猛将親父 〜第113話 猿顔の百姓〜 | 歴史を感じよう

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日本史について感じたこと、調べたことを連載形式で書いていきます。また、神社やお寺、史跡巡りしたこと、プロレスについても書いていきます。わが愛犬てんのことも語っていきます。そして…「オイラ、えいたろうの相棒のコアラだよ。是非読んでね。」

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目次



天下を競望せず…

わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。



日野山城(ひのやまじょう)の庭で元春の前に忍びの弥助(やすけ)が連れてきたのは3人の百姓であった。



その中の1人はに似た顔であった。わし、経信(つねのぶ)もこの場に同席した。



弥助「領内をうろついていました。そなたら、領内で何をしていたのか、殿に話すのだ。」


ここで猿顔の百姓が口を開いた。


コアラ⬆️これは本当の猿


猿顔の百姓「わしらは播磨に住んでました。大根や芋を作っていましたが…お侍さんが戦ばかりして田畑が荒らされ…播磨から離れて新たな田畑を求めているのです。」


経信「新たな田畑を求めて、この安芸に来たのか?」


猿顔の百姓「そうでごさいます。」


元春は3人の百姓の顔をじっと見て、




元春「播磨で田畑を荒らす侍とは誰か?」


猿顔の百姓「確か…宇喜多(うきた)のお侍さんにございます。」


元春「宇喜多…」



宇喜多といえば宇喜多直家(うきたなおいえ)が元主君、浦上宗景(うらがみなおいえ)を追放し、宗景の旧臣と争っていたのだ。


宇喜多直家



猿顔の百姓は微笑みながら元春を見ていた。


猿顔の百姓「この地のお殿様は百姓を大事にしてくれると聞いとります。それでこの地に来たのです。」


経信「毛利(もうり)は他では、そう噂されているのか?」


猿顔の百姓「そうりゃあ、もう。田畑は百姓の命にございますゆえ。」


元春「…この地も荒れるやもしれぬぞ。」


猿顔の百姓「えっ?なぜでございますか?」


元春「播磨より東の地より、侵略するものがおるのだ。我らはそれらと戦うが…」


猿顔の百姓「百姓を大事にしてくださるお殿様が負けるはずがありませぬ…相手は強いのですか?」


元春「…強いであろう噂は聞いておる。しかし、誰であろうと我らが納める地を守らねばならぬ。東の地の侍のことは聞いたことはないか?」



元春は猿顔の百姓をじっと見て聞いた。


猿顔の百姓「播磨より東の地は戦ばかりと聞いております。怖い…怖いことばかり。」



元春は猿顔をじっと見て、微笑んだ。


元春「毛利の領内でよければ、好きな地を探すがよい。弥助、放してやれ。」


弥助「かしこまりました。」




百姓らは庭から出ようと立ち上がりましたが、猿顔の百姓は元春に、


猿顔の百姓「お殿様のように百姓を大事する方が天下を治めればよいとわしは思います。」



元春は一息つき、


元春「毛利に天下を治める器はない。天下を望むことはない。それが毛利だ。」





百姓らは日野山城から解放され、東の方向に歩いていった。


百姓の1人が、


「殿、早く畿内に戻りましょう。信長(のぶなが)様に怒られます。」


猿顔の百姓が答えた。


「うむ…戦の前に吉川元春と言う武将を見ておきたかった。毛利は天下を望まぬか…信長様の命とはいえ、気が重いの…」



猿顔の百姓…そう、これが毛利と強く関わってくる羽柴秀吉(はしばひでよし)なのである。





畿内では信長に従っていた松永久秀(まつながひさひで)が謀反を起こして信貴山城(しぎさんじょう)に籠っていた。


信貴山城を囲む織田軍の中には山中鹿介(やまなかしかのすけ)がいた…




つづく…




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