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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
天文10年(1541年)1月に尼子(あまこ)軍が撤退した吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)の城下は再建が始まっていた。
次郎(じろう、後の元春)も城下に出て、木材を運ぶ手伝いをしていた。
次郎「よいしょ!」
家臣の福原元正(ふくはらもとまさ)も一緒になって運んでいた。
そこへ、
「次郎!しっかり運べ!」
次郎は声の方向を見ると、
次郎「兄上!!帰ってきたのですね!?」
そこにいたのは次郎の兄、毛利隆元(もうりたかもと)であった。
隆元「次郎、先の籠城戦では立派に初陣したと聞いておるぞ。」
次郎「いやぁ〜」
次郎は照れ笑いを浮かべていた。
隆元は城に入り、元就(もとなり)と会った。
元就「隆元、大内様での勤め、ご苦労であった。」
隆元「いえ、先の合戦、父上こそ、ご立派でした。吉田の皆、よく戦い、私は誇りに思います。」
元就「大内様の様子はどうだ?」
隆元「尼子を撃退したことで出雲攻めの話で持ちきりです。」
元就「出雲攻めか…我らも出陣となるな。」
隆元「無論、そうなるでしょう。」
元就は少し浮かない表情をした。
尼子の居城、月山富田城(がっさんとだじょう)では当主詮久(あきひさ)が祖父経久(つねひさ)とひっそり話をしていた。
詮久「負け戦…申し訳ございません。」
経久「…過ぎてしまったことは、もう良い。この先が大事だ。尼子から国人衆が大内に流れてたが…」
詮久「いち早く体制を立て直し味方につけねば…」
経久「いや…大内は出雲に攻めてこよう。この出雲も固めて、大内を惹きつけるのだ。」
詮久「それでは大軍が大挙して攻めてきます。」
経久「国人衆を密かに味方につけて、ギリギリまで大内の味方のように見せかればよい。そして大内を裏切らせればよいのだ。そなたはその国人衆を手懐けよ。」
詮久「国人衆……吉川…吉川興経(きっかわおきつね)がよかろうと思います。」
経久「うむ…ぐふぅ、ぐふっ」
詮久「お祖父様!」
経久は既に病の身体であった。
山口の大内家では出雲攻めの準備が行われ、毛利家も出陣することになったのである…。
つづく…
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