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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
「私も隠居する!毛利の家督は我が子、幸鶴丸(こうつるまる)に譲る。」
毛利隆元(もうりたかもと)は一族、重臣たちの前で、そう言い切った。
毛利元就(もうりもとなり)は、
元就「隆元!!何を言っておるのだ⁉︎ 」
隆元「私は無能で広大な領地を持つようになった毛利の重責に耐えることはできませぬ。」
元就「何と情けないことを言うのだ!!」
元就は重臣たちをその場から退げ、元春、小早川隆景(こばやかわたかかげ)の兄弟のみ残した。
元春「兄上、いかがされたのですか?」
隆景「兄上が毛利を継ぐのは当然の流れです。」
隆元「先ほど申したとおりだ。わしには、父上のような力はない。幸鶴丸に家督を譲り父上に後見してほしいと思う。」
元就「ならぬ!!」
バシッ!!
元就「情けないことばかり申すな!!わしにいつまで頼るのだ!!そなたの隠居など許さん!」
元春「兄上、我ら兄弟もいます。心強く持ってくだされ。」
隆元「……元春も隆景も郡山城に来ても、すぐ帰る、それに相談も父上にしかせぬ。わしは蚊帳の外だ。それを心強くなど持てぬわ!」
隆景「なんと⁉︎ 兄上、わしも元春兄も、ひとつの家を任されているのですよ!」
元春「尼子(あまこ)の脅威がある今、郡山城に長居はできませぬ!それは毛利のためになることと兄上もわかっておられるはず…」
隆元「2人とも、自らの家のことしか考えてないではないか!」
3人は睨み合った。
元就「やめよ!!」
3人は元就の声に引いた。
元就「…この事は一旦わしが預かる。皆、下がってよい。」
元春は元就の悲しい表情を見た。
元春は自らの居城、日野山城に戻った。
元春は家臣の福原元正(ふくはらもとまさ)と話した。
元春「兄上はどうしたのか…兄上がいるからこそ、わしは動けるのに…」
元正「失礼ながら隆元様は消極すぎるのでは…」
元春「うむ…幼い頃より兄上はわしや隆景が遊ぶのを父上と一緒に見ておった。それは父上が毛利の長としての教えをつけていたのだ。」
元正「…難しいですな。ところで先程より世鬼政時(せきまさとき)が待っております。」
元春「おぉ、通せ。」
元春「政時、待たせた。」
政時「弥太郎(やたろう)のことで参りました。弥太郎の妹が尼子の月山富田城(がっさんとだじょう)に捕らえられておりまする。」
元春「やはりか…優(ゆう)の話だと弥太郎は妹思い。その妹を尼子が捕らえ、弥太郎を思い通りに操っているのだな。」
政時「尼子は先の新宮党(しんぐうとう)の乱での大殿(元就のこと)の謀で月山富田城の守りは堅固になっております。」
元春「弥太郎はどこにいる?」
政時「今はわかりませぬ。姿を消しております。」
元春「政時、引き続き弥太郎を探してくれ。殺してはならぬぞ。」
毛利が周防長門を制圧してから2ヶ月後、大内氏(おおうちし)の遺臣が蜂起した。
11月には元就、隆元が出陣するまでに激しくなっていった…。
つづく…
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