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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
天文12年(1543年)8月30日、次郎(じろう)は元服し名を元春(もとはる)と名乗った。
まだ吉川ではないんだよ
元春の父、毛利元就(もうりもとなり)も母、美し(よし)も目を細めた。
美し「元春…立派な武者振りです。」
元就「うむ、元春、毛利家の武者として精進せよ。」
元春「はい!」
元春の元は兄、隆元(たかもと)さんから貰った説と毛利家の通字の元から取った説があるんだよ
吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)が元春の元服でめでたい雰囲気の中、元就を大内義隆(おおうちよしたか)の使者が訪ねてきた。
使者「主人、義隆よりの書状にございます。」
元就「うむ。」
元就は書状に目を通した。
元就「…追って返事の書状を送る。義隆様には元就、了解したと伝えてくれ。」
使者「はっ。」
使者が帰った後、元就は美しと隆元(たかもと)、家臣の志道広良(しじひろよし)を呼んだ。
隆元「父上、大内の御館様はなんと申してきたのですか?」
元就「竹原小早川家(たけはらこばやかわけ)に徳寿丸(とくじゅまる)を養子に出してほしいとのことだ。」
徳寿丸くんは元就さん美しさんの三男なんだ。
広良「竹原小早川家は当主の興景(おきかげ)殿を戦で失い3年も経ちまする。しかし、この話は竹原小早川家から以前、話があった時、お断りしたはず…」
元就「大内としても味方である竹原小早川家の当主のいない状況をこれ以上放ってはおけなかったのだろう。」
美し「三男である徳寿丸をなぜお召しなのでしょうか?」
広良「徳寿丸様の聡明さが安芸国ならず大内様にも聞こえているのでしょう。」
隆元「うむ、次男の元春はイノシシ武者と近隣に響いておるからの…」
元就「これ!元春には元春の良さがあるのだ。」
美し「殿はどうされるのですか?」
元就「…美し、毛利のためにも徳寿丸を養子に出す。」
美しとしては、元服前の徳寿丸を養子に出したくはなかったのだ。
元就「これは武家の宿命、徳寿丸が竹原小早川家に行くことで竹原小早川家の持つ水軍が毛利の味方となる。」
広良「毛利家が海に勢力を伸ばすには水軍は欠かせませんですな。」
隆元「母上…毛利家の為です。」
美し「……しかたありませぬが…」
その夜、元就は隆元、元春、徳寿丸の3人を呼んだ…。
つづく…
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