コンビニ弁当の値引き販売、きのう(8/30)東京高裁で認められた。
原告のセブン-イレブン・ジャパンのフランチャイズ加盟店主の勝訴。
当然である。
この問題、前から気になっていた。
単に期限切れ間近の弁当の問題だけではない。
フランチャイザー(本部)の優越的地位の濫用の問題だ。
年中無休。
真夜中も店を開け、人で不足の店主はやむなく徹夜の連続。
業績が上がれば、すぐ近くにもう1軒コンビニを出店。
そして競争のための自由な値決めも禁じられている。
※写真は近所のコンビニ。本文とは無関係です。
口を開けば「お客様の利便のため」というが、
お客様である私たちはそんなものは望んでいない。
店主を疲弊させてまで、夜中に店を開いておけとは思わない。
強盗の標的になるんじゃないかと、心配までするくらいだ。
街からちょっと離れた振興の住宅街にコンビニができた。
『オーッ、こんな所にまでコンビニが。便利になる』と喜んだ。
店は昼間も夜もにぎわっているようだった。
すると半年後、もう1つ同じフランチャイズの店ができた。
脱サラし店を開いた店主は当初のにぎわいで
「これなら借入金を早めに返せるかもしれない」と安どした矢先だった。
利益が出るなら余さず収奪する、それが本部の考え。
フランチャイジー(店)の計画や夢のことなどお構いなしだ。
判決は、「社員が優越的地位を利用して値引き販売を妨害した」と明確に本部の非を認定し、原告4人に計1140万円の支払いを命じた。
よくぞ店主は提訴したものだと思う。
店主対本部の争いはこれまで、本部の勝利が当たり前だった。
契約書に判を押してあるからだ。
「承知の上で店を出したんでしょ」といわれれば文句はいえなかった。
大資本の本部は、弁護士軍団を抱えている。
それに逆らおうなんて、蟷螂の斧(とうろうのおの)、
カマキリが起重機に立ち向かうようなものだった。
しかし考えても見てほしい。
365日24時間操業を強制するビジネス形態は、「休む権利」の一節が盛り込まれていない限り、契約自体が無効であるはずだ。
しかし日本の司法は、世の中の“空気”に同調する。
お客様は神様ではない。
私もあなたも、コンビニ店主もただの人間だ。
便利になればうれしいが、人の休む権利を奪ってまで断固として店を開き続けよ、とは思わない。
きょうび「期限切れ間近」の惣菜、弁当はタイムセールスされるのが常識だ。
コンビニはそれさえ許されない。
売れ残れば廃棄処分。
損失は店側持ち。
ならば安くしても売ろうとするのが人情ではないか。
休むことを禁じ、あくなき(店舗数)拡大戦略をとり、商品の値決めを本部側で掌握する狙いはなんだろうか。
フランチャイザー(本部)の利益極大化だ。
店は春夏秋冬に何度も回って来る「なんとかキャンペーン」でも、ノルマに追いまくられる。
コンビニは事業である。
だから利益拡大をめざすことが「悪」だとはいえない。
「お客様の利便のため」という隠れ蓑もまとっている。
この論理を崩すのはなかなかやっかいだった。
しかし今、時代はソーシャルにシフトしつつある。
「社会によいこと」が「富」に替わる新しい価値だ。
その発想に立てば、店側に過大な労働を課し本部のみが利潤拡大を追求するビジネスモデルが今日的ではないことは明白だ。
セブン-イレブン・ジャパンは高裁判決に対してこういっている。
「判決内容の一部に主張が認められず遺憾。承服しかねるので上告する」
企業の驕慢(きょうまん)さが透けて見える。
素直に謝る気はないらしい。
時代に逆行する傲慢で強欲なビジネスモデルに対し、最高裁判所は明快な判決を出してほしい。
権威で抑え込まない限り、アメリカ流“人間疎外のビジネスモデル”を粉砕することはできないだろうから。
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【筆者から】
このブログの元になっているのはFacebookへの書き込みです。
主にFacebookページ「ジャーナリスト 石川秀樹」に投稿しています。
ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただけたら、こんなにうれしいことはありません。
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