和を以て貴しと為す
わしは長尾景虎(ながおかげとら)です。
永享9年(1437年)、鎌倉には物々しい雰囲気が流れていた。
再び兵が集まっていたのである。
前年に持氏さんの周辺に兵が集まって信濃に出兵しそうになったんだよね
鎌倉に滞在していた上杉憲実(うえすぎのりざね)は自らの居館で第一子の龍忠(たつただ)と戯れいた。
龍忠ちゃんが後の憲忠さん
側には2年前に生まれた第二子の龍春(たつはる)を佐奈子(さなこ)が抱いていた。
そこへ家宰の長尾忠政(ながおただまさ)が慌てて入ってきた。
忠政「はぁはぁ…殿(憲実)!」
憲実「忠政、そんなに慌ててどうしたのだ?」
忠政「また公方(持氏のこと)様の居館周辺に続々と兵が集まっておりまする。」
憲実「…またか、此度はいかなる事が起きたのだ?」
忠政「信濃出兵のため…らしいのですが…」
憲実「らしい…とは?」
忠政は憲実の側に寄り、
忠政「殿を誅伐するためとの噂が流れておりまする。」
憲実「わしを誅伐?公方様が?」
忠政「今は躊躇している時ではごさいませぬ。景仲(かげなか)殿が急ぎ兵を集めておりまする。」
憲実「ならば、公方様に真意を確かめてくる。」
忠政「なりませぬ。公方様の近くにいる上杉憲直(うえすぎのりなお)や一色直兼(いっしきなおかね)らが公方様の名を騙って殿を誅伐するやもしれませぬ。」
この時、すでに憲実の居館にも兵が集まっていたのである。
憲実「されど…」
忠政「まずは鎌倉から離れてくだされ。お方様(佐奈子のこと)とお子様は上野の領地に避難してください。」
憲実「……ならば、佐奈子!龍忠らを連れて上野に行くのだ。」
佐奈子「父(直兼のこと)が敵対するとは…。」
佐奈子さんのお父さんは直兼さんなんだよ
佐奈子らは上野に、憲実は相模藤沢に下った。
この事を憲直から知った持氏(もちうじ)は、
持氏「憲実が藤沢に…なぜだ?」
憲直「公方様を討つためだと、やはり京の義教(よしのり)と繋がっているからです。」
持氏「そんな馬鹿な…ならば、わしが憲実の元へ行く。」
憲直「えっ?」
持氏「わしが憲実と話をしてくる。」
持氏は藤沢に向かったのだ…
つづく…









