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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
天文24年(1555年)10月…
ピシッ!ピシッ!ピシッ!
「主君を討って八虐を犯した逆臣である!」
毛利元就(もうりもとなり)は陶晴賢(すえはるかた)の首を3度鞭で叩いた。
厳島の戦いで勝利した毛利軍は桜尾城(さくらおじょう)に凱旋し、敵将の首実検をしたのだ。
元春は晴賢の首が元就の鞭に叩かれたのを見て、討死した弘中隆包(ひろなかたかかね)の言葉を思い出していた。
『いずれ大内(おおうち)家を滅ぼす元就こそ真の謀反人になろう』
元春「父上、晴賢の首はどうされますか?」
元就「首は寺に丁重に葬ろう。敵将とはいえ、同じ時代を生き、同胞であったのだからな。」
晴賢は洞雲寺(どううんじ)に葬られた。
毛利軍は首実検の後、軍議を開いた。その場には元春の他に毛利隆元(もうりたかもと)、小早川隆景(こばやかわたかかげ)らもいた。
元就「厳島では陶本隊は倒したが、別隊や晴賢が担ぎ上げた大内義長(おおうちよしなが)がまだおる。」
隆元「では周防、長門の攻略を急がねばなりません。」
元就「敵は大内義長に従う内藤や杉、それに晴賢の嫡男、陶長房(すえながふさ)らだ。」
元春「毛利全軍で攻めましょう。」
元就「いや、防長攻略はわしと隆元、隆景で行う。元春には他に頼むことがある。」
元春「わしに?それは尼子(あまこ)の抑えですか?」
元就「先に言うでない。尼子もそうだが、此度の戦で大内家が抑えていた石見銀山(いわみぎんざん)を抑え支配下にしてほしいのだ。」
元春「石見銀山は今は大内家の支配が離れているはず、尼子に先んじて、こちらが抑えるわけですな?」
元就「銀山を抑えれば、経済的に尼子より有利になるであろう。元春、吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)を守っている宍戸隆家(ししどたかいえ)と共に石見に向かうのだ。」
元春「わかりました。お任せください!」
元就、隆元、隆景は周防へ向かい、元春は吉田郡山城に入った。
吉田郡山城に入った元春は、いきなり隆家の正室であり姉のしんに手荒く迎えられた。
しん「元春!!こちらに来なさい!」
元春「姉上、凄い剣幕で…いかがなされた?」
しん「元春の嫁の態度は何ですか⁈ 姉である私に口答えをするのですよ!」
元春「口答え⁇一体何のことですか?」
そこへ隆家が割って入ってきた。
隆家「しん、やめないか!元春殿はこれから、わしと軍議をせねばらぬのだ。席を外せ!」
しん「殿(隆家のこと)が言うなら仕方ありませぬが…元春、あなたの嫁に言っておきなさい。わきまえよと!」
しんはその場を去った。
隆家「元春殿、許されよ。女同士の喧嘩にござる。」
元春「姉上も、我が嫁、優(ゆう)も気が強うごさる…さて、隆家殿、石見銀山を抑えねばならぬ。」
隆家「うむ、軍議をしましょう」
つづく…
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