文より一部抜粋)

 

本人のお金を本人のために使おうとしているのに”凍結”同然になって、そのお金を何とかしたいために、私たちは成年後見人をお願いしなければならないのか⁈

 

 

はっきり言っておく。
凍結」するのは間違いだ!
銀行の過剰反応である。
郵便局も証券会社も、「認知症」と言った途端に、現金化することを渋る。
確かに、預貯金・株の取引なども実は「契約行為」である。
契約は事理弁識能力のある人同士でなければ成立しない。
それは正しい。

 

 

だが、「認知症」だから「事理弁識能力を欠く→取引はできない」、
となるとすれば、それはまったく違う。筋が通らない。
認知症との診断を受けた人で、完全に判断力を喪失している人はごくマレである。
十把一からげに「認知症=取引停止」だ、というのは銀行の都合にすぎない。

 

 

それならば、判断能力が乏しくなりつつあるお年寄りに、
「まとまったお金は定期預金に。投資信託にして生きたお金にしましょう」
などと誘ったのは誰なのか⁈
それなのに家族がその解約を求めると
「認知症なら成年後見を」と言う。
どの口が、手のひら返しのようにそんなことを言うのか⁈

 

■金融庁は「凍結せよ」と、指導してはいない!

私たちはなまじ教養があるので、銀行がそんなことを言うと
《法令順守にうるさい金融庁を忖度(そんたく)しているのだろう》
と思ってしまう。まことに人がいい。

 

 

金融庁が「認知症患者の預貯金資産の凍結」または「取り扱いは慎重に」などと言っているだろうか。
私が取材した限り、金融庁から銀行、生保、証券会社にそんな通達、指示を出している形跡はない。

 

 

常識的に考えても、それはあり得ない。
今から近未来へ向けての次代は、どんな時代か?

①2030年には認知症患者が830万人となる(高齢社会白書)
②認知症患者が保有する金融資産、2030年には215兆円!(第一生命経済研究所)

 

 

日本の家計の金融資産は、30年度時点では2070兆円と推計されているから、認知症高齢者の保有資産は国全体の家計金融資産の1割を超えてしまう。
この資産の「凍結」を声高に言うほどの度胸が、金融庁にあるだろうか。
言えるわけがないし、言うことが正しいとも思えない。
そんなに使えないお金ばかりになったら、日本経済は立ち行かない。
お金が動けなければ(流通しなければ)、経済は立ち枯れてしまう。

 

銀行や証券会社はどこを見ているのだろう、と思う。

金融庁の「凍結」指示など、あるわけがない。

それにも関わらず、「法令順守」か何か知らないが、

家族の不自由を知りながら(家族は思い余って「成年後見」の申立をしかねない)「預金・株式の凍結」を当然のように言って恥じない。

 

 

そうではないのだ。
預かったお金を本人や家族に返すことは、やらなければいけないし、

どうしたらそれができるか(本人の意思確認)は、一にかかって銀行や証券会社の自己判断にかかっている。

 

 

天下の大金融機関が、その義務をさぼるでない!

成年後見制度に丸投げしたら、大事な大事なお客さまに、大きな損をかけることになる。

あってはならない姿勢だ。

 

初めからこのテーマ、別立てでかいておけばよかったかな。