■どうしちゃったのか?ヒューレット・パッカード!! | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。


こんなことは書かないほうがいいのかもしれないが…。
ヒューレット・パッカードの対応を見ていて「メーカーの辛さ」について考えた。


◎海外生産でなく「東京生産」だから魅力的だったのに…

以前、超円高で国内メーカーの海外生産ラッシュが続く中、
ヒューレット・パッカードは逆に熱心な社員の提案で「東京生産」に踏み切った、
というブログをfacebookでシェアしたことがある。
人件費は海外が安いが、日本への輸送コストや欠品での対応、
品質の一定などを考慮すると、「海外での生産必ずしも有利ならず」
という趣旨だったと思う。


『えらいぞ、ヒューレット・パッカード!』
単純な僕はうれしくなって、パソコンを買うならHPだと思った。
わけても「東京生産だ」と。


◎HPを信じたばかりに多くの時間をロス!

それで今回、出版社の事務所に入れるパソコンをHPのオンラインで購入することにした。
カスタムメイドの項目を選択し終わって、ふと気がつくと
「パーツの一部が欠品しており、納入が遅れそう」との赤文字の「注意」が目に入った。
『さすが、人気があるらしい』と僕は楽観視し、そのまま注文した。


しかし結果として、これはミスだった。
注文以来、僕は1ヶ月の余を待たされ、なお「納入の日取りは確定できない」
という事態に見舞われたのだから。
それで、とても残念だったが、HPへの注文をキャンセルした。


この1件、猛烈に腹が立った。
と同時に『おいおい、HP、大丈夫か?』とも思った。


◎おわびのメール3通、しかし中身はおざなり

確か、納入が遅れているためのおわびメールは3度届いた。
しかしそのたびに「めどはたっていない」だけだった。
これでは説明にも何もなっていない。
どの部品が、どのような理由で欠品しているのか、それを知りたいのに。
リーズナブルな理由なら、僕は待つだろう。
しかし、メールは3度ともハンで押したように同じだった。


僕が経営者なら、ここに大きな危機感を持つはずだ。
客を1か月以上も待たせるというのは、あってはならない機会ロスである。
現に僕は、新事務所で仕事ができず、自宅のパソコンを使って急場をしのいでいた。


普通の会社なら、顧客にそれほどの時間ロスをさせることが分かっていれば、
注文を取るのを中止するはずだ。
注文できたということは、事態をそれほど深刻にとっていなかったか、
客をなめているかのどちらかに違いない。
まじめな会社なら、事態解決に必死になるはずだ。


◎信用失墜の痛手に鈍感では先が思いやられる

へたをすれば企業存続にかかわる危機だと僕は考える。
これは順調な会社でも陥りかねないワナだ。
信用失墜すればトヨタでさえ危うくなる時代。
これを本気で免れるには、新聞に全面広告を出し事態をていねいに説明する、
注文者にはあらためて説明文書を送りわびる。
その上で、死に物狂いで調達に駆け回る…くらいしなければならない。
しかし残念ながら、HPはメールでやりすごすだけだった。


先週の土曜日、堪忍袋の緒が切れた僕はHPにキャンセルのメールを送った。
その足で、近くにあるOAショップに飛んで行った。
東芝のDynabookシリーズと台湾のAser社のパソコンが展示されていた。
ノート型を物色する。
HPに注文していたのは11万9000円くらいだった。
店のパソコンを一目見て『なんだ、安いな』と思った。
4万円台から、最高でも8万9000円台。
スペックはHPとさして変わらない。
1ヶ月も待っていた自分がアホらしくなってきた。


正直言って、ヒューレットも東芝もエーサーも、どこが良いかなんて分からない。
遅いパソコンにカリカリしていた僕は、とにかくサクサク動いてくれればいいのだ。
「東京生産だからいいかも…」と思っていただけ。
ことほど左様に、そういう客が多いのではないか。
良いイメージ、良いうわさ、良い口コミ…。
それで十分、人は購買行動を取る。


◎「欠品」は調達計画に根本的な弱点があるのでは?

早くHPが届いていれば、3万円の価格差を「損した」とも思わず、
『なんたって東京生産だからな』と、ひりほくそ笑んでいたに違いない。
しかし、こうした僕のブログは逆の口コミとなるだろう。
”悪口”だから、あまりシェアもされず、うわさは極少にとどまるかもしれない。


しかしヒューレット・パッカードよ、安心してもらっては困る。
僕がネットで物色した限り、欠品は「たまたま」ではなく
多くのシリーズで「赤字注意書き」が出ていた。
これは何を意味するか、中の人なら分かっていなければならない。


調達計画が体をなしていないのだ。
何か根本的で、決定的な欠陥がこの計画にはある。
致命傷になりかねない欠陥だ。
さらに悪いのは、全社でその危機を共有しているように見えないこと。
おざなりなメールがその証拠である。


本来なら調達部門の長のクビが飛んでもおかしくない事態なのに、
外から見えるHPはへらへら笑っているかのようだ。
客はメーカーの事情などお構いなしに、自分の都合で会社を評価する。
わがままな客を常に満足させなければならない、だからメーカーは辛い。
辛いけれど、それを常に達成することで”評価”が生まれる。
当たり前のことだ。


◎今ごろ「届いた」と言っても後の祭り

土曜日に出したキャンセルのメールは、月曜日の昼近くになっても返信がなかった。
『東芝のを買っちゃったのはいいが、本当にキャンセルできているんだろうな』
心配になり、あらためてオペレーションセンターに電話をした。
すると交換の女性は
「欠品した部品は今週末には入り、商品をお届けできるかもしれません」と言う。
なんだか『ソバ屋の出前みたいだな』と、おかしくなった。
「申し訳ないが、代わりのパソコンを買ってしまった。だから必ずキャンセルしてもらいたい」
断固たる口調で、あえて申し渡した。


こういうの、後の祭りと言うんだよね。


追記

昼間、電話であらためてキャンセルした話を上に書いた。
そんなことをしたのは、キャンセルメールがスル―される恐れあり、と踏んだからだ。
だからこその念押し電話のはずだったが、今メールを開けてみれば──
「納期が確定いたしましたので、ご案内申し上げます。」

いやーっ、ビックリした!ここまでHPがたるんでいるとは思わなかった。
電話でオペレーターは、受付番号まで聞いて僕の人物確認をしている。
そして「キャンセルを確かに承りました」と言ったのに、
現場にキャンセルが届いていない

やっかいな会社だ。
被害を受けているこちらが、なぜキャンセルの証明をしなければならないのか!
いい加減にしてほしい。

電話には受け付け記録があるはずだが(「録音する」と言っていた)、
念のため「キャンセルメール」を添付してHPに3度目のキャンセルを伝えた。
ついでに、このブログのURLも記載した。

ヒューレット・パッカードの人も、このブログを読んでほしい。
そして、どうしたらこんなばかげたミスを防げるか、真剣に議論してほしい。





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