猛将親父 〜第24話 元春の心〜 | 歴史を感じよう

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日本史について感じたこと、調べたことを連載形式で書いていきます。また、神社やお寺、史跡巡りしたこと、プロレスについても書いていきます。わが愛犬てんのことも語っていきます。そして…「オイラ、えいたろうの相棒のコアラだよ。是非読んでね。」

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目次





天下を競望せず…


わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。




天文19年(1550年)残暑の時期に毛利(もうり)領内に不穏な噂が流れていた。


吉川興経(きっかわおきつね)が密かに尼子(あまこ)に書状を送っているらしい』

『興経が密かに武具を揃えているらしい』



安芸深川に幽閉された興経に関する噂ばかりだった。


コアラ興経さんは元春さんを養子にして吉川家を継がせ、幽閉されていたんだよね



興経は、

興経「なぜこんな噂が流れてるのだ⁈わしは何もしておらぬ!」



興経は弁明の書状を元就(もとなり)に出した。


しかし、元就は興経粛清の決意を固めていたのだ。


元就「興経と子の千法師(せんぽうし)を討て。」




全ては元就の謀(はかりごと)だった。

噂を流したのは元就の忍びであり、それを命じたのは元就なのだ。

コアラ元就さん怖い…



9月、元就は元春の義父、熊谷信直(くまがやのぶなお)、天野隆重(あまのたかしげ)らに興経の館を奇襲させたのだ。


熊谷信直

天野隆重



興経はたいした抵抗もできず、捕らえられた。




興経「何だ!この騒ぎは!わしは、わしは何もしておらぬぞ!」

隆重「吉川興経、今さら見苦しいぞ!また密かに尼子と通じているのはわかっておる。」

興経「知らぬ!わしは通じておらぬ!」

信直「興経、千法師は斬首に処す!」

興経「くっ!千法師は何も知らぬのだ!せめて千法師は助けてくれ!」

信直「問答無用!隆重殿、あとはわしが処理しておく。」

隆重「おっ、そうか。では、わしは先に引き上げよう。」


隆重は先に兵を引き上げた。






信直は自ら太刀を抜き、

信直「興経…さらばだ!!」


バスッ!!



興経「!!?」

興経の首は斬れておらず、髷と縛っていた縄が斬れていた。



そこへ元春が現れた。


興経「元春!」

元春「今、吉川興経は死んだ。見事に死んだのだ。」

興経「…どうゆうことだ?」

元春「興経殿に言われた鬼吉川(おにきっかわ)、わしはまだ作れておらぬ。興経殿には、それを見届けてもらわねばならぬ。それには興経としては死んでもらい、流浪の民として生き抜くのだ。」

興経「鬼吉川か……元就が許さぬのではないか?」

元春「万一、流浪の民としてではなく、武士に戻るようであれば、その時はわしが興経を斬る!千法師ともども安芸から去り、生き抜かれよ!」


興経「元春…吉川家を頼むぞ、わしは民として見させてもらうぞ。」


興経は千法師を連れ、闇に消えていった。


コアラ史実では興経さんと千法師くんはここで殺害されたんだよ


興経の墓所(広島市安佐北区上深川)


元春「義父上(信直のこと)、無理を言って申し訳ごさりませぬ。」

信直「なんの、元春殿の心、わしも通じました。」





後日、元就は元春と会った。

元就「元春、興経もなく、これで吉川家の居城、小倉山城(おぐらやまじょう)に入るがよい。」

元春「かしこまりました。」


そして元就は小声で

元就「…元春、わしもそなたの心、ありがたいぞ」


元就はニコッと微笑みました。元就は元春が興経を逃したこと、わかっていたのでしょう。





元春は妻、(ゆう)を連れて小倉山城に入城したのです…





つづく…






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