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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
妻・美し(よし)を亡くし、意気消沈な毛利元就(もうりもとなり)。
元就は吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)内に美しの墓地を建て供養した。
元就「美し…わしは鬼になっても安芸を毛利のものにするぞ…。」
天文15年(1546年)元就は家督を隆元(たかもと)に譲り隠居を表明した。
しかし、実権は元就が握っており、隆元もそれは納得していたようだ。
毛利家当主が隆元になっても、元春は17歳になっていたが、相変わらずイノシシぶりを発揮していた。
ある日、家臣の福原元正(ふくはらもとまさ)と馬を走らせていた。
元春「元正、遅いぞ!」
元正「元春様、早すぎますぞ!」
その時、草むらから百姓の子供が飛び出した。
元正「あっ!?危ない!!」
元春は手綱をきって馬の方向を変えようとした。
その瞬間、人が飛び出し、子供を抱えて反対の草むらに転がり込んだ。
ごろごろッ!
元春は慌てて馬を止め、下馬し、草むらの方に走った。
元春「大丈夫か!?」
そこで元春が見たのは女性と子供だった。
女性「よしよし、怪我は…大丈夫ですね。」
女性は元春をキッと見て、
女性「大丈夫かではごさりませぬ!この辺りは田畑があり、人がいるのです。そんなところで馬を走り飛ばすなど危ないではごさりませぬか!?」
元春は子供を助けたのが女性で唖然としたが、
元春「これは…申し訳なかった。このとおりだ。」
元春は頭を下げた。その姿を見た女性は、
女性「気をつけてくだされ。さっ、行きましょう。」
女性は子供と一緒に草むらの奥に歩いて行った。
そこへ元正が来た。
元正「元春様、大事ごさりませぬか?」
元春「わしは大丈夫だ。元正、今の女子…どこの女子かわかるか?身なりからして武家の娘のようだが…」
元正「あれは…熊谷信直(くまがやのぶなお)殿の娘ですね。名を…優(ゆう)姫。」
元春「熊谷殿の…元正、お前詳しいな。」
元正「詳しいもの何も、あの姫はこの辺りでは有名ですぞ。あの顔…不美人で…」
元春「不美人……。」
これがわしの父と母の出会いなのである…
つづく…
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