★参院選ネット選挙 議員センセイのお寒いリテラシー | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。


7月4日の参院選公示まであとわずか。
自民・公明らの与党勢力で3分の2を確保しないかと気になるところだが、維新の会の“自滅”で一時の高揚感は薄れ、急速に焦点ボケの様相を見せている。
こんなときこそ手練れの与党勢力は手堅く票をまとめて、アッと驚くような結果が出て(心ある)国民がほぞをかむような、嫌な予感がしないでもない。
ご用心、ご用心だ。


憲法論議は棚上げだろうというマスメディアの甘さゆえか、彼らの興味は「初めて導入されるネット選挙の影響はいかに」に移っているようだ。
NHKが全国会議員(717人)に聞くという大がかりな調査を実施した。
せっかくなので、のぞいてみることにした。


僕の結論を先に言っておくと、「???」だった。
ハテナ3重奏の意味は、国会議員はわかっていないな、分析するNHKも理解していないし、有識者もどこまでことの本質を承知して話しているのだろう―、という意味である。

ジャーナリスト 石川秀樹


回答した国会議員の80%は「インターネットの活用のしかたしだいで自分の選挙結果に影響がある」と考えているようだ。
ネットの過大評価ではないか。
わけもわからず怯えているように見える。
ふだんの政治活動で活用しているネットは―
ホームページが97%、フェイスブックが69%、ブログが63%、ツイッター48%。動画サイトも30%が“活用”している!
本当か?
これだけ見れば、さすが日本の英知、選良(エリート)たちのメディアリテラシーは高いね、頼りになるねと思わせるが……。
僕にはどうにも水で薄めたカルピスみたいな感じしかしない。


「今度の選挙で特に力を入れたいもの」をNHKが聞いている。
円グラフに示した通り、Facebookが1位で29%、次いでブログの26%。
ここまではわかるが、Twitterがたったの6%だ。
時どきの流行に流されて議員さん(あるいは秘書?)、回答しているようにしか思えない。


はっきりいって、君たちのレベルで選挙にFacebookを使っても、票獲得には結びつかない!
Facebookは簡単に拡散しないし、拡声器のように連呼しても、誰も振り向かない。
Facebookで人を動かせるのは(言葉は悪いが)アジテーターの素質ある者だけだ。
明確なビジョンを短い、かつ具体的な言葉にまとめ、畳み込むようにグイグイと聴衆の心に分け入り、感情をわしづかみにする、『ああ、私がいいたかったのはこのことだったんだ』と思わせるような、わかりやすい言語をもつ者。
そういう人ならFacebookで短時日に“影響力”を持てるかもしれないが……。
幸か不幸か、そんなセンスをもっている人はいないようだ。


このような特殊な能力を持ち合わせていない多くの人は、長くFacebookを使い、粘り強く、誠実に、できないことはできないといい、できることにまじめに取り組んで1つひとつ結果を出して自分の存在、人となりを有権者に知ってもらう。
そういうオーソドックスな方法論しかないし、それが一番人の心をとらえ、勝てる方法だ。
付け焼刃は利かない!


付け焼刃は利かないことがわかる人にはわかっているのに、国会議員が腐心していることは①情報発信に必要な時間の確保(42%)、②熟知する要員の確保(34%)、③活用するための資金・経費(12%)-だ。
時間がないから誰かに発信を頼みたい → Facebookを分かっている人が見つからない → おカネも掛かりそうだ……。
そんな不安感が見て取れる。


もう一度はっきりいっておかなければならない。
議員自身の言葉でなくして、誰が感動し、共感し、熱烈な支援を送れようか!
時間がないから人任せにするなら、やらないほうがよほどましだ。
やらなければ“不誠実”を見抜かれるリスクもない。


6月29日現在の主要政党のFacebookページのファン数を調べてみた。
自民党が4万人。
あとはドングリの背比べだ。
自民党はさすがで「ネット選挙解禁」を主導したわけだ、といいたいところだが、どの政党も2ケタくらい少ないのではないか。
いかに今までFacebookに関心をもってこなかったか。
そして大慌てでFacebookページをつくったものの、「お客様」(有権者)を捕まえそこなっている様子がよくわかる。


さて、最後に言いたいことはこういうことだ。
国会議員は自らが「メディア」である。
マスコミを頼らなくても、発言は普通の人の何万倍もの影響力をもつ。
そのことを承知の上でソーシャルメディアを使うべきだ。
悪しき例だが、大阪の橋下徹市長の例を思い出してほしい。
彼は112万人のフォロワーがいるから「メディア」なのではない。
たかだか100万、視聴率なら1%にすぎない(庶民には夢の数字だが)。
彼をこういう存在にしたのは、発言を増幅して伝えるマスメディアがあったからだ。


この手法は、橋下氏でなくても使える。
佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長は世に訴えたい政策をブログに書き、Facebookで伝えて記者にキャッチさせ、「ニュース」にしている。
政治家は常にメディアである。
拡散力でいえばツイッターはFacebookよりはるかにストレートに広がっていく。
そのメディアに関心をもつ国会議員は今や6%。
使いこなしができもしないFacebookに29%が関心を寄せる。
「お寒いね」と感じるのはそういうことである。


政治家はすでにメディアである。
その媒体は、ブログでもTwitterでもFacebookでもいい。
肝要なのは「言葉」だ。
言葉で伝える技術だ。
そしマスコミに耳をそばだたせるその発言の中身である。
それを忘れてネット選挙に右往左往していては、無駄なカネを業者に払うだけのことになろう。



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【筆者から】
このブログの元になっているのはFacebookへの書き込みです。
主にFacebookページ「ジャーナリスト 石川秀樹」に投稿しています。
ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただけたら、こんなにうれしいことはありません。


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