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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
元春が熊谷信直(くまがやのぶなお)の娘・優(ゆう)と会ってから数日後…
吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)の一室で毛利元就(もうりもとなり)は家臣の志道広良(しじひろよし)と児玉就忠(こだまなりただ)と話していた。
元就「…また井上元兼(いのうえもとかね)は出仕しておらぬのか?」
就忠「はい、体調がすぐれぬとか申しているようです。」
広良「元兼殿の一族は横柄な行動が多く、皆から苦情が絶えませぬ。」
元就「…困ったものだ…いずれは…」
元就は渋い顔をして口を逃した。
広良「ところで…殿は隆元(たかもと)様や元春様の嫁取りはいかがお考えですか?」
元就「おぉ、嫁取りか、隆元は嫡男であり、大内義隆(おおうちよしたか)様のお世話になりたいと思っておる。」
広良「それは良い。毛利は安芸国の有力国人。大内家としても繋がりをつけておきたいでしょうから。」
元就「元春は…就忠、元春はどう考えおるか、聞いてくれぬか?親のわしからは聞きにくいからの。」
就忠「かしこまりました。」
ところが…既に元春は動いていたのです。
元春は熊谷信直の居城、三入高松城(みいりたかまつじょう)にいた。
元春は信直に会っていたのだ。
信直「毛利の次男殿が信直に何用か?」
元春「信直!優殿をわしの嫁に頂きたい!」
信直「いきなりにきて何を言い出すかと思ったら…これは父上の元就殿もご承知か?」
元春「いえ、父にはまだ話しておりませぬ。されど、嫁を取るのは、この元春。自分の嫁は自分で決めとうございます。」
信直「ほぉ、噂に聞いたイノシシぶりだな。なぜにわしの娘を嫁に欲しがる?」
元春は先日の優と会ったことを話し、
元春「あの気強さ、そして優しさ…そこに惚れもうした!」
信直「…優に情けをかけているのではないか?」
元春「情け…そんなこと考えておりませぬ。自らの命を張って子を助ける、そんな女子は日の本探しても優殿以外おりませぬ!」
そこへ優が入ってきた。
優「元春殿、私はこのような面相…それでも、気持ちは変わりませぬか?」
元春「わしは優殿の心が全てだと思っております。」
優「……父上、元春殿は悪いことをしたら、相手が百姓の子といえども頭を下げる透き通った方です。私は元春殿に嫁ぎとおごさいます。」
信直「わかった。元春殿、優を頼むぞ。」
元春は自ら嫁取りを決めたのだった…。
つづく…
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