★秘密保護法案、どさくさ突破はないだろう | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。



あれよあれよという間に「秘密保護法案」が衆院を通過してしまった。
数の力というのはまことに恐ろしい。
法律の不備や危険性をメディアがこれほどあげつらっても、平気の平左で採決強行だ。


昨年12月の衆院選で自民党をあれほど勝たしてしまったんだもの、国民は何も言えない。
長く続く経済停滞、いわゆる厭戦気分。
震災対策、壊れてしまった原発の処理も一向進まない。
みんな民主党が悪いんだとされて、振子はなだれを打って自民の方に。


その後にアベノミクスの成功で支持率はうなぎ登り。
安倍首相という人、2度目の登場で勘が良くなった。
憲法改正がままならぬとみたら、すかさず「秘密保護法案」だ。
選挙の時には秘密の「ひ」の字も言わなかったくせに、この重大法案を1国会でやっつけてしまおうというのだ。
にわか大工の安普請じゃあるまいし。

ジャーナリスト 石川秀樹


いずれ憲法改正への下ならしだろう。
中国の覇権主義をこれほど見せつけられては、「国家の安全」も考えたくなる。
まあ、そこにすかさずつけこむところがこの政権、したたかだ。
国民も「憲法改正だ」と言われれば身構えるが、「国家機密の保護だ」と言われればなんのことやらよくわからない。
わからないことには興味ないのが当然で、一部、危険を承知のメディアが警鐘を鳴らすのみとなった。


この法律、危険である。
官僚・政治家に都合の悪い決定はほぼすべて隠されるだろう。
自衛隊法、国家公務員法があれば国家機密を守るには十分だった。
今度のは「投網を掛けて全部」なんでもかんでも好きなように秘密にできるという法律だ。


何が都合が悪いか。
例えばアメリカのケネディー大統領暗殺事件。
オズワルドの単独犯行とされたが、多くの人の努力で、軍とCIA、それにマフィアが絡んだ陰謀だという構図がわかってきた。
しかし決定的な証拠はない。
事件にまつわる事実の全貌は法律により70年間は明らかにされない。
あと20年も待たなければならないのだ。


こんな大事件でなくても、知りたい情報はいくらでもある。
権力のチェックが報道の役割だが、今後はありとあらゆる事項で「だんまり」に会うだろう。
無理やりこじ開けようとすれば、逮捕されるかもしれない。
何が法に触れるか分からないのだから、違法の判断は情報を持つ側(権力側)のほしいままだ。


ソーシャルメディアの時代になればすべてが透明化する、とザッカーバーグは楽観的な予測を立てた。
それは正しいはずだった。
情報格差がなくなれば社会は変わらざるを得ない。
しかし現実は、こんな法案がまかり通ろうとしている。


政権発足から1年近くたとうとする今、支持率がなお60%を超えている。
異常ではないか。
経済が少し上を向けば何でもかんでも政権に白紙委任していいのか。
争点にもあげなかった“ポッと出の法案”をやすやすと通させていいのか。
国民は政治ということ(政治が誤った時の災厄)を、もう少し真剣に考えた方がいい。


(写真は毎日jpから転載。国会内で2013年11月26日午後8時10分、梅村直承氏が撮影)




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【筆者から】
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ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただけたら、こんなにうれしいことはありません。


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