NTT西日本が、回線を変えたら違約金3万円!?86歳の父との「契約」を楯に | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

いやー、人生と言うのはおもしろい。
笑っちゃうような話が次々に起きてくる。


先日、新しく設立した出版社に電話とパソコンの回線を引いた。
出版社と言っても、父と家内が書道で使っている建物に間借りする形。
NTT西日本のフレッツ光からコミュファという会社の回線に変え、
2個目の電話番号をもらったという次第。
「切り替えの日が来たら、回線契約解消をお客様自身がやってください」
と言われたので、きょうNTTに電話した。


すると、係の女性が申し訳なさそうに言うには
「お宅様は、この3月に契約を更新したばかりです。
割引価格になっているので、今契約を切ると3年分の違約金、
3万円
を払っていただくことになります」。


「3万円!」と聞いて、僕は目をむいた。
ばかばかしい!
元はと言えば、業者同士の競争で顧客の囲い込み合戦をやっている
というだけのことじゃあないか。
気のいい客が巻き込まれ、素直にそんなもの、払う必要がどこにある。


とは言え、戦うにはそれなりの情報を集めなければならない。


それで父に「契約」のことを聞いた。
すると父は「??」。
それこそ「なんのこと言ってんだ?」という調子で、
契約更新をした認識自体をもっていない。
なるほどそれで父は「稽古場の電話回線をNTTからコミュファに変えるからね」
と言っても、何も反応しなかったわけだ。


父は86歳
最近とみに世事への関心が薄くなり、金銭感覚は怪しくなっている。
「(契約更新は)電話で言ってきたの?それとも、係の人に直接会ったの?」
「会ったとすればそれはNTTの職員だった?、それとも代理店の人だった?」
と聞いても、首をかしげるばかりだ。
こんな状態の父と、NTTは本当に契約したと言えるのか。


「担当者をよこしてほしい」と窓口の女性にお願いしたが、
「まず担当に電話させます」の1点張り。
こういう話が電話で解決すると思っているのだろうか。
(きっと、マニュアルではこう対応しろとなっているんだな)


めんどくさいことになったものだ。
僕は担当者(そんな者がいるんだろうか)と直接話をし、
上記の状況を確認した上で「それでも契約は成立している」と主張するのかどうか、
責任ある回答を求めたいだけである。


いや、違うな。
こういう問題は毎日毎日、枚挙のいとまないほど全国で起きているだろう。
何も知らない不用意な客が、契約解消の時にほぞをかむ。、
相手はNTT、大きな会社、それに契約書にもハンを押しちゃった、
こんな小額で裁判することもできないし、第一勝てそうもない……。
そう思って、悔しさをかみしめながらと泣き寝入りしているに違いない。
だから、かなわぬまでも一矢むくいてやりたいのだ。


消費生活センターにも電話した。
事情を説明し、対抗できるか見解を聞いた。
「契約が成立していると言えるかですね」
やはりそうか、法律は形式を重視するが、時に”事情”も考慮される。


最後に「長期契約」についてどう考えるかも訪ねた。
係の人は「うちにも掛かってきますよ。消費者が賢くなるしかないですね…」と言う。
あまり言質を取られたくないのか、言葉を濁す。
それで僕は「あなたの個人的な感想を聞かせて」と促した。
すると「それは好ましいことではないですよ」と答えてくれた。


繰り返しになるが、僕の考えはこうだ。
『長期契約』などと言うもの、どんなに契約書をひけらかしたところで、
本質は業者が顧客を抱え込むための手段
囲みの外に逃げ出さないように、ハンコを押させて縛っているだけのことである。
消費者の利益にならないことは、センターの人もちゃんと分かっている。


NTTはいつ電話を掛けてくるのだろう。
最低限、いつ、誰が、どのような手段で父に接触したのか、
きちんと調べて報告するよう求めるつもりだ。


◆◆◆

今、NTT西日本から電話があった。
結論から先に言うと、契約が成立していないことをNTT側が認め
「解約違約金」は支払わないでよくなった。
事情を追跡した結果、
NTT西日本のコールセンターから昨年9月14日に父の稽古場に連絡があり、
その際、家族でない者(生徒さん?)が電話を取り契約したことが分かったと言う。
これでは契約自体が成り立たない。
よって違約金の問題もなし。


こぶしを振り上げたが、意外な展開。
理屈を言えばきりがないが、ちゃんと経緯を調べてくれたので、
この結論をそのまま受諾することにした。
やれやれ、また男を下げてしまった。
家内に話すと叱られるだろうな…(しょんぼり)。


「はいお代官様」と、僕が易々と3万円支払うことはないと思う。



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