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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
元春は肩を斬られた家臣の福原元正(ふくはらもとまさ)を抱えて毛利(もうり)軍の陣に戻った。
陣には小早川隆景(こばやかわたかかげ)がいた。
隆景「兄上…元正!!大事ないか⁉︎」
元正「肩を斬られましたが…なんの!大事ありませぬ。」
元春「斬ったのは山中鹿介(やまなかしかのすけ)だ。」
隆景「鹿介⁉︎なぜ伊予国におるのか?」
元春「わからぬが…もう1人強い兵がいた。」
隆景「元正、医師に傷の手当てをしてもらうのだ。ところで…兄上、父上(毛利元就のこと)から帰還命令が来ております。」
元春「父上から⁉︎何があったのだ?」
隆景「北九州で大友宗麟(おおともそうりん)が進軍してきており、北九州の毛利方の国人衆を支援せねばらなぬと文が来ました。」
元春「大友め、我らが伊予国に行っている間に進軍するとは…」
隆景「今戦っている一条(いちじょう)は大友と繋がっておりまする。一条と呼応したのかもしれませぬ。こちらは我が家臣、乃美宗勝(のみむねかつ)の弟、浦元信(うらもとのぶ)を置いていきまする。」
元春「うむ、一条は弱っており村上吉継(むらかみよしつぐ)殿らに任せても大丈夫であろう。」
元春や隆景ら毛利家は一部を残して伊予国から引き上げて行った。
毛利軍が水軍の船に乗り帰っていく様子を山中鹿介ともう1人の兵が眺めていた。
鹿介「毛利…帰るのか…元春はどうであった?」
兵「噂どおりの猛将であった。毛利は結束も強い。鹿介殿、手強いぞ。」
鹿介「わかっておる。苦難などわしが押し退けてやるわ。」
鹿介は太刀を抜き、夜空に出ている月に向かって、
鹿介「わしは必ず尼子を再興する。願わくば我に七難八苦を与えたまえ」
この言葉どおり鹿介さんの生涯は苦難だったね
鹿介「ここまで案内してくれて礼を申す。金子元宅(かねこもといえ)殿。」
金子元宅
元宅「なんの、わしは居城の金子城(かねこじょう)に戻るが鹿介は何処に行かれるのだ?」
鹿介「京に行きまする。」
元宅は引き上げる毛利軍を眺めながら、
元宅「再び相見えようぞ、元春!」
金子元宅は後に毛利軍と戦うことになるのだ。
金子元宅さんは伊予の東、新居郡の武将なんだよ
安芸国に帰還した元春、隆景がすぐさま北九州に出陣したのだ…
つづく…
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