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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
村上水軍(むらかみすいぐん)が毛利軍に付いた。
陶晴賢(すえはるかた)は村上水軍の船団が毛利方に向かっているのを厳島(いつくしま)から見ていた。
晴賢「くそっ!村上水軍なぞ無くとも、我が水軍でこと足るわ!」
同じく村上水軍の船団を見ていた陶軍の弘中隆包(ひろなかたかかね)は唖然としていた。
隆包『……したかあるまい』
隆包は既に覚悟を決めていたようだ。
この頃、元春の正室、優(ゆう)は子を連れて吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)に避難していた。
吉田郡山城には毛利元就(もうりもとなり)の娘、しんの婿、宍戸隆家(ししどたかいえ)が入って守っていた。
城には毛利隆元(もうりたかもと)の正室、あやと2年前に生まれた幸鶴丸(こうつるまる)もいた。
優は瀬戸内海の方を見ながら、
優『殿(元春のこと)…御武運をお祈りしてますよ』
そこへしんの声が聞こえてきた。
しん「この戦に我が夫(宍戸隆家のこと)が郡山城の留守番とは…この役目は元春とかに任せればよいものを!」
この発言に優は引っ掛かった。
優「義姉上!!その御言葉は聞きづてなりませぬ。元春とか…はどういう意味ですか⁉︎」
しん「吉川家は山陰側を守る役目でしょ!だからが郡山城を守る役目だと言ったのです!!」
一触即発になったが、隆家とあやが割って入ってきた。
隆家「どちらが郡山城を守ろうとも、良いではないか⁉︎」
あや「郡山城を守るも立派なお役目です。お二人ともお控えなされ。」
優もしんも黙り込んだ。
天文24年(1555年)9月30日、地御前に陣を置いている毛利軍は厳島に渡海する準備をしていた。
元就「陣は3つに分ける。わしと隆元、元春らの第一陣、宮尾城(みやおじょう)の兵と合流する隆景(たかかげ)率いる小早川(こばやかわ)隊が第二陣、村上水軍を中心とした第三陣。」
元春「いよいよですな、武者震いいたします。」
隆元「元春、決死の戦ぞ。」
この日の夕方、雨が降り出した。
やがて風も強くなり暴風雨となった。
隆元「これでは渡海できい…父上、日を改めましょう。」
元就はジッと荒れた海を見て、
元就「今日は吉日!渡海するなら今が好機ぞ!」
皆、元就の言葉に驚いた。
隆元「この嵐、船を出せば全滅することもありまする!」
元就「違う!この嵐、陶は我らが渡海してくるとは思いもしないだろう。だからこそ、ここが最高の好機なのだ!」
元春は、
「わかりました!!皆、出陣いたす!!」
毛利軍は嵐の中、船を出したのだ…
つづく…
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