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元長「隠居とは⁉︎」
経言「父上、隠居はまだ早うございます!」
優「殿…」
元春は家族其々の顔を見た。
元春「すでに元長は吉川家当主として充分な力を備えた。毛利両川の一翼としての力もある。」
元長「父上、それがしにはまだまだ父上の力には及びませぬ。」
元春「わしは家督を受け継ぐ時を誤ってはならぬと思っておる。受け継ぐには、この時をおいて他にはない。」
元春は毛利本家が受け継ぐ時を誤ったと思っていたのだ。
毛利は元就(もとなり)さんから隆元(たかもと)さんに受け継ぐのが上手くいかなかったね
元春「元長、よいな。今は戦国の世が変わる時、隆景(たかかげ)と力を合わせて毛利(もうり)を支えるのだ。」
経言「父上の隠居は…秀吉(ひでよし)が天下を取ることを嫌ってのことですか?」
元春は経言をギラリと睨んだ。
優「経言!吉川家のこと、毛利家のことを思ってのことです。感情でおっしゃってるのではありませぬ。」
元春「…わしは日野山城(ひのやまじょう)の麓に館を建てて、優と一緒に移る。日野山城の主は今日から元長だ。わかったな。」
元長「はい。かしこまりました。」
元春「経言、そなたはわしと一緒に新たな館に移るだ。よいな?」
経言「…はい。」
元春隠居は、すぐさま毛利本家当主の輝元(てるもと)や小早川隆景の知るところとなった。
元春は元長を連れ、吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)に訪れた。
輝元「元春叔父上!!突然隠居とは何ごとですか?」
元春「わしは既に50を超えてます。元長は立派に吉川家の当主、そして毛利家を支える力を持っております。家督相続はこの時と決めました。」
輝元「今、羽柴秀吉と柴田勝家(しばたかついえ)の争いが今後の毛利を決めるかもしれない大事な時。毛利両川の一翼である叔父上の力が必要なのですぞ。」
元春「その力、元長で充分足りうると存じます。」
隆景「……」
隆景はじっと黙っていた。
輝元「隆景叔父上、黙ってないで何か言ってくだされ!」
隆景「…わしは元春兄の思い、わかっておりまする。殿、我が小早川家もいずれは家督相続の時が来ます。吉川家はそれが今なのです。」
輝元「何てことを…」
隆景「まぁ、わしはまだ隠居はしませぬ。毛利両川は元長殿とわしとなります。心配ありますまい。」
元春「その旨でお願いいたします。では…」
元春はその場を出ていった。
隆景がその後を追い、
隆景「兄上!」
元春「ん?」
隆景「わしは兄上が隠居しておとなしくしているとは思っておりませぬ。」
元春「……ふふっ」
隆景「隠居すれば、自由に動けるから…ですな?」
元春「さすが智将隆景だな。心配いたすな。毛利家を危うくすることはせぬ。」
隆景「わかっておりまする。ただ無理はなされるな。」
元春は元長に家督を譲り、隠居した。
天正11年(1583年)4月、賤ヶ岳の戦い(しずがたけのたたかい)で秀吉は勝家に勝利した。
秀吉は織田信長(おだのぶなが)の体制と権力を継承し、天下人への道が開けたのだ。
秀吉「よし、この勝利を毛利に知らせるのだ!」
秀吉は勝利の2日後には毛利に書簡を送ったのだった…
つづく…
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