★この国の政治の機能不全、責任はマスコミにもある | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。


何か書こうと思うのだけれど、いうべき言葉が出てこない。
僕は政治や政治家、その政策を批判することはあっても、政治を否定することは間違いだと思っている。
だって、間接民主主義の中で、法律をつくる最終権者は彼らなのだから。
日本人は忘れているが、憲法改正の発議ができるのも彼らだ。
だから政治家を批判して、選挙に関心を失い、政治参加をやめてしまえば、誰か自分の知らない人たちによって選ばれた政治家たちが国を動かすことになる。
その政治が素晴らしければ、国民は投票日に寝ていようが、レジャーに行って留守しようが、なんの支障もない。
しかし、そんな素晴らしい状況が生れるかね。


一方、この国の国民であることは悲しい、とも思う。
政治や政策への不満をいう。すると必ず出てくるのが「国民にも責任がある。
選んだのは国民じゃあないか」だ。
こういわれるとみんな黙ってしまうが、そうじゃあない。
有意な者を落とし、無能で無意味な者たちを当選させてきたならそうもいえるが、国民は(実体はわからないものの)よりましと思える者たちを、間違いなく選んでいるはずだ。
それでこの国が思うように機能しないのだとしたら、国民に責任はない。
ひとえに、政治家たちの力不足ということになる。
国民の選挙(政治といってもいい)リテラシーはかなり高い。
その国民が今度、どんな選択をしても、どうにもこの日本という国がよい方向に向かうと思えないところが、僕が言葉を失っているところなのだ。


政治の質が劣化している理由はいくつかあると思うが、その責任の一端はマスメディアにある。
きわめて幼稚で情報操作されやすく、かつ無責任で反省がない。
小沢一郎=悪人キャンペーンなどその一つで、これは「原発安全神話」の虚構が崩れ去った今も、この国を覆っている。
鳩山由紀夫、菅直人、そして今は野田佳彦首相と、一国の宰相で新聞、テレビの批判の矢面に立たされなかった者はいない。
マスメディアは民主党嫌い? 
そうともいえない。
安倍晋三自民党総裁も首相候補に躍り出た途端に、ひ弱だ、バカだ、エキセントリックだと叩かれ始めた。
福田康夫、麻生太郎元首相も石もて追われた。
維新の会の橋下徹、石原慎太郎代表も、いいことをいわれることはまず滅多にない状況だ。


マスメディアは何様のつもりなのだろうか。
自分が一番正義で、一番頭がいいとでも思っているのか。
未来の党の嘉田由紀子代表バッシングを横から見ていて、メディアの劣化はひどい、ひどすぎると思った。
例の「卒原発ブレ発言」とされた騒動だ。


「原発再稼働の手続きが全部終了したら、再稼働を認めるか?」
「認めます」といった途端に、「嘉田氏、原発再稼働を容認」と大見出し。
どうしてこんなことになるのだろう。
法治国家の日本で、法律にのっとって手続きが終了した事案を誰が止め得るというのだ。
当たり前のことを当たり前にいうと、わざわざ曲解して伝えられる。
だから今度は「真意は違う」と説明する。
「嘉田未来代表、発言大ブレ」
なんともはや、今度も当たり前の釈明をして、「発言がクルクル変わる政治家」と、レッテルを貼られてしまった。
直後の世論調査で「未来」の支持率が伸びなかったのもうなづける。


いったい日本の新聞・テレビは、日本がどういう国になったら『批判のポーズ』をやめるのかね。
悪い子だ、いけない子だといい続けて、子供が立派に成長するわけがない。
批判する者はひとり高みに立って吠え続け、一方では社の大立者が政治・経済のこれまた大物と密談を交わす。
日本を支配している気分にでもなっているのだろうか。


いい加減に国民は目覚めなければならない。
今のマスメディアは、政治・官僚・司法・経済界のエスタブリッシュメントと全く同質である
同じ時期に同じ一流大学を卒業し、それぞれ日本の未来を背負うつもりで各界に散った。
「原子力ムラ」といえば特殊な利権集団に聞こえるが、大きくくくれば、マスメディア・政治・官僚・司法・経済という5者は「同じムラ社会の住人」たちなのだ。
だから、公平、公明正大な批判などできるわけがない。
最後は必ず“意図ある報道”になるわけである。


一線の記者までも?
彼らには正義感があると信じたい。
しかし、出自は同じ。
しかも「記者クラブ」という特殊な「超ムラ社会」で修業を積む。
そしていつしか、日本の繁栄よりは、ムラの中ではい上がっていくことにエネルギーをかけ始める。
全部ではないが、そういう者は多い。
日本の記者集団そのものが、欧米のジャーナリストから見れば「囲われたムラの住人」である。


そういうものだとして僕らは新聞を読み、テレビ報道を見なければならない。
うのみは禁物だ。
選挙まで残り少ない。
1票を投じたい候補者がいない、とノドまで出かかっているが、グッとそれを抑えて、よりましな候補者を探そう。
自分の目、自分の感覚で見つけるしかないのだ、と肝に銘じながら。



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【筆者から】
このブログの元になっているのはFacebookへの書き込みです。
主にFacebookページ「ジャーナリスト 石川秀樹」に投稿しています。
ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしていますが、ジャーナリストであり続けたいと思っています。また、61歳で行政書士の資格を取り今年8月に開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」として熱く語り続けています。
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